今回は政策回りです。最近、政府関係者が半導体の「地方移転論」を取り上げてまして。
特に、気候エネルギー環境部長官は龍仁半導体クラスタへの電力供給が難航している点に具体的に触れ、「電気が多いところに移転しなければならないのではないか」と全てをちゃぶ台返ししかねないことまで言い出しています。
イ・ジェミョンさんも「龍仁半導体クラスタ」と名指しはしないまでも、半導体企業の幹部を集めた場で「再生可能エネルギーが多い南側に目を向ける」ように求めたそうです。
まだ龍仁半導体クラスタは稼働すらしていない(稼働する目途も立ってない)のに、また人の財布に手を突っ込もうとしているのですね。
東亜日報の記事からです。
政府を信じて10年計画を立てたのに...「半導体南部移転論」で業界混乱
最近、国内で半導体「地方移転論」が台頭し、K半導体に対する憂慮が大きくなっている。半導体業界は、政府の政策によって 5年、10年以上の中長期戦略を練って実行中であることに困惑している。
(中略)
半導体の地方移転論は最近、キム・ソンファン気候エネルギー環境部長官の発言で大きく広がった。キム長官は 28日、東亜日報との電話インタビューで、「『エネルギー高速道路』を拡充し、産業団地に電気を送る方式が、まるで産業化の象徴である京釜高速道路を連想させ、地方の人々の心配が多い」とし「どのようにするのが国家均衡発展と企業に役立つか知恵を集めなければならない」と明らかにした。26日に行われたマスコミとのインタビューで 「(京畿)龍仁のサムスン電子、SKハイニックスを電気が多い所に移さなければならないのではないかという悩みがある」 と明らかにした立場を再度強調したのだ。
サムスン、SKがそれぞれ数百兆ウォンをかけて造成する龍仁半導体クラスターは最近、人工知能(AI)発のスーパーサイクルを迎え、本格的なスピードがつき始めている。SKハイニックスクラスターは計画した計 4つのファブ(工場)のうち 1つのファブの工事が相当部分進展し、2027年に稼動を控えている。サムスン電子クラスターは最近、韓国土地住宅公社(LH)と産業団地造成のための敷地購入契約を締結し、22日から土地所有者との補償協議を始めた。来年着工した後、2030年に初稼動に乗り出す計画だ。
先立ってイ・ジェミョン大統領も今月 10日、サムスン電子のチョン・ヨンヒョン半導体(DS)部門長(副会長)とSKハイニックスのクァク・ノジョン社長など半導体企業家を呼び集めた報告会で 「再生エネルギーが豊富な南側地方に目を向け、その地域で新しい産業生態系を構築することに関心を持ってほしい」 として「均衡発展に企業が寄与してほしい」と要請した。政府はさらに、11日に発表した「先端産業投資活性化策」でも 「金産分離の例外適用は、半導体業種の地方投資と結びつけなければならない」 と条件を付けた。
●「国家の運命がかかった半導体、政策の信頼が壊れる」
イ・ジェミョン政府のこのような突然の「地方移転論」に業界は戸惑いを隠せずにいる。SKハイニックスの龍仁クラスターは、ムン・ジェイン政府時代の 2019年に発表され、サムスン電子の場合、前政権の 2023年に計画を樹立した。韓国半導体産業協会のアン・ギヒョン専務は「地方移転が正しいか間違っているかは別として、半導体クラスターは国家と企業間の信頼の問題」として「半導体は国家運命がかかった産業なので慎重に判断しなければならない」と話した。一部では、政府が来年 6月に開かれる全国同時地方選挙を意識して、票の攻略に乗り出したのではないかという解釈も出ている。
(中略)
業界関係者は「今のような競争力を地方に移すためには少なくとも 10年以上は必要なプロジェクト」として「また移す過程で企業が必要な投資ができなくなる機会費用も発生するが、これは大きなリスク」と憂慮した。このような論難にイ・サンイル龍仁市長は 28日、ク・ユンチョル経済副総理兼企画財政部長官に会い、サムスン・SKクラスターに対する支障のない支援を要請した。
(後略)
東亜日報「정부 믿고 10년 계획 짰는데…‘반도체 남부 이전론’에 업계 혼란(政府を信じて10年計画を立てたのに...「半導体南部移転論」で業界混乱)」より一部抜粋
韓国系メディアは日本語の記事でも当たり前のように「金産分離」という言葉を使います。これは「金融資本分離」の略で、銀行・保険・証券などの金融資本と、製造・流通業などの産業資本を分離する制度・原則のことです。
ザックリ言うと、金融資本という公共性のある事業を、大きな力を持つ財閥企業が支配することを規制する制度です。
具体的には、例えば産業資本は銀行株を原則4%までしか保有できない・経営権を持つような大株主はなれない、などです。ちなみに日本やアメリカにはこのような厳しい規制はありません。