10月31日、ソウル中央地裁は大庄洞開発不正疑惑に関する一審判決を出しました。起訴された5人全員が有罪判決です。
大庄洞開発不正とは、京畿道城南市大庄洞で行われていた都市開発プロジェクトを巡る不正疑惑事件です。この開発プロジェクトでは、自治体や公社より民間側が巨額の利益を得る構造となっており、これが公社と民間業者の癒着・便宜供与なのではないか、との疑惑が持たれています。
そして、この開発プロジェクトを進めた当時の城南市長が、後の京畿道知事で現職大統領のイ・ジェミョンさんです。
今回の判決文ではイ・ジェミョンさんに関しては「判断保留」となっており審理されていません。
有罪になった5人は全員控訴したのでこれから二審、三審と進んでいきますが、検察は控訴しませんでした。(検察が控訴しないと一審判決以上の刑罰を科すことはできません)
捜査チームは控訴するつもりだったのを「上層部が控訴状提出を阻止した」のだそうです。イ・ジェミョンさんの顔色を窺った可能性が指摘されています。
また、現在、韓国与党の共に民主党は「背任罪の廃止」に向けて動いており、これも影響した可能性があります。有罪になった5人全員、主な罪名が「業務上背任」なので。
聯合ニュースの記事からです。
検察「大庄洞不正」控訴断念...捜査チーム「指揮部が控訴禁止を指示
(前略)
8日、法曹界によると、ソウル中央地検は特定経済犯罪加重処罰法上背任などの疑いで起訴されたユ・ドンギュ前城南都市開発公社企画本部長とキム・マンベ氏をはじめとする民間業者の1審判決に対して控訴期限の7日午前0時まで控訴状を出さなかった。
刑事事件は判決に不服する場合、宣告日から7日以内に控訴しなければならない。検察が控訴を放棄すれば刑事訴訟法上「不利益変更禁止」原則により1審より量刑を高めることはできない。
ユ前本部長とキム氏など被告人5人は全て控訴した状態だ。
1審はユ前本部長に懲役8年と罰金4億ウォン、追徴8億1千万ウォンを宣告した。
華川大油の大株主であるキム氏は懲役8年と428億ウォンの追徴が下された。天火同人4号所有主のナム・ウク弁護士は懲役4年、5号所有主のチョン・ヨンハク会計士は懲役5年を宣告された。
公社戦略事業室で投資事業チーム長として働いたチョン・ミンヨン弁護士は懲役6年および罰金38億ウォン、追徴金37億2200万ウォンが宣告された。
(中略)
ユ前本部長とキム氏らは大庄洞開発事業と関連して華川大油に有利になるよう公募指針書を作成し、華川大油が参加した城南の庭コンソーシアムが優先交渉者に選ばれるようにして7886億ウォンの不当利得を得て、工事に4895億ウォンの損害を及ぼした疑惑などで2021年10月から順次起訴された。
検察が国民的関心が集中した主要事件で宣告刑量が求刑量に及ばなかったにもかかわらず控訴をあきらめたのは異例のことだ。
当初、検察は控訴が必要だという立場だったが、法務部はすでに検察求刑量の半分以上の重刑が宣告され、法理適用にも問題がないという意見だったと伝えられた。
最後まで議論を続けた末、法務部の意見どおり控訴しないことで結論が出たものと見られる。
(中略)
検察が控訴をあきらめたのは、政府与党が推進する背任罪の廃止が影響を与えたという分析が出ている。
共に民主党と政府は企業の経営負担を減らすという理由で背任罪の廃止を推進している。
大庄洞不正1審裁判部も宣告当時「現在背任罪は完全廃止時に副作用が予想され処罰が可能な領域に対する代替立法を推進中であり相当な時間がかかるという報道に接した」とし「将来適用に対して議論が進行中のようで、何より背任罪が現存する限り(被告人たちを)拘束するほかはない」と明らかにした経緯がある。
さらに最近、イ大統領がこれまで検察の無分別な抗告慣行に批判的な見方を示したことも負担になった可能性がある。
イ大統領は今年9月の閣議でチョン・ソンホ法務部長官に対し、「検事らが(罪が)ないことで起訴したり、無罪が出ても責任を免れようと控訴・上告し、国民に苦痛を与えている」と指摘している。
当時、チョン長官は「制度的に規定を全て変えようとしている」と答えたが、以後法務部は慣行的な上訴を自制するという方針を立て国家賠償訴訟などに対する上訴をあきらめてきた。
(中略)
大長洞捜査・公判チームはこの日配布した立場文で「法律的争点と一部事実誤認、量刑不当に対する上級審の追加判断が必要だと判断し中央地検および最高検察庁指揮部に控訴予定報告など内部決裁手続きを履行した」として「6日、最高検察庁指揮部報告が終わる時までも異見なく手続きが終えられ控訴状提出だけを残した状況だった」と説明した。
続けて「すべての内部決裁手続きが終えられた以後の前日午後頃、突然最高検察庁と中央地検指揮部で不明な理由で捜査・公判チームに控訴状提出を保留するよう指示した」として「控訴状提出期限が差し迫った中で指示なしに待つようにとだけ言っていたが、深夜12時が迫った時点で『控訴禁止』という不当で前例のない指示をし控訴状を提出できないようにした」と批判した。
同事件は、現在審理が中断されているイ大統領の大庄洞不正関連裁判とも関連しており、政治的論議が避けられない見通しだ。
(後略)
聯合ニュース「檢, '대장동 비리' 항소포기…수사팀 "지휘부가 항소금지 지시"(종합2보)(検察「大庄洞不正」控訴断念...捜査チーム「指揮部が控訴禁止を指示」)」より一部抜粋
「背任罪の廃止」ですって。
イ・ジェミョンさんが大庄洞開発不正疑惑で「被告」として検察から追及されているのが、まさに「背任罪」です。
ちなみに多くの場合、刑法は「軽くなる改正」については遡って適用されます。
つまり、「背任罪」が韓国刑法から消えた場合、「大庄洞開発不正事件」におけるイ・ジェミョンさんへの背任での刑事責任は「成立しなくなる」可能性が高いです。前提となる犯罪が消滅したのですから、そのまま審理は打ち切られるでしょう。
退任後、イ・ジェミョンさんがどうやって裁判から逃れるつもりか、答えが出ましたね。