中国による露骨な韓国引き入れ攻勢の話

中国による韓国引き入れの動きが顕著です。
今年初めのノービザ対象国指定(これは日本もですが)に続き、韓国コンテンツの事実上「締め出し」であった「限韓令」の8年ぶり解除を仄めかしています。
冬季アジア大会の開会式に招待された韓国国会議長のウ・ウォンシクさんが習近平さんと会談し、その席で「文化交流」の重要性を話した流れで出てきたものです。

序列を重んじる中韓両国間において、国家主席が国会議長と会談をする、というだけでも破格の扱いです。しかもプレスリリースまで出して。その上、「限韓令の解除」というお土産まで用意して持たせたことになります。

 



韓国経済の記事からです。

韓国、中国のために22兆ウォンを失ったが...ついに「8年の足かせ」が解かれる


中国政府が早ければ5月頃に限韓令(韓流コンテンツ禁止令)を解く計画であることが把握された。韓国のサード(高高度ミサイル防衛システム)配備に対する報復として、2017年に限韓令を出してから8年ぶりのことだ。

中国内のアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議の準備組織である「中国アジア太平洋合作中心」の高位関係者は19日、本紙記者と会い「来月、民間文化使節団を韓国に派遣することを皮切りに文化交流を拡大し、今年上半期中に全面的な文化開放を計画している」と話した。ドラマ、映画、ゲーム、Kポップ公演など、韓国コンテンツの中国内での流通を妨げてきた「限韓令」を解除するということだ。

(中略)

中国政府は公式的に「限韓令は存在しない」という立場だが、実際には韓国コンテンツ流通を禁止してきた。韓国コンテンツの中国輸出のためには中国当局の審議や許可を受けなければならないが、これを事実上許可しなかった事例が多かった。産業銀行傘下のKDB未来戦略研究所は2017年の限韓令当時、国内関連産業の被害を最大22兆ウォンと推算したりもした。

(中略)

ドナルド・トランプ2期行政府発足後、米・中葛藤が激しくなると、中国が突破口の一つとして米国の友好国である韓国との関係改善に乗り出したという解釈も出ている。中国は昨年末、1992年の韓中国交正常化以来初めて韓国を中国のノービザ対象国に含め、最近の冬季アジア大会期間に習近平国家主席がウ・ウォンシク国会議長に会うなど、韓国に融和策を展開している。

(中略)

19日、中国のアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議の準備機構である「中国アジア太平洋合作中心」の高官によると、中国政府は10月、慶尚北道慶州で開催されるAPEC首脳会議を控え、上半期までに韓国と完全な文化交流を推進する。韓国ドラマ、ゲームなどの中国への輸出を認め、韓国歌手の中国公演を再開する方針だ。

中国の限韓令解除の兆しは今月初めに感知された。ハルビン冬季アジア競技大会開幕式に招請され中国を訪問したウ・ウォンシク国会議長が7日、習近平国家主席に会った時からだ。この席で習主席は「文化交流は両国交流の魅力的な部分であり、過程で問題が浮上することは避けなければならない」と話した。ウ議長が「中国で韓国コンテンツを探すのは難しい」として「文化開放を通じて青年たちが互いに疎通し友好感情を持つことが必要だ」としたことにともなう返事だった。

(中略)

専門家たちは中国がトランプ2期行政府の先端技術・貿易圧迫に対応するために内需回復に集中すると同時に周辺国との関係改善により一層積極的に乗り出していると見る。米国を除いた周辺国と友好的な関係を形成し、不必要な外交的紛争を減らし、米国の同盟国を抱き込もうとする戦略だという話だ。実際、中国は韓国の他にも日本、インドなどと最近、ノービザ政策と国境紛争管理、水産物輸入再開など相次ぐ友好措置で関係構築に乗り出した。

対外経済政策研究院のヒョン·サンベク北京事務所長は「米国と中国の覇権競争が加速化しているが、この過程で中国が周辺国との関係を改善するために努力している」と話した。中国が限韓令を解く裏面には、中国政府の内需コンテンツ競争力に対する自信が位置しているという分析も出ている。

(中略)

限韓令が解除されれば、国内関連産業は恩恵を受けるものと予想される。



韓国経済「한국, 中 때문에 22조 날렸는데…드디어 '8년 족쇄' 풀린다(韓国、中国のために22兆ウォンを失ったが...ついに「8年の足かせ」が解かれる)」より一部抜粋

果たして中国国内の韓流人気は8年前と同レベルあるでしょうか?
ドラマに関してだけでも、最近の中国ドラマの日本市場への攻勢を見るに、中国国内のエンタメ事情はかなり変化していると思います。

中国ドラマは見たことないですが、BS11で放映されているヨーロッパドラマ枠をよく見ます。最近、合間合間に中国宮廷ドラマの放送案内がバンバン入るんですよね。
今放映中のものだけで中国ドラマは4本(全部時代劇)、韓国ドラマは2本(復讐劇&ドロドロ人間ドラマ)と、本数は一時期と逆転しています。

記事中の指摘にもある通り、今回の決定は中国国内のエンタメ市場が充分熟成されたと判断したからこそと感じます。