日韓経済人会議「韓国のCPTTP加入のための活動を実施」宣言と、SK会長が推す日韓の「経済共同体」の話

日韓経済人会議なるものが先月28日(イ・ジェミョンさん就任前)に出した共同声明で「韓国のCPTTP加入のための活動を実施する」と宣言していたそうです。
まあ、活動するだけなら好きにすれば良いと思います。韓国がCPTTPの要求する水準をクリアできなければ加入申請が通らないだけですから。

ただ、この共同宣言とは直接関係ないのですが、SKグループの会長がキモチノワル ...アタマノオカシ ......頭お花畑(オブラート)なことを言っておりまして、日本と韓国とでEUのような経済共同体を目指すべきだ、と。
「韓日経済共同体」構想というのだそうですよ。記事中では「いわゆる」と書かれています。一体何が「いわゆる」なのか。

 



ソウル経済の記事からです。

財界「韓日協力を超え、EUレベルの経済同盟帯に進化すべき」


(前略)

韓日経済人会議は先月28日、共同声明を通じて「先行的に関連団体と協力して韓国のCPTPP加入のための活動を実施する」と宣言した。韓国側からは韓日経済協会長のキム・ユン三養グループ会長をはじめ、ロッテグループのシン・ドンビン会長、暁星グループのチョ・ヒョンジュン会長などが、日本側からは日韓経済協会の麻生泰副会長、朝日グループホールディングスの小路明善会長、大垣精工の上田勝弘会長などが参加した。

CPTPPは米国が主導して運営していた環太平洋経済連携協定(TPP)から米国が脱退した後、日本主導で2018年に新たに発足した経済協定だ。 現在、日本をはじめカナダ・英国・ベトナムなど12カ国が参加している。これら加盟国の国内総生産GDP)の合計は全世界の15%に達する。 CPTPPは域内関税を全面撤廃することを原則とするため、関税戦争を避ける主要案になりうるという評価だ。

韓国貿易協会のユン・ジンシク会長は最近、韓日FTAの必要性を力説した。ユン会長は「保護貿易主義強化、米国ドナルド・トランプ2期行政府の自国優先主義と米中競争深化、関税障壁、輸出規制などグローバル秩序の地殻変動が韓日協力の必要性をより一層切実にしている」とし「両国協力は経済分野に肯定的効果をもたらすだけでなくFTA議論で漸進的に拡張できる」と話した。韓日経済協会のキム・ユン会長も日本経済新聞とのインタビューで「韓日がFTAを締結し一つの経済共同体を作り、米国トランプ政権の関税政策に共同対応しなければならない」と促した。

SKグループのチェ・テウォン会長兼大韓商工会議所会長は、韓日経済連帯を新たな成長モデルに引き上げた。単なる経済協力を越え、いわゆる「韓日経済共同体」構想だ。チェ会長は先月、イ・ジェミョン大統領(当時、共に民主党大統領候補)を招待した経済5団体懇談会で「最も近い隣人である日本との経済連帯を模索する必要がある」とし「単なる協力程度ではなく、欧州連合EU)のような経済共同体を考えている」と明らかにした

チェ会長は「韓国と日本のGDPを合わせると、6兆~7兆ドルと(経済規模を)拡大できるが、ここで1%の成長は韓国だけを基準とする2~3%の成長より大きい」と説明した。財界関係者は「韓日は少子化と高齢化、地域不均衡など共通の社会構造的課題を抱いているだけに経済を越えて広範囲な分野で協力が可能だ」と話した。



ソウル経済「재계 "韓日 협력 넘어 EU 수준의 경제동맹체로 진화해야"(財界「韓日協力を超え、EUレベルの経済同盟帯に進化すべき」)」より一部抜粋

麻生泰(ゆたか)さんは、ちょっと前、騒ぎになった某美容整形医師の通名の方ではなく、麻生太郎さんの実弟です。麻生セメントの取締役でもあります。
アサヒグループの小路さんは経団連の副会長で、この6月に日韓経済協会の会長に就任されたはずです。
大垣精工の上田さんは旭日中綬章を授与されるほどの立派な方ですが、経歴(国立ソウル科学技術大学金型工学科名誉工学博士教授、柳韓大学金型設計科客員教授、公州大学客員教授、京畿科学技術大学客員教授...2013年時点)を見るに、ベッタベタの仲良しこよしだろうと推測します。


記事では、日韓の「財界」が「韓日経済共同体構想」を支持したかのような釣りタイトルになっていますが、あくまで財界(韓日経済人会議)が行ったのは「韓国のCPTPP加入のための活動を実施する」という共同宣言のみです。
「韓日経済共同体構想」の話が出ているのは、韓国国内(SKグループ会長の発言)だけです。

それにしても6兆~7兆ドルの経済規模の2/3は日本なんですけどね(2023年GDP、日本:4.2兆ドル、韓国:1.7兆ドル)。
しかも韓国は内需貧弱国です。韓国国内で物が売れなくなっているので、日本の「内需」を韓国の「内需」として取り込みたいという思惑だろうと思われます。