「慰安婦被害者法」に定義されている「被害者」は存在しない、という話

韓国には通称「慰安婦被害者法」と呼ばれる、慰安婦の権利(特権?)を保証した法律があります。
生活支援金や医療給付金の保障、公団住宅への優先入居、記念事業推進…などなど、毎年8月14日を「キムリの日(慰安婦の日)」として制定しているのもこの法律です。記念事業には当然、予算がつきます。

ですが、そもそもこの法律内の「慰安婦」は「強制的に動員され性的虐待を受けた」と定義されていますが、「そのような被害者は存在しない」よって「廃止」を求める記者会見が共対委と慰人連によって行われました。


ペン・アンド・マイクの記事からです。

慰安婦被害者法」の廃止を促し市民団体、28日「少女像」の前で初の記者会見


反日像真実究明共同対策委員会」(以下、「共対委」)と「慰安婦人権回復実践連帯」(以下、「慰人連」)は、28日昼12時からソウル鍾路区にある旧日本大使館前で「日本軍慰安婦被害者の保護・支援及び記念事業等に関する法律」(略称「慰安婦被害者法」)の廃止を促す初めての記者会見を開く。

(中略)

この法律は「日本軍慰安婦被害者」を「日帝によって強制的に動員されて性的(性的)虐待を受け、慰安婦としての生活を余儀なくされた被害者」と規定し、「国民基礎生活保障法」による生計給与、「医療給与法」による医療給与、生活安定支給金などを支給して介護者と葬祭費などを支援することなどを定めている。

今回の記者会見に先立ち、キム・ビョンホン国史教科書研究所所長は「朝鮮の女性を強制的に動員して性的虐待し、慰安婦の生活を余儀なくさせた張本人は、日本軍ではなく民間のポン引き*1だった」とし「慰安婦慰安所規定に基づいて決められた対価を受けただけでなく、何人かの慰安婦は高額の収入を得ることもあった」と強調した。

それとともにキム所長は「歴史的事実によると『慰安婦被害者法』の定義に基づく(法律の支援)対象が存在しないため、この法律(慰安婦被害者法)は、存立根拠がない」と付け加えた。

「共同対策委員会」の共同代表として参加しているチェ・ドクヒョ韓国人権ニュース代表も「『慰安婦被害者法』は、いくつかの慰安婦たちの証言を覆すことにより作られた国内政治のためのもので源泉無効」とし「廃棄が当然だ」と述べた。

ペン・アンド・マイク「‘위안부피해자법’ 폐지 촉구 시민단체, 28일 ‘소녀상’ 앞 첫 기자회견(「慰安婦被害者法」の廃止を促し市民団体、28日「少女像」の前で初の記者会見)」より一部抜粋


日帝下日本軍慰安婦被害者の保護・支援及び記念事業等に関する法律(일제하 일본군위안부 피해자에 대한 보호ㆍ지원 및 기념사업 등에 관한 법률)」の全文はこちらで確認できます。韓国語ですが、興味があれば。


大事なことなので何度でも言いますが、「慰安婦」の存在自体を否定している識者は日本側にはいません。いないはずです。少なくとも、私は知りません。
この時代、売春は違法ではありませんから否定する必要がありません。
否定しているのはあくまで「強制連行」です。

日韓の意見の対立は「強制連行の有無」に集約されるはずなのに、「慰安婦」の定義の違いによって日本側が「慰安婦」の存在を否定しているかのような論調にすり替えられている場合があります。これ、すごく危険なことです。
韓国は「強制連行」と「性的虐待」をセットで「慰安婦(被害者)」と呼ぶのが一般的なので、用語の定義による認識の差があるわけです。

この件に限らず用語の定義を先に確認しておくことは大事です。


*1:原文「포주(包主;ポジュ)」。売春斡旋業者。