金融機関が破綻した際に預金者の預金を一定額保障する預金者保護ですが、韓国では今まで日本の約半分の水準の5000万ウォンでした。
それを1億ウォンに引き上げる法案が委員会を通過し、本会議にかけられうことになりました。
保護される預金額が増えるのは利用者の立場からすると良いことに思われます。
しかし、韓国ならではな懸念もあるようです。
預金者保護が拡充されることで、第2金融圏に資金が流れ、それがまた不動産PFや消費者金融などの原資になるのではないか、との見方です。
アジア経済の記事からです。
預金者保護「1億」法案、小委員会通過、バトンを受け取った金融当局
(前略)
26日、金融当局と国会によると、政務委員会法案審査第1小委員会は前日、預金者保護限度を1億ウォンに引き上げる預金者保護法改正案を議決した。今後、政務委員会全体会議と本会議の議決手続きが残っているが、与野党間の異見がほとんどないだけに無難な通過が予想される。
(中略)
改正案が最終国会の敷居を越えれば2001年から23年の間、5000万ウォンに縛られていた保護額が2倍に上方修正される。ただし政務委は限度上方修正による第2金融圏への資金集中など、各種憂慮を考慮し施行時点を「改正案公布以後1年以内に大統領令が定める日」とし、金融当局に一任することにした。
(中略)
金融当局はこれまで預金者保護限度を高めることに共感しながらも、保護を受けることになる預金が第2金融圏に集中する恐れがあるという憂慮をしてきた。金融当局は昨年の研究用役結果を通じて保護限度が1億ウォンに増えれば貯蓄銀行預金が最大25%まで増加するだろうと明らかにした。該当用役結果報告書は「銀行預金の1%程度の資金だけ移動する可能性があり、全体市場に及ぼす影響は大きくない可能性もあるが、貯蓄銀行間の過度な受信競争が起きれば一部小型会社には衝撃になりかねない」と付け加えた。
これに対し金融当局は本格的な施行のために少なくとも1年の期間を置いて施行時期を決めなければならないという立場を国会に伝えてきた。特に、今年下半期から本格化している不動産プロジェクトファイナンス(PF)の構造調整と追加的な消費者負担などを考慮しなければならないという主張を繰り広げてきた。
(後略)
アジア経済「예금자보호 '1억' 법안 소위 통과, 바통 넘겨받은 금융당국(預金者保護「1億」法案、小委員会通過、バトンを受け取った金融当局)」より一部抜粋
貯蓄銀行への資金流入が最大25%となっています。
どういう試算がされたのかは分かりませんが、これを前提とします。
別ソース(マネートゥデイ)によると、貯蓄銀行には前科があります。
2018年に退職年金の取り扱いが解禁された際、大幅に資金が増え、その後の不動産好況期を経て、2017年末と2022年末では総資産が2倍以上(59兆→138兆)に膨らんでいます。そして流動資産を土地担保融資の原資にしています。
貯蓄銀行の不動産PFへの貸出は全貸出の20%以内と制限されていましたが、資金を迂回させることで制限を超えて運用していたことも分かっています。
要するに、資金がダブついたらまた同じことをするんでしょ?と見られても仕方のない組織ってことです。