「日本はユン政権に借りがある」と認識している、という話

韓国のシンクタンクの研究員が変なコラムを書いていたので紹介します。
「日本はユン政権に借りがあり、どんな形であれこれに応えなければという認識がベースにある」というのです。

正直、何が言いたいのかイマイチよく分からない文章です。というのが、先の「日本はユン政権に借りがあると認識している」との本人の考え(願望)をベースに内容を構築しているので読み難いのかな、と。そんな気がします。

ざっくり要点を先にまとめておくと。
まず、日本が信頼していたのは「韓国」ではなく「ユン政権」であったにもかかわらず、その政権が突然終焉を迎えたことで対日姿勢が継続されるのか、新政府の方針を注視している、としています。
ユン政権を信頼していたかどうかはともかく、次期政府の対日外交に関心を寄せるのは当然でしょう。

次に、それ(次期政府の対日外交に関心を寄せている)は、韓国は大統領に権限が集中しているので、特に新大統領の外交・安保参謀や駐日大使などの人選に関心が集まっており、さらには国会多数を背景にした「何でもできる政権」への不安もある、としています。

最後に、日本国内には依然として「韓国との協力は不可欠」とする声が大きく、あらゆる分野での連携が必要不可欠な「重要なパートナー」と締めくくります。

まとめると、なんか「普通のこと」を言っているようになってしまったのですが、なんというか文章の背後にそこはかとなく漂う著者の「前提認識」がうーん...という感じがするんですよねぇ。

 



時事ジャーナルの記事からです。

「韓国」ではなく「ユン・ソンニョル」政府を信頼した日本...「不安と憂鬱」の中、新政府注視


(前略)

まさにこの点が私たちが注目すべき第一に、日本の現在の韓日関係に対する認識だ。2023年以降続いてきた韓日関係改善の先頭に立っていた人が、ユン・ソンニョル元大統領だということであり、国内的な反対と否定的な視線の中でもこれを引っ張ってきたユン・ソンニョル政府に対する堅固な信頼が位置している。言い換えれば、日本はユン・ソンニョル政府には借りがあり、いかなる方式であれこれに呼応しなければならないという認識が底辺に位置していた。荒々しく言えば、これは「韓国」との協力というよりは「ユン・ソンニョル政府との協力」「ユン・ソンニョル政府に対する呼応」である。

しかし、新政府がユン・ソンニョル政府ほど日本との関係を重視するかどうかは未知数だ。各種世論調査で圧倒的優位を占める第1党有力候補が大統領に当選する場合、ユン・ソンニョル政府の対日路線がそのまま維持されるとは見難く、日本に対する政策が明確に提示されていない状況で強調される実用・実利・実益はむしろ不信を煽る。日本で「韓国に利益にならなければ反日に転じるのではないか」という憂慮が出てくる理由でもある。

さらに、過去に日本を「適性国家」と言及するなどの発言があったことから見て、突然の日本親和的姿勢はむしろ疑わしいということだ。信頼の観点から見ると、むしろ一貫性がないという認識と、これまで蓄積されてきた信頼の経験が不足しているという認識ともつながる。

(中略)

さらに一歩進んで、現在国会の多数を占める第一党で大統領が選出される場合、国会の絶対多数の支持を背にした大統領は文字通り「何でもできる」大統領になるという懸念も存在する。実状がこれと違うとしても、強大な国会の支持を得る大統領に対する不安でもある。これは7月に行われる参議院選挙の結果と関係なく、依然として少数与党である自民党の現実と不確実な石破政権の持続可能性を考慮する時、日本が一歩積極的に進むことができない現実を反映したりもする。

それにもかかわらず、日本国内には韓国との友好的な協力関係を維持すべきだという幅広いコンセンサスがある。これがまさに3度目の日本の認識である。世界的に置かれたトランプ発の関税危機と国際情勢の不安定の中で、日本と類似した立場に置かれている韓国との協力は日本にも重要だ。

(中略)

すなわち、域内唯一の自由民主主義及び市場経済の価値を共有する韓国は、日本にとっても重要な協力パートナーであるという認識が日本社会に広く形成されている。ただし、多様な国内外的変化の中で日本が先に積極的に協力に乗り出すことは容易ではないと考えられる。協力の姿勢は維持するものの、韓国の新政権の対外政策基調と方向性を注視するものとみられる。

(後略)



時事ジャーナル「'韓' 아닌 '윤석열 정부'를 신뢰했던 日…'불안과 우려' 속 韓 新정부 주시(「韓国」ではなく「ユン・ソンニョル」政府を信頼した日本...「不安と憂鬱」の中、新政府注視)」より一部抜粋

ユン政権を信頼?借りがある?いやいや...ムン政権の「-100点」がユン政権で「-50点」になったって感じです。相対的に見れば「+50点」ですけど、結局はマイナスはマイナスです。

まあ、それはともかく、「コレ」がシンクタンクの研究員が書いているというのですからお察しというか...。

書いていて自分でオカシイと感じなかったのでしょうか?
日本側から「不信」「憂慮」の目で見られており、十分な信頼が無いにもかかわらず、なぜ日本で「韓国との友好的な協力関係を維持すべきだという幅広いコンセンサスがある」と言い切れるのでしょう?
普通に考えたら、そんなわけないですよね?そうしたコンセンサスがあるとしたら、何かしらの「理由」や「背景」があるはずですが、著者は特にそれを示していません。
「日本にとっても重要な協力パートナーであるという認識が日本社会に広く形成されている」という主張が論を支えているのでしょうが、これも根拠が無いですよね。

結局、この辺りは著者の言う「日本はユン政権に借りがある」が前提となって出てきた「ご都合論」だと思うんですけど、どうでしょう?

ちなみに、特に訳しませんがコメント欄では「日本の信頼が私たちに何をくれた?」「それで何か私たちが得た利益があるのか?」といった否定的な意見が支持を集めているようです。