「クーパン事態」が国際紛争になるかもしれない話

昨年、歴代最大規模の個人情報流出事故を起こした「クーパン(쿠팡)」、その後、個人情報を持ち出したとされる人物に確認し、実際の流出規模が「3000人水準」だったと発表しましたが、それで世論は納得しませんでした。
世論が納得していないわけですから、韓国政府が納得するわけがありません。年末には聴聞会でハロルド・ロジャーズ臨時代表を「こってり」絞っています。

クーパンは、主に韓国でe-コマース事業を展開していますけれども本社は米国です(創業者が韓国系アメリカ人)。記事によっては「米国企業」と紹介されたり「韓国企業」と紹介されたりしますが、韓国内のクーパン法人の株式は100%「米国本社」が持っていますし、「上場市場」の位置が米国なので「米国企業」と見るのが妥当でしょう。日本からは一度撤退していますが、最近スマホ広告でよく見るフードデリバリー・サービス「ロケットナウ」として再進出しているそうです。

で、このゴタゴタでクーパンの株価はかなり下がりました。クーパンの株を持っていたある米国投資会社が、この件を米国通商代表部(USTR)に訴え、救済措置を請願したそうです。「韓国政府によるクーパン差別により多大な損失を被った」と。
また「個人情報流出は名分に過ぎず、実際は韓国大統領と近しい韓国内の中国大企業のシェア拡大の意図がある」との主張もあります。


 

聯合ニュースの記事からです。

クーパンの米投資会社「韓国政府、中国の大企業を保護するためにクーパンを狙う」と主張

クーパンの米国投資会社2社が22日(現地時間)、韓国政府がクーパンに対して差別的な待遇をしているとし、米国政府に調査と措置を要請する請願を提起した。

これらの投資会社は、韓国政府を相手に国際投資紛争(ISDS)仲裁手続きに着手するという意向書も提出した。

先立って昨年クーパンでは約3370万件の個人情報が無断で露出される初めての保安事故が起き、韓国政府が専門家たちと共に調査を進行中だ。

投資会社のグリーンオックスとアルティメーターは同日、報道資料を出し、米貿易代表部(USTR)に韓国政府のクーパン関連措置を調査し、関税やその他の制裁を含めた適切な貿易救済措置をしてほしいと要請したと明らかにした。

さらに、韓米自由貿易協定(FTA)によって仲裁請求を提起するという仲裁意向書を韓国政府に送ったことを明らかにした。

彼らはクーパンの個人情報流出事故以後、韓国当局がクーパンを狙ったキャンペーンを行っており、このために投資家が数十億ドルの損失を被ったと主張した。

クーパンが昨年11月30日、個人情報流出事実を公開した後、ニューヨーク証券市場でクーパンの株価は約27%下落した。

クーパンに投資した「大手」であるこれら投資会社はクーパンの個人情報流出事態に対する韓国当局の対応が一般的な規制執行水準を越えたと主張した。

韓国政府がクーパン事業を麻痺させるために個人情報流出と関連性が少ない労働、金融、関税分野まで政府次元で全方位的な対応を始めたというのが彼らの主張だ。

クーパンは韓国法人の持分100%を米国に上場された親会社クーパンアイエヌシー(Inc.)が所有している。

これらの投資会社は韓国に送った仲裁意向書で 「韓国政府が(クーパンの)韓国および中国の大企業競争会社を保護するためにクーパンを標的にした」 と主張した。

投資会社を代理する法務法人(カヴィントン)が公開したこの通知書は、イ・ジェミョン大統領とチョン・ホンシク法務部国際法務局長を受信人として記載した。

彼らはクーパンが韓国および中国の大企業のライバル会社の市場占有率を奪い始めると、韓国政府がクーパンを狙って公正取引委員会などの監査、調査、押収捜索などを数百回実施したと主張した。

投資会社は「クーパンは中国政府、共に民主党、李大統領と緊密な関係(close ties)を維持する韓国内の中国大企業の市場占有率を蚕食し始めた」とし「クーパンが韓国および中国のライバル会社の古い市場支配力を威嚇しているという事実が明らかになると、政府は行政権力を武器化し始めた」と話した。

これは具体的な根拠提示なしに韓国政府が中国大企業と緊密な関係にあるという一方的な主張を前提に、クーパンの情報流出事件などに対する政府対応が不当だと問題視したものであり論難の素地があるように見える。

彼らは韓国政府がクーパンの情報流出事件を「口実(pretext)」にしてクーパンを相手に「虚偽・名誉毀損的キャンペーン」を展開したとも主張した。

(中略)

韓国政府を相手に提起する仲裁申請は本格的な仲裁手続きに着手する前の90日間の「冷却期間」がある。 これとは別に、USTRは公式調査に着手するかどうかの決定に最大45日がかかる。

韓国法務部はこれと関連して「今後、内部『国際投資紛争対応団』を中心に関連機関と合同対応体系を樹立し、仲裁意向書と関連した法律的争点を綿密に検討する」とし、「関連情報を公開するなど積極的に対応する」と明らかにした。

USTRの調査が始まれば、公聴会と公共意見の収斂などを経て、韓国産商品サービスに対する関税賦課など、米国の報復措置につながる可能性があるとロイターは説明した。

聯合ニュース「쿠팡 美투자사들 "韓정부, 韓中대기업보호하려 쿠팡 겨냥" 주장(종합2보)(クーパンの米投資会社「韓国政府、中国の大企業を保護するためにクーパンを狙う」と主張)」より一部抜粋