「消費クーポン」効果...20~40%の見込み、内需刺激になるか?な話

イ・ジェミョンさんは前々から「消費クーポン」に拘りがあるようです。債務取消と並行して「消費クーポン」のバラ撒きが急ピッチで進められています。
日本の感覚でいうと、恐らく「地域振興券」に近いものです。懐かしいですね、「地域振興券」。2000年頃に散々騒がれたような気がしますけれど、アレ一体どうなったんでしたっけ?

「消費クーポン」は全国民を対象に、所得によって15万~50万ウォン(約1万6000~5万3000円)の範囲で受け取れる額が変わります。
地域限定でしか使えないものですから地域経済の活性化に寄与する、とされていますがはてさて?

 



聯合ニュースの記事からです。

「全国民支援金消費創出効果20~40%」...内需に恵の雨になるか


政府が2次追加補正予算案で全国民に15~50万ウォンずつ民生回復消費クーポンを支給することにし、実際の消費促進効果に注目が集まる。

COVID-19災難支援金関連研究結果では新規消費創出効果が概して20~40%と分析された。 政府も似たような水準と推定しているという。

政府が投入したお金の20~40%が新しい消費を生み出し、残りは既存消費を代替したり貯蓄されたということだ。

(中略)

効果は業種別に差別的だった。

対面接触が必要でない(準)耐久材、必須材で効果が大きかったが、対面サービス業と飲食業では相対的に小さかった。

イ・ウジン高麗大、カン・チャンヒ中央大、ウ・ソクジン明知大教授の論文では、新型コロナウイルス緊急支援金の限界消費性向が2020年第2四半期0.362~0.421、第3四半期0.401~0.481と現れた。2020年第2四半期と第3四半期を合計すると、0.654~0.782程度と推定された。

政府が2020年第2~3四半期に支給した緊急支援金総額約21兆7千億の内、14兆2千億~17兆ウォン程度が消費支出に使われたという意味だ。

(中略)

パンデミックの時とは異なり、今は対面消費が円滑で内需が長期間低迷していたため消費効果がさらに大きい可能性もあるという見方もある。

専門家らは22日、今回の民生回復消費クーポンも40%程度の消費性向が現れると予想した。4人世帯が100万ウォンを受け取るならば40万ウォンが追加消費につながるということだ。

(中略)

キム・ミル研究委員は「業種別に差はあるだろうが、マクロ的に支援金と関連した研究で20~40%の消費効果が創出される」と話した。

(中略)

企画財政部は19日、追加補正予算案を発表し、13兆2千億ウォン分の「民生回復消費クーポン」を支給すると明らかにした。

クーポンは2回に分けて支給されるが、1次・2次を合わせれば1人当り支給クーポン金額は▲所得上位10%(512万人)15万ウォン▲一般国民(4296万人*1)25万ウォン▲次上位階層(38万人)40万ウォン、基礎受給者(271万人)50万ウォンだ。

(後略)



聯合ニュース「"전국민 지원금 소비창출 효과 20∼40%"…내수에 단비될까(「全国民支援金消費創出効果20~40%」...内需に恵の雨になるか)」より一部抜粋

40%が消費に回るなら悪くないと思います。

ただ、以前にイ・ジェミョンさんは「ホテル経済論」という意味不明な理屈を持ち出していました。ザックリ言うと以下のような理論です。

「観光客がホテルを予約し、予約金10万ウォン(約1万円)を払えば、ホテルのオーナーはこのお金を用いて、最近ツケで買ったベッドの代金を返し、ベッドを売った家具店は懐に入った10万ウォンで店員たちとチキンを買って食べる。チキン店のオーナーは文具店で10万ウォン分の文具を買う。ちょうどホテルに10万ウォンを借りていた文具店は、ホテルに10万ウォンを返済する。ここで、観光客がホテルの予約をキャンセルしたとしても、ホテルは文具店から受け取った10万ウォンを旅行客への返金に充てることができる」


これが成立しないのは分かりますよね?普通、収入の100%を支出に回すことは無いからです。
しかしイ・ジェミョンさんはこれを「堂々」と語りました。
もしかしたら、イ・ジェミョンさんなりに「信用創造」を解釈し、それを実経済全体(金融機関以外にも)に拡大すれば良いと考えたのかもしれませんが、これは金融崩壊を招く可能性が高いと思います。金融機関が「信用創造」を行えるのは厳しい資本規制や支払準備などのルールに則っているからです。

まあ、それはともかく。イ・ジェミョンさんの頭の中に「消費クーポンを受け取った国民は100%消費に回す」という皮算用がなされているなら、期待するほどの効果は出ないことになります。


*1:原文「4천296만원」。これだと「4296万ウォン」になってしまう。원(ウォン)→명(名)の誤字と判断。