「撮影中の韓国映画がない」という話

ここ最近、邦画は元気がある印象です。特に強いのはアニメですが...それでも2024年の邦画の国内年間興行収入は1500億円超え、2016年の1486億円を抜き、歴代1位です。邦画好調の流れは今年も続いています。

一方、お隣の韓国はどうも日本とは逆のようで、現時点で撮影中の韓国映画が「全く無い」のだそうです。映画は撮影期間から封切まで大体2年のタイムラグがあります。よって、撮影中の映画が「無い」ということは2年後に公開される映画が「無い」という意味です。

以下で引用する記事では、この原因をネットフリックスを始めとしたOTT(Over-the-Top media service ; 動画配信サービス、ストリーミングサービスのこと)の影響によるものと分析しています。

 



ヘラルド経済の記事からです。

「1000万→わずか87万人、完全崩壊」好調だったキム・ゴウンも「苦い味」を見た末に...ついに爆発すべきものが爆発した


「映画が全く作られない」

ネットフリックス発の映画の危機が現実化した。今年の映画製作がほとんどないと伝えられた。今撮影中の韓国映画がないということは、2年後に封切りする映画が「0件」ということを意味する。

「暗殺者(達)」のホ・ジノ監督は最近、「韓国映画の跳躍のための提言」フォーラムに出演し、「一言で『崩壊』と言いたいです。韓国映画が全く作られていません」と語った。

キム・ゴウンが出演した「破墓」で1200万人近い観客を集めたチャン・ジェヒョン監督も「崩壊」という表現に同意した。

特に監督・俳優を問わず「この人なら見る」という興行保証小切手が消えた。CJ ENMのイ・ヨンジュ映画事業戦略チーム長は「興行公式が崩れた」と話した。

今や1000万映画は思いもよらない。「破墓」で1000万人の俳優に名を連ねたキム・ゴウンの最近の映画「大都市の愛し方」はわずか87万観客に止まった。

ユナ主演で関心を集めた「悪魔が引っ越してきた」は観客数がせいぜい42万人に止まった。犯罪都市シリーズを相次いで1000万映画に載せたマ・ドンソクのもう一つの1000万人の期待作「聖なる夜:デモンハンターズ」は観客数77万人にとどまり、興行に惨敗した。

単一映画の規模では最高水準である製作費300億ウォンが投入された今夏1000万期待作「全知的読者視点」も累積観客が106万人に止まった。

今年の累積観客数1位は563万人の「ゾンビ娘」、2位は337万人の「野党」だ。秋夕連休特需に封切り話題を集めた「仕方ない」、「ボス」は300万観客も容易ではない状況だ。

(中略)

OTTの月購読料は映画一本のチケット代と近い。映画館に一度行けば、映画チケットやスナック費用を合わせて1人当り平均3万ウォンの費用がかかる。このような場合、家でネットフリックスを思う存分見た方が良いと考える人が多いのが現実だ。

(中略)

映画振興委員会によると、今年上半期まで総観客数は約4250万人に過ぎず、今年の年間で見れば2005年以後初めて総観客数が1億人を越えられないものと見られる。



ヘラルド経済「“1000만→고작 87만명, 완전 붕괴” 잘 나가던 김고은도 ‘쓴맛’ 보더니…결국 터질게 터졌다(「1000万→わずか87万人、完全崩壊」好調だったキム・ゴウンも「苦い味」を見た末に...ついに爆発すべきものが爆発した)」より一部抜粋

現時点で韓国では「鬼滅の刃 無限城編」は約542万人、「チェンソーマン レゼ編」は約263万人を記録しています。

OTTによる影響ですけど、無いとは言えないものの、それだけとも思えません。
代表的なストリーミング配信としてネットフリックスを例に考えてみます。(ネットフリックスは公式に加入人数を発表していませんからあくまで「概算」です)
日本のネットフリックス加入者は約900万人、韓国は約830万人と見られています。人口比で見ると韓国の方が加入比率は高いですね。

次に、2024年~2025年にかけての日本国内での興行収益Top10(半分以上がアニメ作品というのは日本独特の現象かもしれませんが...)の公開日とストリーミング配信開始状況を確認してみると配信開始されているものは「2本」だけです。
また、劇場公開から配信開始までの期間ですが、大体1年掛かっています。

これらと、先に触れた「鬼滅」と「チェンソー」の韓国での興行成績とを合わせて考えてみると、単に「OTTの影響」という単純なものではないように思えます。劇場に足を運ぶか、ストリーミング配信まで待つかは作品の持つ「旬」的なものが訴求力になっているような気がします。

後は劇場の設備による「体験」の違いでしょうか。記事中で触れられている映画のどれも私は見たことがないので分かりませんが、映画館の大きなスクリーンと音響設備で見たいと思わせるものであったのか?という疑問です。
私はチェンソーマンはIMAXで見ました。これを自宅のPCモニターとヘッドフォンとで見た場合、それはそれで楽しめたでしょうけれど、果たしてここまで満足感を得られたかな?というのは少し疑問があります。設備が占める「体験」の要素がそれだけ大きいということです。

OTTがどうの、というのも影響としてはあるでしょうけれど、映画館向きの映像作品とストリーミング向きの映像作品の見極めが大事になってくるのかもしれません。