韓国銀行が過去10年間の GDPに占める家計負債比率を分析し、77ヵ国と比較した結果のレポートを発表しました。
これによると2014年から2024年までの10年間で韓国の GDPに占める家計負債の割合は 13.8%p上昇しており、これは中国(26.2%p)、香港(22.5%p)に続く第3位です。
一方で、民間消費は 1.3%p下落したことが分かりました。普通、借金(ローン)を負うと返済の負担から消費は減りますが、住宅ローンの場合は消費を刺激する効果もあります。
厳密に言うと、住宅ローンを借りて新居を購入した場合、新しく家具家電を購入したりするため、家計負債が増えると民間消費が増える正の相関が成り立つとされます。
しかし韓国ではそうではないことから、住むためではなく投資のための家計負債増ということが、データからも読み取れるということです。
というか、韓国銀行の元のレポートをザックリ見たところ、どうも韓国では「消費の増加」は確認できなかったようです。
報告書は「元利金償還負担が増えても消費が増加する区間があり得るが、本報告書のサンプル期間は家計金融福祉調査の限界によって2012年以後の資料だけが存在する。同期間はすでに家計負債の累積が相当部分進行した後を対象にしており、消費が増加する部分がなく、直ちに減少する傾向がある」と述べています。
ニュース1の記事からです。
不動産融資で世界3位の速度で積み重なった家計負債、消費は毎年 0.4%p減少した
最近10年間、韓国の GDP対比家計負債比率が不動産関連貸出を中心に世界で 3番目に急速に増加したが、同期間の GDP対比民間消費比重は 1.3%p減少したことが分かった。
家計負債の累積による元利金の負担が消費を毎年 0.40 ~ 0.44% ずつ引き下げ、成長潜在力を制約しているという分析だ。
韓国銀行構造分析チーム所属のキム・チャンウ次長、ジウ・ウク課長、パク・ドンヒョン、ユ・ソンヒョン調査役は 28日発表した「不動産発家計負債の累積が消費に及ぼす影響」報告書でこのように明らかにした。
報告書によると、この10年間、韓国の GDP対比家計負債比率は 13.8%p上昇し、中国・香港に続き 3番目に急速に増加した。一方、 GDP対比民間消費の割合は 1.3%p 減少した。
研究チームの分析結果から、過度に累積した家計負債は 2013年から毎年 0.40 ~ 0.44%ずつ民間消費を引き下げたことが分かった。報告書によると、家計負債が 2012年水準で管理されていれば、今年の民間消費は実際より 4.9 ~ 5.4% 高かったと推定される。
(中略)構造的消費鈍化要因としては △元利金負担急増 △低い富の効果 △貸出流動性の非現物取引偏重などが挙げられた。
実際、韓国のDSR(元利金償還比率)はこの 10年間で 1.6%p上昇し、ノルウェーに次いで 2番目に早いテンポで増加した。
これは負債規模増加が作った現象であり、長期住宅担保貸出比重を考慮すると、償還負担は長期間持続する可能性が高い。
(中略)
また、韓国の住宅価格が消費に及ぼす富の効果は 0.02%で、主要国(0.03 ~ 0.23%)より低かった。
(中略)
貸出流動性も非現物取引に集中していた。家計貸出の相当部分が既存住宅売買や非住宅不動産(商店街・オフィステルなど)投資に集中し、実物消費との関連性が引くことが分かった。特に、非住宅不動産の空き室率の上昇は、融資投資世帯のキャッシュフローを悪化させ、消費余力をより減らした。
研究陣は「家計負債問題は心筋梗塞のように突然の危機を誘発するというより、動脈硬化のように消費を徐々に委縮させている」と診断した。
(後略)
ニュース1「부동산 대출에 세계 3위 속도로 쌓인 가계빚, 소비 매년 0.4%p 깎았다(不動産融資で世界3位の速度で積み重なった家計負債、消費は毎年 0.4%p減少した)」より一部抜粋
ちょっと気になったのが、記事のタイトルの付け方と冒頭の概要の付け方です。他のメディアも一様に「家計負債が増えたから民間消費が減った」と読み取れる報じ方でした。家計消費が増えた→民間消費を圧迫した、という因果関係を主張しているように読めた、という意味です。
しかし、これは違いますよね。家計負債が増えることで民間消費を刺激している国も多くあるわけですから。
韓国(と中国、香港)に共通している点として、不動産投資・投機が活発な点があります。
実際、レポートの中でも「非実物取引」に集中している点を強調していますし、家計負債の増加の原因が不動産投資・投機だった場合、「家計負債が増えると民間消費が減る」と解釈すべきで、「家計負債↑、民間消費↓」ということではありません。