3600年前のミノア文明とアフリカの接点の話

約3600年前の青銅器時代に、ギリシアフレスコ画技法で描かれたサルの絵があります。
フレスコ画技法とは、壁に塗った漆喰が生乾き状態の間に上に顔料を重ねて描かれた絵のことで、主に西洋の壁画に用いられています。
世界最古の絵画技法とも呼ばれているので、古い時代のものが残っているのはそう珍しいことではないのですが、不思議なのはこの当時、ギリシアエーゲ海周辺にサルが生息していなかったことです。

まあ、日本にも生息していなかったトラの絵を模写や伝聞で描いた(と思われる)ものが残っているので、そういった可能性もあるのですが、それにしては「特徴」を非常によく捉えているのだそうです。
作者が実物をよーく観察したか、あるいは細部に至るまで詳しく聞いて描いただろうと思われるとのことで、研究が進められた結果、モデルとなった種を特定できたとのことです。


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↑がフレスコ画の一部です。

左の頭部に丸みのあるサルのフレスコ画はテラ島にあるアクロティリ遺跡で見つかったもので、サバンナモンキー(オナガザル科)と特定されました。

右の青いサルはクレタ島にあるクノッソス宮殿のものです。ギリシア神話ミノタウロスの話に出てくるところですね、残念ながら迷宮は実在しないそうですけど。
こちらはヒヒ。同じくオナガザル科ですが、サバンナモンキーが樹上生活をするのに対し、地面で生活をするタイプのサルです。
フレスコ画にはそうした生態の違いを伺わせるような描写がされており、更にどちらもアフリカ北東部に生息しているサルです。

フレスコ画が描かれた当時、ミノア文明とアフリカ北東部との間に何らかの交流があったことを裏付ける証拠として注目されそうです。