ユンさんの弾劾賛成・反対に関する世論調査では、若者ほど男女差が顕著に出ており、概ね弾劾反対派は男性が多く、弾劾賛成派は女性が多いという結果になっています。
これは以前からお伝えしていたことですけれど、若い女性は保守嫌いの傾向が強いのでその影響かと思います。
この男女間の意見の相違について、実際に双方の集会参加者らの声を元に少し踏み込んだ分析記事があったので紹介します。
先にまとめておくと、弾劾反対派の男性らが注目しているのは「イ・ジェミョン(民主党)がダメ」という点で、このままいけばイ・ジェミョンさんが次期大統領になってしまうため、これを阻止するために逆説的に与党支持=弾劾反対という考え方になるということです。
対して女性らが注目しているのは「内乱および現政権の政権運用の在り方」という点。彼女らは次期大統領がイ・ジェミョンさんかどうかには無関心で、あくまで「現状」の在り方に対して「No」と考えているということのようです。
文化日報の記事からです。
弾劾反対男性「立法独走の民主嫌い」...弾劾賛成女性「内乱・不通の国力はダメ」
12·3非常戒厳事態以後、弾劾賛否集会という「広場」として出てきた2030デジタル世代は声を一つにして「民主主義を守るために出てきた」と話したが、性別により「民主主義を崩した主体」に対する認識は全く違う傾向を示した。反弾劾(弾劾反対)集会参加男性たちは共に民主党のイ・ジェミョン代表を主軸とした「立法独走巨大野党」に責任があると見る反面、賛弾(弾劾賛成)集会参加女性たちは「不通政治の終盤」であるユン・ソンニョル大統領の非常戒厳にその責任があると考えた。このため、弾劾に対する立場も分かれた。
(中略)
文化日報が弾劾賛否集会に参加してきた20~30代の男女10人を深層インタビューした結果、ユン大統領弾劾をめぐり女性たちは「反憲法的非常戒厳を宣布したユン大統領に対する弾劾は当然だ」と主張する反面、男性たちは「非常戒厳の正当性を法的に問わなければならない」と主張した。国会前の賛弾集会に参加したキム・ヒョンジさん(女・35)は「大統領は戒厳令を宣布するほどの非常状況ではなかったにもかかわらず、市民を危険な状況に立たせた。明白な内乱行為」とし「憲法裁が弾劾を容認しなければならない」と話した。光化門での反弾集会に参加したソウル大学在学生のキム某氏(23)は「一国の大統領が衝動的に戒厳宣言をしたとは思わなかったため、戒厳宣言文を数十回読んだ」とし「正当性を問うには法的手続きが進められており、生半可に言うのは難しいが、民主党の横暴を考慮してみれば、心情的に理解できる」と話した。
非常戒厳に対する彼らの異なる評価には弾劾審判が容認される場合に行われる早期大統領選挙に対する票心があった。特に男性たちは反イ(反イ・ジェミョン)・反民主党情緒が明確だった。大学街の反弾集会を主導している「自由守護大学連帯」のユ・チャンジョン氏(21)は「早期大統領選挙でイ代表が大統領になる確率が高いが彼は典型的なポピュリストだ」とし「彼が政権を握る場合、国をどれだけ後退させるか恐ろしい」と話した。賛弾集会の参加者であるキム某氏(女・21)は「イ代表が戒厳令を下したわけでもないのに、イ代表が当選することを恐れて弾劾してはならないというのは詭弁」とし「大統領が誰になるかを問い詰めるより弾劾が優先」と話した。
(中略)
男性たちは主にムン・ジェイン政府時代に強化された女性親和政策などを記憶し反民主党情緒を表出した反面、女性たちは20代大統領選挙当時、ユン大統領候補とイ・ジュンソク国民の力代表の「女性家族部廃止」など反女性政策に反感を表わした。
(中略)
広場で表出された極端な声は青年世代全体を見る時、過代表された少数という意見も出てきた。賛弾集会参加者のユン某氏(女・28)は「性別によって政治性向が分かれる傾向があるが、懸案をじっくりと見つめながら判断する友人が大部分」と伝えた。A氏(男・21)も「学校では政治について対話しない」とし「余計な誤解と葛藤を起こしたくはない」と話した。
文化日報「반탄 남성 “입법독주 민주 싫어”… 찬탄 여성 “내란·불통 국힘 안돼”[‘광장 나선 2030’ 심층분석](弾劾反対男性「立法独走の民主嫌い」...弾劾賛成女性「内乱・不通の国力はダメ」)」より一部抜粋
最後にチロっと触れられていますが、これらはあくまで「極端な声」であって、青年世代の世論を代表するものではないという声も一部であります。実際、反弾劾集会には若い女性の参加者も多く、今までの保守派集会とは明らかに違うと報じるメディアもあります。
上で紹介されている声は、男女という性差を横に置いておくとして、あくまで「弾劾反対/弾劾賛成」の根拠となる考えの部分だけを見ると、明らかに「焦点距離」が異なることが分かります。
弾劾賛成派は各種世論調査の結果から、このままいけば次期大統領の最有力候補はイ・ジェミョン氏であり、それは思わしくない未来と考えるために「弾劾反対」を訴えています。
弾劾賛成派は次期大統領が誰かに関係なく、ユンさん自身が取った行動の「責任を取れ」と主張しています。
こうして見ると、どちらの主張も最もなわけで、だからこそ韓国世論が今真っ二つに割れているのでしょう。
ある電話による世論調査では、弾劾賛成が58%・反対が38%でしたが、政権交代に関しては政権交代が必要との回答は50%に下がります。
つまり弾劾には賛成でも政権交代を必須と考えていない層がそれだけ居るということです。共に民主党の支持が伸びているという訳では無いわけです。