自国文化を知ってもらうことと、押し付けることは違うという話

日本でもありますけれども、行き過ぎた「日本すごい」という自画自賛表現を、韓国では「グクポン(국뽕)」と揶揄します。
国+ヒロポン*1の合成語で、自国優越主義や極端な民族至上主義などを意味し、大体において否定的な意味合いで使われます。


「自国が一番好き」であることは全く問題ないと思いますけれども、それを示すために「他国に比べて自国のココが優れているから好き」という理屈は必要ないと思っています。

違いを説明するために「比較」するなら良いのですが、そこに「優劣」という視点は必要ないと思うのです。
だって、違うのですから。比較は出来てもどっちが優れている、なんて言えません。
ただの個人の好みでしかありません。

でも、多かれ少なかれそうした優劣的な表現を目にする機会は多いように感じます。
外国人に「自国と比べて日本のここが優れている」とわざわざ言わせたり……もちろん、本当に日本が好き、と感じて発信してくださっている外国人も居るでしょうし、それは嬉しいことではありますけれども。
日本メディアからの発信だと「言わせてる感」がして、どうもニガテです。

同じような問題は韓国でもあるようです。


聯合ニュースの記事からです。

メディア、移住外国人に韓文化強要・優越表現「蔓延」


地上波・総合編成チャンネル・中央日刊紙などのメディアの多くが移住外国人に韓国文化を一方的に強要したり、韓国の文化が優れているというような表現を多用したことが分かった。

韓国健康家庭振興院が民主言論市民連合と共に5-9月の新聞・放送12個の媒体と総合編成4社13個のプレビュー・対談・芸能プログラムを対象にモニタリングした結果、いくつかのメディアが移住外国人に韓国語習得・韓国法・韓国文化適応を強調する別名「同化主義」の表現を多く使用したと26日明らかにした。

韓国記者協会の人権報道準則は、メディアの義務で「移住民が韓国文化に同化、吸収されるように誘導したり、韓国の文化と価値を強要する美談中心の報道を自制すること」を勧告している。

代表的なものとして韓国文化同化吸収を強要したり、韓国文化が優れているというような媒体の表現を見ると「すっかり韓国人だね」、「誇らしい韓国人として更に飛躍する」、「この位は食べてこそ韓国人*2」などである。

キム・ヘヨン韓国健康家庭振興院理事長は「どちらか一方が優れている、劣っているというニュアンスの表現は、グローバル時代を逆行する発想」とし「メディア環境の中で韓国の文化だけを強要したり、韓国文化が優れているという形の表現が自制されることを期待する」と述べた。


聯合ニュース「대중매체, 이주 외국인에 韓문화 강요·우월 표현 '만연'(メディア、移住外国人に韓文化強要・優越表現「蔓延」)」より


以前、たまたまYouTubeでKBS(韓国の公共放送)のクイズ番組がLive配信で流れてたのを観ました、最初の10分くらいだけですが。
韓国の歴史・文化に関する問題がメインで、出場者は全員、韓服を着た在韓外国人でした。
自分で用意したとは思えないので、恐らく衣装として準備されていたのでしょうが、こういうのも「強要」に当たるのでしょうか…?


韓国に限らず、世界中どこであれその国で生きていく以上、知っておくべき習慣や考え方の違い、文化的な差異の認識と理解は避けて通れません。
これは日本も他人事ではないなぁ、と感じます。

でも日本文化を知ってもらおうとすることと、自慢して押し付けることとは、その目的が違いますからね。
知ってもらった上で、どう感じるかは本人に委ねるべきです。

ただ、この国で生活するのであれば、最低限守るべきルール(習慣の違い)を知っておいてもらうことは必要なのです。移住側も受け入れ側もこれを怠るとトラブルの元です。

その上で、お互いのために変化が必要だという部分が出てくれば、また考えていけば良いわけです。

N○Kの某番組はそこんトコロ履き違えないで頂きたいです。なんでもかんでもC○○Lって強要しちゃダメですよ。


*1:覚せい剤

*2:原文「이 정도는 먹어야 한국사람」。
「食べる」という意味の「먹다(モクタ)」は色々な意味で使われ、評価やスコアを取る(占める)、という意味でも使われる。ここでは「(韓国人なら)このくらいは出来て当然」「(韓国人なら)この程度はこなせて当然」というニュアンスと思われる。