韓国銀行が昨年の家計信用の暫定値を発表しました。
残高は1927兆3000億ウォン。2000兆ウォンには惜しくも(?)届きませんでしたが、1年でおよそ40兆ウォンの増加となって統計以来史上最大規模を更新しました。
2021~2023までの3年間は1800兆ウォン台で横ばいだったのですけど、とうとう1900兆ウォン台突入です。2020年からの4年間で見ると200兆ウォン(約1割)増えています。
カード使用額を除いた家計負債額は1807兆ウォンです。およそ6割の1123兆9000億ウォンは住宅ローンで、DSR規制強化後も増加傾向にあります。
デジタルタイムズの記事からです。
家計負債2000兆…家に引っ張られた経済
(前略)
韓国銀行が18日発表した「2024年家計信用(暫定)」統計によると、昨年12月末基準で家計信用(家計貸出+決済前カード使用額)残額は1927兆3000億ウォンと集計された。
第3四半期末(1914兆3000億ウォン)より13兆ウォン多く2002年第4四半期の関連統計公表以来、最大規模だ。
家計貸出は前四半期末と比べて10兆6000億ウォン増えた1807兆ウォンと集計された。3四半期連続の増加だ。
昨年末に比べると39兆7000億ウォン増加した。
このうち住宅ローンの残高は前四半期より11兆7000億ウォン増えた1123兆9000億ウォンと集計された。住宅担保貸出も1年間で59兆6000億ウォン急増した。家計負債で住宅担保貸出が占める割合は62%を越えた。
金融当局が規制を緩和し今年も住宅ローンがさらに増加するものと予想される。
(中略)
市場では不動産に資金が縛られ消費萎縮が加速化するものと見ている。また、不動産景気が低迷し、不良爆弾が爆発しかねないという懸念が高まっている。ソウルの中心地域を除いて住宅価格が下落しており、地方には未分譲マンションが積まれている。政府が建設景気の活性化対策を準備中だが、家計負債の増加への懸念に足を引っ張られている。キム・ビョンファン金融委員長は、地方の売れ残り解消のため、総負債元利金返済比率(DSR)を一時的に緩和すべきだという主張には、事実上反対の意思を明らかにした。
(中略)
世宗大学経営学科のキム・デジョン教授も「韓国国民の資産76%が不動産に縛られている。 不動産が難しくなればすべての経済が死ぬと言っても過言ではない」として「経済活性化のための妙案が切実な瞬間」と強調した。
デジタルタイムズ「[기획] 가계빚 2000조… 집에 볼모잡힌 경제(家計負債2000兆…家に引っ張られた経済)」より一部抜粋
家計負債はこうした状況ですが、金融当局がDSR規制を引き下げるのではないか、との噂があります。あくまで「噂」レベルで、金融監督院は今の所否定しています。
しかし、DSR規制引き下げは考えていないと言いつつ、金融機関に「金利引き下げの余力はある」との見方を示しており、金利を引き下げるよう圧力を掛けるかもしれません。
そうすると、DSR規制は維持されたまま金利は引き下げられるというチグハグな状態になります。家計負債増加を食い止めたいのか容認したいのか、よく分からない中途半端な政策です。
それだけ今の韓国建築業界の不況が深刻なレベルで打つ手無しということなんでしょう。