「似たようなジャンルで似たような消費層を相手にする」K-POP…マルチレーベルといっても多様性無いという話

最近韓国で「HIVE - ADOR事態」というのが話題です。ADOR代表のミン・ヒジンさんの「火病会見」が話題になっていたので、すでにご存知の方もいるかもしれません。

一応軽く説明しておくとADORというのはHIVE傘下の音楽レーベルになります。もともとはHIVEが株式の100%を保有していたのですが、ADOR所属のNewJeansというガールズグループの成功を受けて、NewJeansのプロデューサーでもある代表のミン・ヒジンさんとADOR幹部に株式の20%が譲渡されました。これがきっかけでHIVE内におけるミン・ヒジンさんの発言力が強くなり、経営権争いが激化しました。

HIVE側の主張では、ADORの経営陣が企業内の機密情報を不適切に外部に漏らし、さらにHIVEが保有するADORの株式を売却させようとした疑いがあるとして、ADOR経営陣に対する監査を開始。先日、刑事告発に踏み切りました。
ミン・ヒジンさんの「火病会見」はこれに対する反論の場として設けられたものです。

と、まあこんな感じなんですけれど、経緯は割とどうでも良かったりします。正直、この件を取り上げる気はさらさらありませんでした。
しかしこれと関連して、K-popのマルチレーベルのあり方そのものに問題の根本があるのでは?という指摘記事がありまして。それが少し興味深かったので紹介します。

 



ハンギョレの記事からです。

産業としてのK-POP…ジャンル・カラーの似た、名前だけの「マルチレーベル」


(前略)

マルチレーベルはユニバーサル、ワーナー、ソニーミュージックなどグローバルレコード会社から来た概念だ。これらのレコード会社の下には多様なジャンルと色のラベルが存在し、シナジー効果を出す。しかし、K-POPのマルチレーベルは、カラーが相当部分重なる。イム・ヒユン評論家は「K-POP市場は似たようなジャンルで似たような消費層を相手にする。マルチレーベルといっても多様性はなく、同じゲームで競争しているようだ」と皮肉った。一つの会社の中で盗作疑惑が提起されているのもこのためだ。イム評論家は「K-POPの中でも各レーベルの好みと色をよく生かすことができるよう親会社が方向を提示し調整していく方案が理想的」と助言した。

ミン代表が25日の記者会見で暴露したランダムフォトカード、押し出しなどK-POPの慢性的な弊害もまた再照明されている。ランダムフォトカードとは、アルバムごとにアイドルグループのそれぞれ異なるメンバーフォトカードを入れ、ファンがより多く買うようにする手法だ。そのためアルバムを大量に購入し、フォトカードを除いて残りは捨てることもある。押し出しとは流通・販売会社が新作アルバムの初動(最初の一週間販売量)物量を大量購買すれば企画会社がファンサイン会などで販売を支援する方式で初動販売量を高めることをいう。


(後略)


ハンギョレ「산업으로서의 K팝…장르·색깔 비슷한, 이름만 ‘멀티 레이블’(産業としてのK-POP…ジャンル・カラーの似た、名前だけの「マルチレーベル」)」より一部抜粋

似たような消費者層を相手にする…つまりレーベルが増えれば増えるほど、同じパイを取り合う競争相手が増えるということになりますよね。
自分たちで自分たちの競争相手を増やすとか…なんか皮肉な話じゃないですか?それで最後は内部崩壊…。

ちなみに、ミン・ヒジンさんは同じくHIVE傘下のビリーフラボが手掛けたガールズグループ(ILLIT)が「NewJeansを模倣している」と不満タラタラだったようですが、自身が手掛けた「NewJeans」も日本の「SPEEDをコピーしている」と批判されています。よく知らないのですが、90年代を彷彿とさせるようなファッションだったり、振り付けだったりするんだそうです。けれど、批判の趣旨としては盗作とかコピー云々ではなく、完全なオリジナルなど存在しない、ガールズグループである以上、既存のものと多少似るのが自然、ということ のようです。

それよりも、長い髪を振り乱して踊るNewJeansの振り付けが、私には歌舞伎の連獅子に見えてしまって…ちょっと笑えました。