米国との関税交渉の材料として、韓国は新たに造船分野をカードとして準備しているようです。
先日、ラトニックさんに会った時に、「米国は造船分野に関心がある」というようなヒント(?)をもらっていたそうです。
また、日米の交渉でも造船分野が交渉内容に含まれていたことから「日本より競争力のあるウリナラもイケる!」となったみたいです。
ただ、次に韓国が協議できるのは31日の可能性が高いです。
デジタルタイムスの記事からです。
レッドライン、韓米間の関税猶予...政府、造船で突破口を開くか
(前略)
韓国政府は韓米相互関税猶予終了が適用される来月1日以前に最大限関税を下げるために30日~31日の終盤交渉妥結を目標に総力戦を繰り広げている。これに先立ち、韓国は24日(現地時間)、米ワシントンDC商務省でキム・ジョングァン産業通商資源部長官とラトニック長官が会った席で、「米国が造船分野について多くの関心を持っている」というヒントを得た。これに対し関税問題解決が切実な韓国政府は国内造船「ビッグ3」(HD現代・ハンファオーシャン・サムスン重工業)などとの協議を通じて現地建造・技術移転・人材養成など具体的協力方案をすでに用意し、米国側に提示すると知られた。
韓国は造船産業で世界最高を争っており、日本より競争力が高いという評価を受けてきた。日本は米国との関税交渉で相互関税を15%まで下げたが、これには日本が米国造船産業に直接投資する内容が含まれている。韓国と中国の間で造船産業の競争力が一枚下と評価される日本も、造船産業を米国との関税交渉でてこに使ったのだ。 韓国の造船業界が米国と協力する方向で交渉を続けることができれば、造船産業では両国がより大きなシナジー効果を出すことができ、韓国政府も交渉に使える強力なカードを得ることになるという解釈が出た。
(中略)
造船業界では政府が必要なことがあれば最大限協力するという立場だ。業界関係者は「韓国や米国政府にアピールできる案があったとすれば企業が先に広報しただろうが、トランプ政府でガイドがいたりしたわけではないと理解している」とし「ひとまずは政府の交渉過程を見守って必要なことがあれば最大限協力するという立場を持続している」と説明した。
別の業界関係者は、「米国が今、船舶が多く必要な状況だという点を挙げ、実質的な協力強化が方法になるだろう」と見通した。この関係者は「韓国造船所が協力して技術移転や米国投資をすれば、米国は関税をある程度下げて韓国造船所で船を発注すれば互いにウィンウィンになりうる」と説明した。このため、維持・保守・運営(MRO・Maintenance、Repair、Operation)事業で信頼関係を回復し、戦闘艦ではない艦艇を対象に協力を強化していく方案も可能だと見た。
一方、ドナルド・トランプ米大統領をはじめ、ハワード・ラトニック商務長官、ジェミソン・グリア米貿易代表部(USTR)代表、スコット・ベッセント財務長官など、米国の貿易交渉の主要関係者らは27日(現地時間)、EU・中国などと貿易交渉のために時間を割いている。事実上、トランプ大統領が帰国した後の30~31日の2日間が対韓国25%相互関税発効前の最後の交渉舞台になる展望だ。
デジタルタイムス「레드라인 임박한 한미 관세 유예…정부, 조선으로 돌파구 마련하나(レッドライン、韓米間の関税猶予...政府、造船で突破口を開くか)」より一部抜粋
記事の主張は「造船技術において韓国は日本寄り高い技術力を持っている」が前提となっています。恐らく、この前提の根拠となっているのは受注数(シェア)だろうと思われます。そうであれば日本が「造船産業の競争力が一枚下と評価される日本」という書き方に納得がいきます。
が、「技術」という点でいうとそんなに単純な話にはなりません。日本が問題を抱えているのは「技術力」というより人手不足やコスト競争なので。単純な「技術力」の話となると、韓国には韓国自身が思っているほどのアドバンテージはありません。
韓国の思惑通りにコトが運ぶのかは分かりませんけれど、残された時間は少ないです。しかも、米国は中国・EUとの協議を優先しており、韓国が次に協議できるのは31日にベッセントさんに会うのが最後(最初?)です。(記事内では30~31日と書かれていますが、企画財政部関係者の話では31日に財務長官協議が行われるそうです。また、韓外交部長官も米国務長官に会う予定だとか)
もちろん、コトがコトなだけにスケジュールが前倒しになる可能性はあり得ます。しかし、ここでまとめられなければ、韓国のGDPは最大-0.4%との試算が出ています。
韓国側はそれまでに米国を納得させるカードを用意しなければなりません。求められている4000億ドルの投資を回避するには、それなりのものが必要になるかと思いますが...気になるのは上で引用した記事の「造船関係者の話」を読む限り、企業側とのスリ合わせがどの程度出来ているのか分からないという点です。
勝手に交渉材料に使って勝手に決めて結果だけ押し付ける、とかだったら最悪です。