「終戦宣言」は北朝鮮へのパフォーマンスという話

ムンさんがローマ法王と会談し、北朝鮮への訪問を要請したそうです。
法王は「招待状を送ってくれたら喜んで行くでしょう」という趣旨の返事をされたそうで、雰囲気的には前回(2018年でしたっけ?)と同じ温度だったのではないかと思います。確か訪日前だった前回は、訪日後に寄るのでは?と期待されたりもしましたが結局不発でした。
北朝鮮絡みで状況の進展もありませんし、法王の返答も前回と似た感じなのですが、法王が重ねて訪朝の意思を表明(?)したとして、またまた期待感が高まっているようです。

なんか不思議ですね、韓国大統領が北朝鮮に行ってくださいってお願いしているの。なんで「韓国に来てください」じゃないんでしょう?
一方、実現すれば法王の訪問を受ける側の北朝鮮は韓国の動きを「ハーグに駆け込んだ高宗みたい」と揶揄したそうです。

 

 

朝鮮日報の記事からです。

終戦宣言総力戦を展開するムン...北「ハーグ物乞いの高宗黄帝を彷彿


主要20ヵ国(G20)首脳会議への出席など、7泊9日間の日程で欧州を訪問中の文在寅大統領が29日(現地時間)、法王庁を公式訪問し、フランシスコ法王に会う。

文大統領の法王庁訪問は、18年10月に続き3年ぶりだ。 文大統領は当時、法王の訪朝を提案し、「北朝鮮の公式招待状が来れば行ける」と述べたが、まだ実現していない。 このため、文大統領は法王の訪朝問題に言及する可能性が高い。

(中略)

政府は先月21日、文大統領が国連総会で韓国戦争の終戦を宣言しようと提案した後、米国はもちろん、中国、ロシアに続き法王庁まで関連議論を拡大し、総力戦に出た。韓米は文大統領の提案後、今月だけで5回以上公式接触を行った。

ソ·フン大統領府国家安保室長の訪米(12日)、ウィリアム·バーンズ米中央情報局(CIA)長の訪韓(15日)、ノ·ギュドク外交部韓半島平和交渉本部長とソン·キム米国務省北朝鮮特別代表の相互訪問(それぞれ18日、24日)、韓米日情報機関長会議(19日)などだ。終戦宣言と関連し、韓米が多少異見を見せているという話も出ているが、外見的には目まぐるしい日程で政策調整に乗り出したのだ。

チョン·ウィヨン外交部長官はロシアを訪問し、先月27日にラブロフ外相と会談するなど、北韓の友好国「攻略」にも乗り出した。チョン長官は会談直後「北韓核問題解決の緊急性に共感し韓半島平和プロセスを早期再稼働するため両国が各レベルで緊密に疎通し協力していくことにした」と明らかにした。北韓を対話テープに復帰させるためのロシアの役割を注文したものと解釈できる。

そのような点で文大統領の同日の法王庁訪問は、韓半島周辺国との政策調整や説得と共に、宗教界まで歩幅を広げることになった。一部ではこのような政府の総力戦については容易でない状況の傍証と見ている。元政府高位当局者は「南北間または北米間に対話と関連した進展があれば公開的な対外活動をしないのが一般的」とし「最近の一連の動きは国際社会の雰囲気を北韓に見せ、呼応に乗り出せというメッセージ伝達の次元であり得る」と述べた。
北韓について、水面下で肯定的な動きがあるなら極秘裏に進められる場合が多いが、まだそうでない状況かもしれないという説明だ。

(中略)

法王が訪朝する場合、金正恩国務委員長と面談が可能になり、朝鮮カトリック教会長のカン·ジヨンが統一戦線部副部長を務めているため自然に韓半島の平和と南北関係に関する協議が行われる。法王の訪朝が北韓を動かす引き金になると判断する理由だ。

北韓はキム·ヨジョン労働党副部長の談話(先月24日)をはじめ、最近、金日成放送大学ホームページの常識コーナーに「終戦宣言」を紹介するなど「紐*1」を続けている。その一方で、金正恩国務委員長が直接登板し、「二重の規範」と対北敵対政策の撤回を対話の条件として明確に線を引いた。北韓は米国との直接取引を望んでおり、法王の訪朝が実現しても北韓は宗教と情勢を分離して接近する可能性が高いという指摘もある。

一方、北韓の対外宣伝メディアの「我が民族同士」テレビは同日、北韓の核問題解決に向けた韓国政府の外交努力を「ハーグ特使派遣の失敗後、強制的に退位させられた高宗の末期を連想させる」と皮肉った。



中央日報「종전선언 총력전 펴는 文...북 "헤이그 구걸 고종 황제 떠올라"(終戦宣言総力戦を展開するムン...北「ハーグ物乞いの高宗黄帝を彷彿)」より一部抜粋

当事者である北朝鮮を置き去りにして韓国がドンドン進めようとする「終戦宣言」にチグハグ感を感じていましたが、実は北朝鮮に対するパフォーマンスということのようです。
要は「ほらね、怖くない」と、北朝鮮が威嚇しようが強硬姿勢を見せようが「おびえていただけなんだよね」で済ませる「ナウ◯カ」作戦です。

 

北朝鮮にもキリスト教団体があるとは言われていますが、具体的な信者数などは一切不明です。(外務省データ)
仮に法王が赴いたところで、「統一戦線部副部長が朝鮮カトリック教会長だから」という理由で何かが動くと考えるのは根拠薄弱すぎやしませんでしょうか?韓国側の都合だけで物事を見ているように思えます。



*1:選択肢の一つとして一応残してある、検討の余地がある、みたいな思わせぶりな感じ。