韓国開発研究院(KDI)発表の今年の見通し...1.6%→0.8%へ、3ヵ月で半分に引き下げられた話

国際通貨基金IMF)、主要投資銀行(IB)を始め、韓国国内の研究機関に至るまで、韓国の今年の成長率を下方修正しています。
修正幅も大きく、3ヵ月前の半分近い水準まで切り下げるところもあります。

具体的にはバークレー1.4%→0.9%、BOA1.5%→0.8%、シティ1.2%→0.6%、ゴールドマンサックス1.5%→0.7%、JPモルガン0.9%→0.5%、野村1.5%→1.0%、UBS1.9%→1.0%...などです。野村とUBSの見通しが辛うじて1.0%を維持、後は軒並み0%台に引き下げています。

国際通貨基金IMF)も2.0%→1.0%に下方修正しており、韓国開発研究院も昨日発表した「2025年上半期経済展望」で1.6%→0.8%に引き下げています。

 



ニュース1の記事からです。

トランプ発、「Rの恐怖」...韓国、今年0%台成長の憂慮、徐々に現実に


(前略)

国際通貨基金IMF)、海外投資銀行(IB)の相次ぐ成長展望の下方修正に続き、国内国策研究機関まで初めて今年の韓国の成長率を0%台に下げ、年明けに2%前後水準だった経済成長展望が垂直落下している。

(中略)

韓国開発研究院(KDI)は14日発表した「2025年上半期経済展望」で、今年の韓国経済成長率展望値を0.8%と提示した。

これに先立ち、KDIは今年2月、韓国の成長見通しを2.0%から1.6%に下方修正したが、3ヵ月ぶりに再び半分に下方修正した。

KDIはトランプ発関税戦争で輸出が直撃弾を受けている状況で、内需もやはり関税戦争と政局不安により建設と消費を中心に不振が続くと展望した。

KDIのチョン・ギュチョル経済展望室長は「0.8%pの展望値下方には対外衝撃影響が概略0.5%p、対内衝撃が0.3%p程度と算出された」と明らかにした。

KDIが提示した展望値は、海外主要IBの展望と同様の水準だ。国際金融センターによると、海外IB8ヵ所の今年の韓国成長率展望値の平均は、4月末基準で0.8%と集計された。3月末基準の1.4%から1ヵ月で0.6%p下がった。

(中略)

現代経済研究院も1日、成長率展望を0.7%で昨年12月当時に展望した1.7%対比1.0%p下方修正した。

0%台後半に収束している主要機関の成長率展望値が現実化する場合、1998年の通貨危機(-4.9%)、1980年のオイルショック(-1.5%)、2020年のコロナ19パンデミック(-0.7%)以後、4番目に低い成長率になる展望だ。

これに伴い、政府の成長率目標値もやはり下方修正が避けられない展望だ。政府は昨年末に発表した「2025年経済政策方向」で今年の成長率展望値として1.8%を提示した経緯がある。

(中略)

KDIのキム・ジヨン展望総括は「米国が高い関税率を維持する中で相手国が報復関税で対応し通商紛争が激化する場合、韓国経済にも追加的な下方圧力として作用するだろう」とし「相互関税猶予が終了したり韓国の主力輸出品である電子製品に高い関税が賦課される場合、輸出不振が深刻化する可能性もあるが、交渉が円満に妥結し輸出条件が急速に改善される可能性もある」と話した。

(中略)

現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「関税交渉がどうなるかによってさらに下がる可能性も十分にあり、今後の通貨・財政政策の影響もある」として「依然として展望の不確実性が大きい状況」と話した。



ニュース1「트럼프發 'R의 공포'…韓, 올해 0%대 성장 우려 점차 현실로(トランプ発、「Rの恐怖」...韓国、今年0%台成長の憂慮、徐々に現実に)」より一部抜粋

ここでKDIのレポートが読めるのですが、サマリーが以下のようになっています。

・消費者物価は2025年に景気鈍化及び原油価格下落で1.7%に上昇した後、2026年には国際原油価格下落幅が縮小し、内需も緩やかな回復傾向を示し1.8%程度上昇する見込み。

・民間消費は今年も1.1%内外の低い増加率を記録する場、政局不安の影響が緩和され金利引き下げも反映され、来年は1.6%の緩やかな回復を示す見通し

・設備投資は高い対外不確実性にも関わらず、高金利基調が回復され半導体関連投資需要も良好な流れを示すため、今年(1.7%)と来年(1.6%)に緩やかな増加傾向が持続すると予想される。

・建設投資は昨年(-3.0%)に続き、今年(-4.2%)も減少を続けるが、建設受注改善の影響が徐々に反映され、来年は2.4%程度増加し不振が緩和される見通し。

・輸出は米国の関税引き上げによる世界貿易の萎縮により鈍化すると予想。

・経常収支は貿易条件の改善にも関わらず、輸出不振で黒字幅が縮小する見通し。

・就業者数の増加幅は昨年16万人から今年9万人、来年7万人水準に縮小する見通し。


こういう予想の根拠と信ぴょう性はいまいちよく分かりません。が、大体において予想より悪い結果になる(楽観的に予想する)のが韓国クオリティだと思っています。
なんせ、KDIの年初の見通しは「2.0%」でしたからね。それが2月に「1.6%」に引き下げられ、5月に「0.8%」です。もちろん、年初の予測が出た時点では米国の関税は考慮されていなかったでしょうが、それにしても楽観的だったのがよく分かる数字です。