不法私金融被害申告センターへの相談・申告件数11.9%増の1万5397件…歴代最高という話

韓国では銀行圏・第2金融圏など「適法」金融機関による低信用者に対する貸出拒否で相当数が違法金融に流れているのではないか、という話が随分前から持ち上がっていましたが、具体的にどの程度の規模なのかはよく分かっていませんでした。

今日、金融監督院が被害申告センター(日本の消費者庁の相談窓口みたいなもの)に寄せられた不法私金融関連の相談・申告件数を公表しました。
件数は1万5397件で前年比11.9%増。2020年(8043件)と比べるとほぼ倍増しています。

あくまで被害申告センターに寄せられた相談・申告の「件数」であり、不法私金融債務者の全体件数ではない事に注意です。
しかし、仮に相談件数と増加規模に相関関係があるのだとしたら、1年で不法私金融債務者が11%増加している可能性もあり得ます。

 



中央日報の記事からです。

貸金業者もお金をかしてくれない」...不法金融被害「過去最高」


主婦のイ某氏(51)は夫の失業で銀行融資の返済が難しくなるとノンバンクに続き貸金業者まで訪ねた。しかし、銀行融資の延滞を理由に断られた。イ氏は結局、不法私金融を通じて200万ウォンを借りた。一日4万ウォンだった利子は延滞で元利金が600万ウォンまで増え、2年ぶりに一日12万ウォンに増えた。彼女は「不法私金融を最初から利用しようとするのではなかったが、お金を貸してくれるところがそこだけだった」と吐露した。

信用度の低い庶民がお金を借りられる窓口がなくなり不法私金融の被害が増えている。3日、金融当局によると、昨年金融監督院不法私金融被害申告センターに受け付けられた相談・申告件数は1万5397件で、前年度(1万3751件)より11.9%増え歴代最高だった。

(中略)

2021年、法定最高金利が20%と低くなり不法私金融市場が大きくなったというのが専門家たちの説明だ。制度圏の金融会社がお金を貸してくれないため数百%に達する利子を払ってでも急ぎのお金を借りようとする需要が増えた。 実際、昨年上半期末の登録貸付業者の貸出残高は12兆2105億ウォンで、2019年上半期(16兆6740億ウォン)より27.8%減少した。同期間、貸付業の利用者は200万7000人から71万4000人に急減した。

(中略)

貯蓄銀行中央会によると、昨年第4四半期に中金利信用融資を扱った32の貯蓄銀行のうち、信用点数が400点を下回る借主に融資をしたのは7ヵ所だけだ。それさえも融資額は微々たるものだ。

貸金業の貸出の敷居が高くなったのは貸金業者さえお金を借りるところがないためだ。共に民主党のパク・サンヒョク議員室が金融監督院から受け取った資料によると、昨年上半期末、貸付業者の平均借入金利は7.5%を記録した。2021年の5.2%から毎年上昇している。 貸付業界関係者は「延滞率を考慮した貸倒費用が約14%だが、7%の利子で資金を調達するとしても21%で最高金利(20%)を越える」として「担保のない信用貸出は事実上不可能な状況」と話した。

(中略)

金融当局は優秀貸付業者が銀行からお金を借りることができる制度を用意し低い金利で資金を調達できるようにしたが実績は低調だ。銀行が評判管理などを理由に貸金業の貸出に消極的であるため、貸金業者は依然として第2金融圏や私募社債など高金利で資金を調達している。優秀貸付業者の銀行借入額は昨年上半期1530億ウォンで、全体借入額(7兆5617億ウォン)の2%に止まった。

漢城大学校のキム・サンボン経済学科教授は「法定最高金利が20%に低くなった以後、貸金業貸出が急減し不法私金融市場は大きくなった」として「銀行や第2金融圏が低信用者貸出を扱わない状況で貸金業でも資金を供給しなければならないが、不可能な条件」と話した。

(後略)



中央日報「"대부업체도 돈 안빌려줘"…불법사금융 피해 '역대 최고'(「貸金業者もお金をかしてくれない」...不法金融被害「過去最高」)」より一部抜粋

うーん...他に借りる宛てが無かったからやむなし…というのは分かるんですけれど、それでも不法私金融と「知っていて」借りた人たちを一概に「被害者」と呼んで良いものか、疑問です。

現状、貸付業者も貸すためのお金を借りるのに利子が高くて金利20%設定では利益が出ないどころか赤字になるから貸さない、ということです。流動性が完全に死んでますね。

しかし、それでも家計負債は増加傾向にあります。
恐らく、経済的に上の人たちと下の人たちとの格差が広がっているのでしょうが、韓国メディアがよく主張する「金利引き下げ」は、低信用者にはあまりメリットが無いと思います。例え金利が下がったとしても担保の無い低信用者の現状は変わらないはずです。金利の引き上げはダイレクトに響くでしょうが。