事実に反する用語は使うべきではない話

事実でない用語は使うべきではありません。
使いたいなら、事実であると立証してからです。

今年の4月に発行された外交青書2019に次のような記述があります。

「性奴隷」という表現は、事実に反するので使用すべきでない。この点は、2015年12月の日韓合意の際に韓国側とも確認しており、同合意においても一切使われていない。

これについて韓国メディアが取り上げています。
曰く、
「確かに韓国政府は『日本軍慰安婦被害者』を公式名としているが、性奴隷が事実に反すると認めたわけではない。にもかかわらず、日本側は、あたかも『韓国も慰安婦は性奴隷ではない』と認めたかのような、事実を誤認させる記述をしている」
だそうです。


外交青書の該当箇所のキャプチャが下の画像です。

f:id:Ebiss:20191111193141p:plain


聯合ニュースの記事からです。

日政府「慰安婦は性奴隷じゃない...韓政府も確認」と主張し波紋


韓国政府が日本分慰安婦を性奴隷だったと規定することは事実と異なり、「性奴隷」の表現を使ってはいけないという点を確認した、と日本政府が公式文書で主張して波紋を呼んでいる。

日本の外務省が発行した2019年の外交青書を11日に確認してみると、日本軍慰安婦問題に関するコーナーに「『性奴隷』という表現は実際に反するので使用してはならない。このような点は、2015年12月、日韓合意時に韓国側も確認し、同合意でも一切使用されていなかった」と記録されていた。

(中略)
2018年の外交青書は「性奴隷」は実際に(史実)と認識していない日本政府の立場を継続説明するという趣旨で性奴隷表現に対応するという方針が含まれていたが、今年になって急に韓国政府を引き込む説明が登場したのである。

これは日本軍慰安婦が性奴隷ではないという日本政府の主張を韓国政府を受け入れたかのように解釈されるものと思われる。

韓国政府は一般的に性奴隷という用語は使わずに「日本軍慰安婦被害者」と表現している。

日本軍慰安婦被害者が性奴隷ではなかったという日本政府の主張に韓国政府が同調していることは、これとは別の問題だ。

韓国側が先に発表した資料によると、韓国政府は公式に性奴隷という表現を使用していないとする説明はしたが、外交青書に記述されたように 性奴隷が間違った表現という日本側の主張に同意してはいないと思われる。
(中略)
日本側は韓国政府が今後「性奴隷」という言葉を使用しないことを希望する旨を明らかにし、これに対して当時、韓国政府は「この問題に関する公式名称は『日本軍慰安婦被害者問題』だけであることを改めて確認する」との反応を見せたことを報告書は記している。

報告書はまた、性奴隷表現を使わないという要求に対して「韓国側は性奴隷が国際的に通用する用語であるなどを理由に反対したが、政府が使用する公式名称は『日本軍慰安婦被害者問題』だけだと確認した」と説明した。
(中略)
日本軍慰安婦が性奴隷だったと1992年に国連で初めて主張した戸塚悦朗(戶塚悅朗)弁護士外交青書の記述が「普通に読めば、日本政府が言う性奴隷という表現が事実に反することについて(韓国も)同意したという意味で読まれる」とし「とんでもないことが書かれている」とコメントした。

彼はTF(タスクフォース)のレポートによると、韓国政府が同意したという記録はないが、結果的に性奴隷表現を使わないことを約束したように思われる状況だ、と説明してから「実際に日本政府はそう言っている」とし、日本軍慰安婦の合意当時の朴槿恵政府の対応にも問題が合ったとの認識を示した。
(後略)

聯合ニュース「日정부 "위안부는 성노예 아냐…韓정부도 확인" 주장 논란(日政府「慰安婦は性奴隷じゃない...韓政府も確認」と主張し波紋)より


性奴隷が国際的に通用する用語であろうがなかろうが、慰安婦の立場は性奴隷ではないので性奴隷と呼ぶのは不適切です。
同じく国際的に通用する用語である「売春婦」の方がはるかに的確に彼女たちの有り様を表現しています。自分の身体を使って、強く逞しく強かに戦争を生き抜いた女たちです。


戸塚さんは「とんでもないこと」と言っていますが……ご存知の方もいるでしょう、この人が1992年に国連で「性奴隷」という言葉を使ったのは「誰も聞いてくれなかったから」 です。
残っている資料から慰安婦の有り様を見てみれば、どう見ても軍専属の売春婦でしかありません。世界的に見て全く珍しくない存在です。

だから 「性奴隷」という単語を耳目を集めるために使った わけです。韓国さんが慰安婦=性奴隷と言い出したのはこの後からです。
この人こそ「とんでもないこと」を言ったのです。


慰安婦は売春婦」という事実を記載せず、韓国政府にも認めさせなかった分だけ日本がまだまだ甘いということですね。