「生産的な分野に信用が配分されるよう誘導する政策が必要だ」という話

国際金融協会が出した「世界負債宝庫k住世」によると、韓国の今年第1四半期の家計負債はGPD比で90.3%で、調査対象国38ヵ国中第2位だったとのこと。(1位はカナダの100.4%)

日本や米国、英国などの先進国(なぜかいつも先進国と比べたがります)や中国が60%~70%台で推移していることを考えると、頭抜けて高いと言えます。

韓国の家計負債高すぎ問題が指摘され始めて大分経ちますが、何にも状況は変わっていないわけです。

 



ソウル経済の記事からです。

家計負債比率90%で世界2位...変動性に脆弱な「軟弱経済」


(前略)

12日、国際金融協会(IIF)の「世界負債報告書」によると、今年第1四半期基準で韓国の国内総生産GDP)対比家計負債比率は90.3%だ。調査対象38カ国のうち、カナダ(100.4%)に次いで2位だ。2021年第3四半期は99.3%とピークに達し下落傾向を見せているが、主要先進国である米国(68%)、日本(61.8%)、英国(76%)はもちろん、中国(61.1%)に比べて依然として圧倒的に高い。

家計と企業の負債を合わせた民間負債は2020年に初めてGDPの2倍を超えて以来、引き続き同様の水準(2024年第3四半期基準で201.9%)を示している。日本のバブル崩壊が本格化した1992年(208%)の水準まで上がってきた。

負債が多ければ経済を圧迫する要素として作用する。過度な家計負債は消費余力を減らして内需不振を触発し、景気低迷を招きやすい。成長率が下がれば賃金と所得が低くなり負債が増える悪循環に陥る。また、企業が負債償還に集中すれば投資・雇用・研究開発(R&D)支出が減り、長期的に成長動力が減少することになる。

さらに、金利上昇期には利子費用が急増し、家計の消費心理がさらに大きく萎縮し、利子すら返済できない限界企業が増え、経済にさらに大きな打撃を与えかねない。

(中略)

円光大学経済金融学科のチェ・ナムジン教授は「特に我が国は変動金利貸出比重が高く長期金利が上がれば利子負担が直ちに増える」として「これは経済に致命打になりうる」と説明した。

(中略)

特に、韓国の民間負債は不動産にあまりにも集中しているという点が問題として指摘される。金融界によると、昨年末基準で不動産部門に投入された信用残高は1932兆5000億ウォンで、全体民間負債の49.2%を占めている。不動産信用残高は14年以降、年間100兆ウォン以上増加し、10年ぶりに2倍以上に増えた。

(中略)

実際、国内外の機関は不動産に集中している負債などを懸念し、韓国の潜在成長率を持続的に下げている。

(中略)

経済協力開発機構OECD)は来年、韓国の潜在成長率の推定値を1.98%と提示した。2017~2026年の10年間、韓国の潜在成長率の下げ幅は1.02%ポイント(3.00%→1.98%)で、潜在成長率が公開された37カ国の中で7番目に下落幅が大きい。

専門家たちは急増した負債の軟着陸を誘導し、不動産に過度に集中した融資を生産性の高い企業に分散しなければならないと指摘する。延世大学のキム・ジョンシク名誉教授は「負債増加傾向が続けば家計と企業の支出減少で内需および投資不振を触発し成長率鈍化につながりかねない」として「貸出需要を管理しながら生産的な分野に信用が配分されるよう誘導する政策が必要だ」と指摘した。



ソウル経済「가계부채 비율 90%로 세계 2위···변동성 취약한 '약골 경제'(家計負債比率90%で世界2位...変動性に脆弱な「軟弱経済」)」より一部抜粋

「生産的な分野に信用が配分されるよう誘導する政策が必要」...で、具体的には?という話なんですが、これがイ・ジェミョンさんが言っている「株式配当増やす」に繋がるんでしょう。

上で引用したソウル経済は、どちらかというと保守・ビジネス寄りのメディア(のはず)なのですが、イ・ジェミョンさんの「配当を増やすお」に同調するような記事を書いたのは、市場・ビジネスの目線では正しい主張と捉えたからでしょう。

ただ、それも「じゃあ、具体的にどうやって配当を増やすの?」という所に関しては何も具体案が示されていません。
企業の「ズル」さえ規制してやれば、配当に回すお金が湧いてくるのでしょうか?