韓国の軍事ドローン産業がピンチだそうです。
元々、産業ドローンの中国依存が高い(2023年基準で部品輸入量の約81%が中国)ことがたびたび問題視されてきました。
ただ、これは自業自得な面がかなりあって、韓国は 2017年に、中小ドローン企業を保護するために公共ドローン発注を中小企業に優先的に回すことを決定しました。これにより大企業のドローン産業への参入障壁が上がり、参入が遅れる事態を招きました。
後に軍事ドローンに関しては規制を緩和し、大企業にも解放されたのですが、時すでに遅しだったようです。
軍事ドローンは安全保障の観点から「国産部品」の使用が義務付けられています。部品の調達は企業が独自で頑張るしか無く、しかし、韓国国内にはそもそも基準を満たす部品を供給している企業がほぼ皆無の状況。また、「軍事」という性質から高い性能も求められます。大量生産は出来ず、用途に合わせてのカスタマイズも必要となります。
その割に単価を低く設定され、悪く言えば「買い叩かれ」、作れば作るほど赤字が続いているそうです。元々が中小企業ですから、そう長く耐えられるはずがありません。
中小企業の市場を守るために大企業の参入を制限したはずなのに、中小企業を守るどころかどんどん追い詰めているのが実状です。
韓国日報の記事からです。
「軍用ドローンを作るのに借金70億、韓国ドローン産業がどうなるか」
(前略)
国防部が昨年9月「50万ドローン戦士養成」を宣言し、軍事用ドローンに対する関心がいつにも増して熱くなった。現代の戦場におけるドローンの重要性が高まり、将兵たちに操縦技術を身につけさせるということだが、本来の趣旨は別にある。 安定的な需要創出を通じた官民協力の強化及び国産軍ドローンの大量生産の土台づくりだ。軍は今年、国内メーカーに小型ドローン 1万1184台を注文する予定だ。
しかし、19日、韓国日報が訪れたドローン生産現場の雰囲気は明るくなかった。25年間にわたり軍事ドローン会社を経営しているネスアンドテックのイ・ギソン(59)代表の表情も暗かった。理由を尋ねると「モーター」という答えが返ってきた。「ドローン部品をどうやって手に入れるか心配です。企業が『勝手に』調達しなければならないんですよ。
(中略)
昨年、国防部の政策によりモーター、飛行装置、バッテリーなどを国産で使わなければならないが、現在国内ドローン産業で 中国産部品占有率は 90%以上 と把握される。国産部品を手に入れること自体が容易ではないが、国防部が業界に無理な要求をしているわけだ。また別のドローン業者ファインVT所属のオ・セジン研究所長も「国内ドローン企業は規模が大きくなく大量生産はもちろん部品を自主生産することも難しい」と話した。
業界には好循環生態系が構築されていない。2017年、政府はドローンを中小企業間の競争製品品目に含ませた。大企業との競争入札を避けることができるよう、中小企業に優先入札の機会を与えたのだ。以後、軍用に限っては大企業も参加できるよう規制を解いたが、すでに中小企業中心に市場が形成された後だった。牙山政策研究院のヤン・ウク研究委員は「軍があまりにも安い価格でドローンを調達しようとしたため事業性が落ち大企業は進入する誘引を失い、中小企業は軍の条件(国産化)を充足させる資本と力量が不足している」として「ロードマップ不在で市場自体が沈滞してしまった」と診断した。
(中略)
漢城大学校のキム・ヒョンソク教授は「性能が未達な製品を中小企業再生という名分で無理に採択することはできない」としながらも「軍が低コストドローンにまで過度なスペックと国産化を要求し、細かい規格まで干渉し業界がさらに萎縮した側面がある」と指摘した。
国家所有ドローンの相当数が安い中国産製品であることは、このような現実が反映された結果だ。あるドローン業者関係者は「国産部品では軍が提示した単価に到底合わせることができず、生産基盤も不足している状況」とし「まだ多くの企業が中国産ドローンを買い入れ、情報処理装置などバックドア(マルウェア)危険がある部品だけを国産に交換して納品するのが現実」と打ち明けた。
(後略)
韓国日報「"군 드론 만들다 빚 70억, 한국 드론 산업에 무슨 일이"(「軍用ドローンを作るのに借金70億、韓国ドローン産業がどうなるか」)」より一部抜粋
「官民協力」というのは、官と民とで「課題を共有し合いながら必要であれば制度作りなど、国家レベルで支援を行う」ことだと思っていたのですが、韓国では「国が決めた方針を民間の努力で達成する」という意味になるんでしょうか?