韓国で造営が進められている龍仁・平沢半導体クラスターへの送電網建設費用の70%を韓国政府が負担することになったそうです。政府負担ということは、要するに税金、国民負担と言い換えてもいいでしょうか?
韓国で送電網を作ろうとすると、住民の反発が起こり長期間計画が停止するのが当たり前です。そのため、発電所完成後も折角の電気を送れず制限運転していたりと本末転倒な状況が複数箇所で起こっています。
そうした事態を避けるために送電網を地下化する方針で、その費用の7割を政府負担とする案だそうです。
ソウル経済の記事からです。
政府、半導体クラスター送電線の地中化費用の70%を支援...先端基金20兆ウォン投資
政府が龍仁・平沢半導体クラスター送電線路地中化費用の70%を負担することにした。半導体クラスターに電力を供給するためのインフラ拡充に拍車をかけ企業の負担を減らすという目標だ。50兆ウォン規模の先端戦略産業基金のうち、半導体分野に投資する金額も17兆ウォンから20兆ウォンに引き上げる。
政府は15日、政府ソウル庁舎で「経済関係長官会議兼産業競争力強化関係長官会議」を開き、このような内容を盛り込んだ「グローバル半導体競争力先占のための財政投資強化方案」を発表した。 政府は、米国のドナルド・トランプ政権発足後、不確実性が増加する中で政府支援に対する業界の要求が増加する点を反映して対策を用意した。
政府はまず、龍仁・平沢半導体クラスター送電線路を土に埋める地中化作業費用を支援することにした。送電線路は半導体クラスターの電力供給のために必ず必要な必須基盤施設だが、送電線路構築を巡る住民反発と費用負担などにより事業に速度がつけられなかった。龍仁・平沢半導体クラスター送電線路構築には1兆8000億ウォン程度が所要されると予想される。政府はこの費用の70%を国費で支援し、そのうち今年支援することになる金額である626億ウォンを「必須補正予算(補正予算)案」に反映するという計画だ。
50兆ウォン規模の先端戦略産業基金のうち、半導体の低利融資支援プログラムの規模も、従来の17兆ウォンから20兆ウォンへと上方修正される。政府保証債と産業銀行出捐金を通じて財源を用意し、超低利貸出・持分投資・劣後補強など需要者が望む方式で支援する。特に、今年の融資プログラムを通じて3兆ウォン以上を追加供給するため、補正予算案に約2000億ウォンの産銀出資予算を反映する予定だ。
先端素材・部品・装備分野の中小・中堅企業に対する投資補助金も新設する。企画財政部のカン・ユンジン経済予算審議官は「素材・部品・装備のファブレスは私たちが育てていかなければならない分野なので、直接補助金を新設することになった」として「今年1月1日から新規投資された部分も反映する予定」と説明した。これによれば政府は中小·中堅企業の立地と設備新規投資規模の30~50%を補助金として支援する。
(後略)
ソウル経済「정부, 반도체 클러스터 송전선로 지중화 비용 70% 지원…첨단기금 20조원 투자(政府、半導体クラスター送電線の地中化費用の70%を支援...先端基金20兆ウォン投資)」より一部抜粋
この措置一つだけを取り上げて、どうこう言うつもりはありません。
ただ、次期大統領選で「AI関連の話」が持ち上がっていまして(200兆ウォン投資するなど)、それと併せて色々と思う所があります。
GDP(2.0%)のうち、およそ95%(1.9%)を輸出(輸出ー輸入=純輸出)がけん引している韓国、その中で半導体が輸出に占める割合を考えれば半導体産業の維持・発展は韓国にとって死活問題です。
しかし、それと同時に半導体産業による韓国経済への波及効果は、ほぼ無いと言われています。
にも拘らず「半導体さえ生きれば韓国が生きる」と言わんばかりに巨額の税金が突っ込まれるのは、ちょっと疑問というか...他の政策と併せて、もっと多角的に韓国経済を見て行かないとマズイ状況になっていると思うんですがね...。
具体的には「内需」です。輸出でGDPを稼ぎ出してはいても、波及効果が無いということは、その稼いだお金は市場に流れていないということですから、内需刺激策が必要です。
しかし無い袖は振れないので、過剰な家計負債(住宅ローン)を何とかしないといけません。...何とかできるのかはともかく。