韓国銀行が5日出したレポート「BOOKイシューノート:日本経済から再確認する教訓」内で、韓国経済の現状が日本のバブル崩壊直前に「似ている」と警告があったそうです。
先にオチを言っておくと、このレポートを要約すると「早く何とかしないと」です。
「〇〇が必要だ」「〇〇しなければならない」との表現はやたら出てきますけれども、例えば「技術構造改革も推進しなければならない」のように抽象的なものばかりです。いつものことですね。
イーデイリーの記事からです。
「日本のバブル崩壊寸前に似ている」...韓国経済に警告が出た
(前略)
韓国銀行は5日「BOOKイシューノート:日本経済から再確認する教訓」というレポートを通じて「韓国経済は対外的に国家間先端技術覇権競争が深化し、地政学的安保を重視する保護貿易主義が強化され交易条件が悪化している」と診断した。
また、対内的には早い人口高齢化、不動産資金の偏りなど長期間累積した構造的問題が表面化し、成長潜在力が弱まっている。
第2次世界大戦以後、高度成長を達成した日本は1980年代後半から現れた負債構造、人口構造、技術·生産構造変化に適切に対処できず成長潜在力が低下し構造改革対応も遅れ景気低迷が長期化した。
韓国の経済事情も日本と大きく変わらない。不動産の家計負債が懸念される水準まで累積した結果、民間レバレッジ比率が日本バブル期の最高値(1994年、214.2%)に近づき、人口高齢化の速度は日本よりさらに速い。
また、韓国は2000年以後、グローバル水平分業体系に積極的に参加し、対中国・IT輸出主導で成長してきたが、その根幹であるグローバル通商秩序が根本的に揺れており、中国特需も消えている。
韓銀はまず、不動産による負債の累積には事前に段階的なリスク管理が最善の方法だと見た。もし負債がすでに不良化した場合は、迅速な構造調整が必要だ。韓国はグローバル金融危機を経験した後も特別な構造改革なしに不動産資金の偏り現象が続いてきた。
(中略)
韓国はキャリア断絶女性、熟練引退者、休んだ青年など遊休人材生産参加拡大、革新指向的教育投資強化などで労働力を量的にも質的に拡充していかなければならない。また、外国人労働力をより体系的で持続可能に活用できる方案も検討する必要があり、出産率を段階的に向上させる努力も持続しなければならない。
さらに技術構造改革も推進しなければならない。
(中略)
このため、韓国は人工知能(AI)など先端産業の育成とIT、医療、文化コンテンツなど高付加価値サービスの輸出を新しい成長動力にしなければならないと見た。
(中略)
韓銀はバブル崩壊前後の日本は結果的に長期間の低成長·低物価につながった負債・人口・技術の3つの側面での構造変化に直面しており、今日の韓国の事情も大きく変わらないと分析した。
(中略)
ただ、韓国経済の未来について悲観的に見ることはできないと話した。韓国経済が最貧国から先進国に短期間跳躍した底力、絶え間ない革新努力で製造工程分野の先頭圏の競争力、K-コンテンツなどサービス業種でのソフトパワーを育てている点などを挙げた。
イーデイリー「“日버블붕괴 직전과 닮았다”…한국 경제 경고 나왔다 (「日本のバブル崩壊寸前に似ている」...韓国経済に警告が出た)」より一部抜粋
記事内で特に太字にした部分に注目していただきたいのですが、相変わらず何か言っているようで何も言っていないレポートです。
問題認識は「出来ている」と好意的に見ることは出来るかもしれません。しかし、この程度の問題認識はずっと以前から出来ていましたし、今さらです。
つまりずっと「問題だ」としながら、何もしてこなかったわけです。(その辺も日本とよく似ていますね)
それを今更なんとかできるものでしょうか...?
まあ、これは「韓国銀行」が出すレポートですから、通貨政策で出来ることは限られているというのが主な主張かもしれません。行政側の金融・経済政策にこの問題意識をきちんと反映してくれ、と言いたいのかも。
いずれにせよ、なんともならなかった場合は悲惨です。韓国の現状はある意味、当時の日本以上に悪い部分(家計負債規模、政府負債の増加速度、建設業界不況、自営業者比率、少子高齢化速度など)がありますから、日本のバブル崩壊時より深刻な事態になる可能性が高いです。