「韓国型国富ファンド」の話

「2026年 企画財政部業務報告」のブリーフィングが行われ、その席で副総理兼企画財政部長官のク・ユンチョルさんが「韓国型国富ファンド(Sovereign Wealth Fund; SWF)」造成案を発表しました。
シンガポールの「Temasek(テマセク)」やオーストラリアの「Future Fund(フューチャーファンド)」などをベンチマークして、来年 6月の設立を目標とするそうです。

それ自体は別に良いのですけど、発表の際にク・ユンチョルさんはファンド造成の目的を「来年度の経済成長率 1.8%以上達成に向け」と言ってるんです。もう少し言葉を選べなかったのかなと思ってしまいます。
だってこの言い方だと「ファンド造成の目的」が「経済成長率達成のため」と聞こえてしまいませんか?まるで官製経済政策のようじゃないですか。


 

ニューシースの記事からです。

ク・ユンチョル「来年の経済成長率 1.8%+α...国富ファンド、KICとは違う」

ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官は 11日、来年度の経済成長率 1.8%以上達成に向け、経済政策の推進方式を革新すると明らかにした。このため、韓国型国富ファンドを活用して不動産・バイオなど産業全般に積極的に投資し、先端産業投資活性化のために半導体企業の規制負担も一部下げるという方針だ。

ク副総理はこの日、政府世宗庁舎で開かれた大統領業務報告後のブリーフィングで「来年を韓国経済大跳躍の元年にする」として 6大分野の核心課題を発表した。

(中略)

企財部はまず、韓国型国富ファンドを来年上半期までに設立する計画だ。国富ファンドは国が保有している資産を集めて運用する超大型投資ファンドで、韓国型国富ファンドはシンガポールテマセク、オーストラリア・フューチャーファンドなど海外事例をベンチマークして設立される予定だ。

(中略)

彼は「シンガポールテマセックも最初は 2億ドルで始めたが、今は 3200億ドル規模に成長した」として「韓国型国富ファンドもやはり初期には小さな規模で始め、十分に育てていくことができる」と強調した。企財部は上半期中に関連法案をまとめ、収益率の向上を目標にしている。

(後略)

ニューシース「구윤철 "내년 경제성장률 1.8%+α ... 국부펀드, KIC와 달라"(ク・ユンチョル「来年の経済成長率 1.8%+α...国富ファンド、KICとは違う」)」より一部抜粋

「初期には小さな規模で始め」るのに、「来年度の経済成長率 1.8%以上達成に向け」というのも矛盾している気がします。

ク・ユンチョルさんは「来年度」と言っていますが、韓国は日本のように 4月 1日で年度切り替えがあるわけではないので、普通に 2026年 1月 1日~ 12月 31日の話をしているはずです。

ファンドが 6月に設立されて半年以内で一定の効果が出る...なんてことは普通、期待しません。そもそもソブリン・ファンドは短期で結果が出るものではなく、3年~ 10年くらいかかります。

つまりこれは国内市場への「期待・雰囲気づくり」の一環ではないでしょうか?
韓国内の個人投資家が海外市場(特に米市場)へ投資することがウォン安の大きな要因と見られています。
ソブリン・ファンド設立により国内市場への期待感が高まれば、個人投資家らの投資行動を「海外 → 国内」へと誘導することが出来ます。

恐らく、国内市場成熟とウォン売り圧力の緩和、この 2つが主な狙いでしょう。