OLEDからLCDへの逆行現象…移行は不可逆じゃなかった話

先日、任天堂のSwitch2が発表されました。厳しめの転売対策は国内では概ね好評な反面、国外では色々と言われているようですね。

それはともかく、現行のSwitchとSwitch2では搭載されるディスプレイが異なります。現行がOLEDに対し、Switch2はLCDパネル…形だけ見れば「逆行」しています。
この点は、わざわざ「LCD技術が大きく発展したため」と触れていたことからも任天堂でもネガティブセールスとなりかねないとの認識があったんでしょう。

ところで、このOLED→LCDへの回帰は、何もSwitchに限った話ではなく、お隣の韓国にとっては大きな機会損失になっています。なぜなら韓国のディスプレイ大手サムスンとLGはすでにLCD事業から撤退してしまっていますから。
カーナビなどに使われる小・中型はLGがまだ製造している(そのためSwitch2用に供給されている可能性はありますが)ものの、テレビ用は作っていません。
しかし、昨年サムスンとLGが販売したテレビの92%(約5400万台)はLCDテレビだったと。そのため、両社は中国や台湾製LCDパネルを購入する羽目になっているそうです。完全に組み立て屋さんです。

 



中央日報の記事からです。

サムスン・LG「LCD、なかなか終わらない」...任天堂・TVの「逆走」


(前略)

最近、ディスプレイ業界では6月に発売予定の任天堂の次世代コンソールゲーム機「ニンテンドースイッチ2」のLCD逆走行が話題になっている。前作であるスイッチ1の最新モデルにはサムスンディスプレイが納品した7インチOLEDパネルが搭載されたが、後続作であるスイッチ2には7.9インチLCDパネルが適用された。
任天堂は2017年に発売したスイッチ1を通じて全世界の累積販売台数1億5000万台を記録しただけに、部品供給会社には「大手」の顧客だ。業界はスイッチ2に中国や日本企業のLCDパネルが搭載された可能性が高いと見ている。

(中略)

家電業界もLCDのため悩んでいる。市場調査業者のオムディアによると、昨年サムスン電子LG電子が販売したテレビは計5930万台で、このうちLCDテレビの割合は92.2%に達した。

しかし両社の系列会社はいずれもテレビ用LCDパネルを生産していないLGディスプレイは2日、中国TCLの子会社であるCSOTに広州LCD生産工場売却を完了し、サムスンディスプレイも2022年に忠南牙山のLCD生産ライン稼動を終了しLCD事業を完全に中断した。LGディスプレイの場合、中・小型LCDパネルは生産しているが、主にモニターや車両用ディスプレイ製品群に集中している。

それでもLCDテレビがよく売れているため国内家電メーカーは中国や台湾からLCDパネルを買ってきている。サムスン電子は昨年、中国のCSOTや台湾のAUOなどからディスプレイパネルを計7兆5825億ウォン分購入した。前年比29.3%増となった。LG電子も中国BOELCDモジュールを前年比14%増の3兆9539億ウォン分購入した。これはLG電子の昨年の年間営業利益(3兆4197億ウォン)を上回るものだ。

サムスン電子LG電子は昨年、OLEDテレビの販売目標をそれぞれ200万台、350万台と見込んだが、実際の販売台数は144万台と318万台に止まった。OLEDテレビ市場の成長速度が予想より遅く、需要も期待に及ばなかった。

(中略)

一方、サムスン電子は7日、ソウル瑞草区のサムスン江南で2025年型テレビ新製品発売行事を開き「AIホーム」「AIアシスタント」「AI視聴最適化」など人工知能(AI)機能を大幅に強化したテレビラインナップを公開した。AI機能を搭載したテレビモデルの数は従来の34から61へと2倍近く拡大した。NeoQLEDは従来の最大画面サイズだった98型から今年115型と100型モデルが新たに追加された。OLEDテレビモデルの数も従来の10個から今年は14個に拡大し、画面サイズを42型から83型まで多様化した。

サムスン電子映像ディスプレイ事業部のヨン・ソクウ部長(社長)は「サムスンが指向するビジョンAIは使用者のそばで日常をより簡単で便利にするパートナーとして役割をすること」とし「消費者の期待を越えて既存のスクリーンではできなかった新しい経験の世界を開いていく」と話した。



中央日報「OLED로 달려간 삼성·LG "LCD 빨리 안 끝나네"…닌텐도·TV의 '역주행'(サムスン・LG「LCD、なかなか終わらない」...任天堂・TVの「逆走」)」より一部抜粋

私の貧困な想像力では「テレビってそんなに機能必要?」となってしまいます。