希少鉱物(レアアース)の確保は、半導体と同様に「安保」の領域で語られる分野となっています。
日本は主に米国、豪州、インドなどクアッド加盟国との間で様々な協力推進を模索しているところですが、韓国でも一部、こうした多国間協力の動きに 便乗 ...積極的に参加していくべきだ、とする主張があります。
決して主流とはいえませんが、中国による「レアアース規制」は原材料や設備の多くを日本からの輸入に頼る韓国にとって間接的打撃になる、と主張する記事もあります。
そうした観点からサプライチェーン再編の流れに取り残されてはいけない、核心パートナーにならなければならない、という主張です。
中央日報の記事からです。
日米豪鉱物協力、韓国には危機である機会
米国でドナルド·トランプ 2期政府スタート以後、米・中戦略競争は貿易と技術分野を越え資源と供給網分野に拡張されている。この過程で、戦略鉱物は国家安保の核心変数として浮上した。
(中略)
特に核心鉱物および関連サプライチェーンの対外依存を国家安保リスクと規定し、核心鉱物とレアアースを戦略的資産として再定義した。資源供給網で中国の影響力を縮小し、米国と同盟国を中心に供給網を再編するという巨大な地政学的設計が本格化したのだ。
このような戦略の延長線で最近、米国・日本・オーストラリアが鉱物の探査から採掘・精錬・リサイクルまですべての過程を網羅する提携を強化してから注目される。日米豪3カ国協力の本質は役割分担の体系化だ。オーストラリアは資源採掘を、日本は精製・加工技術を、米国は巨大な需要市場と制度的インセンティブ(IRA等)をそれぞれ担う。これは単純な購買線多角化ではなく規範・金融・技術を結合したサプライチェーン生態系構築だ。特定国家の資源兵器化に対応する集団的防御装置でもある。
日米豪3国の協力から大韓民国が得なければならない示唆点は少なくない。第一に、サプライチェーンの安全保障の資産化である。これまで韓国企業は、コストパフォーマンスを理由に中国産鉱物に大きく依存してきた。しかし、核心鉱物はもはや安価な原材料ではなく、国家安保と直結した戦略資産だという認識の転換が急がれる。韓国も二国間協力にとどまらず、日米両国が構築した多国間協力体系に積極的に参加しなければならない。同盟中心のサプライチェーン再編は選択ではなく、すでに進行中の現実だ。
第二に、技術的優位を活用したサプライチェーンのテコの確保だ。戦略鉱物の最大のボトルネックは採掘より精錬・加工にある。韓国は天然資源の乏しい国だが、世界最高水準の製錬技術とバッテリー陽極材の生産能力を保有している。
(中略)
日本が精製技術で3国協力の一軸を担当するように、韓国はK製錬技術を戦略カードとして活用し、グローバルサプライチェーンの再編過程で単なる需要先ではなく、核心パートナーとして位置づけなければならない。採掘はオーストラリア、精錬は韓国、需要創出と標準は米国・日本と連係する役割分担をより一層精巧に整える必要がある。
第三に、核心鉱物に対する国家戦略地図を再整備しなければならない。産業別需要展望と技術ロードマップを連係させ優先順位を明確にし、探査・精錬・リサイクル中に選択と集中が要求される。また、バッテリーのリサイクルと代替素材の開発を戦略の中心に置かなければならない。
(中略)
第四に、官民協力モデルの革新が急がれる。日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は民間の海外資源開発リスクを国が分担する成功事例だ。韓国も国際協力に参加する宣言的次元を越え、実質的成果を出せる制度的装置を用意しなければならない。
(中略)
最後に通商外交の精巧さが重要だ。保護貿易の基調が強化される状況で、核心鉱物は韓国の交渉力を高めることができる戦略資産だ。米国中心のサプライチェーン構築に寄与する代価として、韓国企業がインフレ削減法(IRA)税額控除など実質的な恩恵を着実に享受できるように緻密な対米交渉戦略が要求される。
日米豪3国の提携は韓国にとって危機であり機会だ。同盟と共にしなければリスクは大きくなり、技術と政策を結合すれば機会は開かれる。韓国は供給網の受動的需要者ではなく、ルールと解決策を一緒に作る能動的パートナーに跳躍しなければならない。今は政府と企業がワンチームで資源安保という巨大なチェス盤の上で緻密な歩みを続けなければならない時だ。
(後略)
中央日報「[시론] 미·일·호 광물협력, 한국엔 위기이자 기회(日米豪鉱物協力、韓国には危機である機会)」より一部抜粋
「ピンチはチャンス」は、ちゃんと常日頃準備に努めてきた人が言えることだと思うんですけど。韓国にその準備はありますか?記事で著者自身が指摘しているように、これはすでに「進行中」のことです。「準備期間中」ではありません。
「核心鉱物に対する国家戦略地図を再整備しなければならない」と言っている時点で、韓国はまだ「準段階」にすら入れていないように見えます。
それはともかく、日米豪3ヵ国協力は、豪が採掘、日が精錬・加工、米が需要と制度インセンティブを提供すると説明されているのですけれど、著者はここに韓国を入れる際にサラっと「日本」の役割・位置を「韓国」に置き変えているんですよね。 よくあることなんですけど、国際連携や多国間協力の際の日本の立ち位置が、本来「韓国であるべき」と考える思考が滲み出ているように思えます。
多分、韓国はこうやって無意識のうちに「日本」という尺度を通して自国を見ようとするから色々とシンドイんだと思います。 産業構造が「似ている」から「日本の役割を韓国が担える」わけではないし、逆もまたしかりです。
ちなみに、記事では一言も触れられませんでしたけれど、日米豪印「クアッド」による重要鉱物資源分野の協力推進の話もあります。「都市鉱山(家電やデバイスなどに含まれる鉱物)」をリサイクル活用することで輸入依存を下げようという取り組みだそうです。