サムスンファウンドリの2nm・3nmの歩留まりが改善され、商用可能な水準にまで達したとの報道がありました。
しかし、歩留まり解消に時間が掛かったために性能改善の進捗が遅れ、4nm以降の既存チップにおいてもTSMCと比較して性能が劣るとの評価を受けているとのこと。
サムスンはこれに対して価格をTSMC比30%ほど安く設定することで「コスパ」で勝負するようです。
また、1nm量産時期を当初計画から2年遅らせ、既存チップの工程を高度化する方に注力するそうです。
朝鮮Bizの記事からです。
「収率は掴んだが、性能はTSMCに比べて劣勢」…サムスンファウンドリ、工程高度化に総力
(前略)
4日、業界によると、サムスン電子のファウンドリー事業部はチップ性能を改善できる工程高度化方案を用意することに注力していることが分かった。1nm量産時期を2年ほど遅らせ、3nm以下の先端工程だけでなく既存の主力工程の性能改善に集中する方針だ。半導体業界関係者は「NVIDIAとグラフィック処理装置(GPU)関連性能テストを進行しているが、TSMCと比較すると進捗が遅い状況」とし「クアルコムと評価している製品も物量規模が大きくなく収益性改善に役立つ水準ではない」と話した。
当初、サムスン電子が計画していた1.4nm工程導入は2027年から2029年に延ばされる展望だ。2nm工程では2nm2世代(SF2P)工程を高度化し、全体性能を約20%以上高めた3世代(SF2P+)を来年量産するという方針だ。NVIDIAとAMD、アップル、クアルコムなどビッグテック企業物量を大挙受注したTSMCとは異なり、サムスン電子は自社システムLSI事業部のアプリケーションプロセッサー(AP)と国内外スタートアップの開発物量の他には確保された顧客社がない状況だ。
4nm工程も電力比効率性能などを20%ほど高めたSF4U工程を基に物量受注に注力する計画だ。 4nmと5nm、7nmなど従来の工程もTSMCと比較するとチップ性能が低調だという評価を受けた。ただし、サムスン電子は工程価格をTSMCと比較して約30%安く策定する方式で対応している。
(中略)
TSMCは1.6nm工程を来年下半期に商用化する方針だと伝えられた。インテルもサムスン電子とTSMCに追いつくために1nm級工程に注力する計画だと伝えられた。ロイターは2日(現地時間)「リップ=ブー・タン・インテル最高経営者(CEO)がアップル、エヌビディアなど大型顧客会社を誘致するために14A(1.4nm)工程に集中する方案を検討中」と報道した。
朝鮮Biz「“수율은 잡았는데, 성능은 TSMC 대비 열세”… 삼성 파운드리, 공정 고도화 총력(「収率は掴んだが、性能はTSMCに比べて劣勢」…サムスンファウンドリ、工程高度化に総力)」より一部抜粋
コスパで勝負するというのは一つの手ではあるのですが、今回のサムスンの場合、もともとコスパ勝負の商品投入という訳ではありません。あくまで対処療法としての戦略です。
そのため売れば売るほど赤字、という可能性もあります。