韓国メディアがトランプ政権に「相互関税」について、自動車業界で恩恵を受けるのは「日本産自動車」である可能性を指摘しています。
米自動車企業は収益性の高いクロスオーバーとSUVモデルに集中し、乗用車市場は放棄しています。今回の措置は低価格帯乗用車市場を直撃します。
また、GMなどの米国自動車企業であっても低価格帯の車種はメキシコや韓国などの海外生産拠点で製造して米国内に「輸入」していますので関税の対象になります。
一方、日本のトヨタやホンダの米市場向け低価格帯車種は米インディアナやミシシッピで製造されているとのことです。ですから、正確には「日本産」自動車ではなく、「米国産日本企業」自動車ですね。
毎日経済の記事からです。
「韓国は大変だ。日本が勝者になるかもしれない」...価格が上がっても強行するというトランプの自動車関税
(前略)
トランプ大統領が施行する自動車輸入関税は業界全般の費用を引き上げ、車両価格がさらに高くなる一助と予想されます。このため、すでに新車の平均価格が5万ドル(約7355万ウォン)に迫る米国で、消費者は今後、安価な自動車の購入がさらに難しくなる見通しです。自動車価格の上昇に加え、企業の割引特典もなくなる可能性があるからです。JPモルガンのライアン・ブリンクマンはリサーチノートで、関税賦課で米国の自動車価格が平均11.4%上昇する可能性があるという予想を出しました。
トランプ大統領は関税賦課で自動車価格が上昇する可能性があることは認めました。しかし、短期的な苦痛は長期的な米国の製造業の成長という利益によって相殺される可能性があると主張しています。また、彼は自動車価格の上昇がむしろ米消費者が米国産自動車を購入する契機になるとし、あまり気にしないという立場を明らかにしました。
(中略)
米自動車市場調査会社コックスオートモーティブによると、現在、米市場で価格が3万ドル(約4413万ウォン)以下の車両モデルは20種余りに過ぎません。このうち半分以上が新しい関税による打撃を受けることになります。カナダやメキシコで組み立て・生産される車の価格は平均5855ドル(約861万ウォン)上昇すると推定されます。米自動車企業は収益性の高いクロスオーバーとSUVモデルに集中し、乗用車市場は諦めただけに、関税付加による被害は小型セダンなど低価格市場に集中してきたアジア企業に主に向かうという観測が提起されます。
(中略)
特に人件費が低く、サプライチェーンの利点がある海外地域で車を生産した後、米国で販売する韓国現代自動車・起亜自動車をはじめ、ゼネラルモーターズ(GM)、フォードなど企業が打撃を受けることになるという分析が出ています。GMは最も安いモデルの一つに挙げられるシボレートラックス小型SUVとトレイルブレイザークロスオーバーを韓国で生産しています。2万ドル(約2942万ウォン)から始まる低価格を前面に出し、昨年アメリカで20万台以上販売されたトラックスもトランプ大統領が発表した今回の関税賦課対象に含まれます。
米国道路交通安全局(NHTSA)のデータによると、現代自動車の場合、低価格モデルの一つであるヴェニューと入門型セダンのエラントラの両方が韓国で生産されます。起亜自動車はソウルモデルを韓国で、K4モデルをメキシコで組み立てます。米クライスラーの親会社であるステランティスも同様に、自社の低価格モデルであるジープコンパスをメキシコで生産し、ダッジホーネットはイタリアから米国に持ち込んでいます。米フォードは入門型小型ピックアップトラックのマーベリックと小型SUVブロンコの両方をメキシコから輸入しています。
ステランティスグループのジョン・エルカン会長は「関税によって大きくなった不確実性が米国内の需要に打撃を与えかねない」として憂慮を示しました。
関税障壁で危機に瀕した「コスパ自動車」市場で結局恩恵を受けることになるのは、米国で生産される日本産自動車であるという分析が出ています。日本のホンダは2万8000ドル(約4130万ウォン)から始まるシビックハッチバックを米インディアナで生産しています。日本トヨタのカローラは米ミシシッピで生産され、開始価格は2万3000ドル(約3385万ウォン)です。
新車価格の上昇が自然に中古車市場の成長加速化につながりかねないという見通しもあります。米トランプ政権の自動車関税賦課政策発表後、中古車販売会社のカーマックス(CarMax)とカバナ(Carvana)の株価は小幅上昇します。レンタカー会社のハーツ・グローバル・ホールディングス(Hertz Global Holdings)の株価は一時27%まで急騰し、3年ぶりに最大の日中上昇幅を記録しました。一方、GM・フォードなどの完成車企業の株価はほとんど下落しました。
毎日経済「“한국 큰일났다, 일본이 승자될수도”...가격 올라도 강행한다는 트럼프 車관세 [박민기의 월드버스](「韓国は大変だ。日本が勝者になるかもしれない」...価格が上がっても強行するというトランプの自動車関税)」より一部抜粋
「結局日本車が恩恵を受ける」のではなく、「米国で生産される自動車が恩恵を受ける」と考える方が良いでしょうね。
ただねー…製造業ってそんな単純な話では無いと思うんですよね。例え米国内で製品の組み立てが行われていたとしても使われているパーツが日本工場からの輸入品なら、その時点で関税が乗っかってくるわけですから、その分完成品のコストになりますよね。
トランプさんは米国内の製造業を活性化させようとしているわけで、米国企業は生産拠点を米国内に回帰・外国企業は米国内に生産拠点を建てて投資して雇用創出に貢献しろ、ということなんでしょうけど。それだけで上手くいくとも思えません。