10日ほど前でしたか、投資会社バークシャー・ハサウェイ(ウォーレン・バフェットのとこ)がTSMCの株を大量買い付け(6000万株)しました。
もともとバークシャーはシンプルな投資を好むところで、理由はバフェットがテクノロジーに疎いので、テクノロジー株が増えると分からなくなる、という事からだったようですが、2016年に何が原因か考えが変わったようで、現在同社が保有する最大銘柄(40%以上)がAppleとなっています。
そこが新たにTSMCを購入したわけです。
バフェットは「投資の神様」とか「伝説の投資家」とか「オマハの賢人」呼ばれることがあります。日本のメディアもですけど、韓国のメディアもこの手の肩書が大好きでして、日本下げ北朝鮮上げのジム・ロジャーズと並んでよく取り上げられています。(ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズで「三大投資家」と呼んでみたり)
今回のTSMC買いについても「なぜサムスンではなかったのか?」の分析しています。ちょっとズレているような気がしますが、それは本記事が最終的に言いたいことが韓国の半導体育成支援政策の遅れへの憂慮だからです。その部分は省略していますけれど、「野党の非協力で『Kチップス法』の審議すら始められない状態なのだからサムスンがバフェットに背を向けられても仕方がない」と。これが記事の結論です。
でも多分、バフェットがTSMCを選んだのはそれ(だけ)が理由じゃない気がします。
毎日経済系列の毎経エコノミーの記事からです。
バフェットがサムスン電子ではなくTSMCを購入した理由
(前略)
「オマハの賢人」と呼ばれる世界的な投資家であるウォーレン・バフェットが半導体株式に投資をしたが対象が私たちのサムスン電子ではなく台湾TSMCだった。41億ドル(約5兆4000億ウォン)規模と少なくない。
その理由に対する多様な解釈の中で、米中葛藤の最大恩恵株であり米国政府の恩恵を十分に受けているTSMCを選択したという分析が説得力を得ている。Appleのティム・クックCEOは最近、半導体のアジア依存度を減らすためアリゾナで建設されている工場で調達すると明らかにした。2024年稼働予定のTSMC工場を指すものだ。
Appleが核心戦略品目をアジアなど海外から米国に移す理由はジョー・バイデン政府の半導体産業育成計画に合わせた決定だ。米国政府は7月、半導体・科学法を制定し自国内の工場建設時に500億ドル以上のインセンティブを提供することにした。TSMCはこれに応えて追加工場の建設も検討しているという。AppleあそのようなTSMC製品の購買を大幅に増やすのだ。バフェットは政府の十分な支援と顧客の注文を受ける半導体一等企業への投資を拒む理由は無かっただろう。
TSMC ー Apple ーバークシャー・ハサウェイと繋がる「好循環トライアングル」の出発点は米国の半導体育成政策だった。国益に寄与する企業に果敢に恩恵を与えると発表すると、世界的なグローバル企業がこぞって手を挙げている。
(後略)
毎経エコノミー「버핏이 삼성전자 아닌 TSMC를 산 이유(バフェットがサムスン電子ではなくTSMCを購入した理由)」より一部抜粋
サムスンも米国内に工場建設予定じゃなかったでしたっけ?
記事の分析は「なぜサムスンではなくTSMCなのか?」というより、「なぜ今半導体なのか?」の方を分析しているような気がします。
記事の見立て通りなら、安保に直結すると見なされた半導体産業が今後、政府の保護を受け安定成長産業となる可能性が大きいと見なしたから、とでもまとめられるでしょうか。
しかしそれは「なぜ半導体なのか?」です。「なぜサムスンではなくTSMCなのか?」といえば、もっと単純だと思います。
先にも触れた通りバークシャー・ハサウェイが持つ最大銘柄はAppleです。TSMCはAppleの主要半導体サプライヤーです。サムスンではなくTSMCを選ぶのに他に理由は必要ないでしょう。
記事へのコメントは70件。反応は「良い情報:0 興味深い:0 非常に共感:79 良い分析:0 続報期待:5」です。
「公認会計士です。相続税は1%にもなりません。ムン・ジェインは国家負債千兆で2倍に増やし、公務員10万人を増やしましたが働き口は減るばかりでした。結局、良い企業が多ければこそ雇用も税収も増えるので米国がまさにそのように行動するのです。そして中庶民層がまともに不動産の代わりに株式に投資して老後に備えることが出来るよう相続税廃止後、企業ガバナンスー仕事集中発注制、循環出資を廃棄し株主の利益を保証しなければなりません。これは金融業界や投資家なら誰でも知っている基本ですが、これをせずに何の資本主義ですか?」(共感163 非共感12)
「政権獲得にだけオールインし、国は滅びようが国民が大変だろうが権力を握って自分たちに都合の良い世界を作ろうとする民主党、三流政治が国を苦しめます」(共感100 非共感8)
「量産イヌ捨て*1ムン災害~大災害だよ、ホントに」(共感58 非共感4)
「理由が知りたいですか?まだ知らなかったのですか?彼らはまだ社会主義革命理念から完全に抜け出せずにいる状態です。自由市場経済システムに好意的でありながらも心のふるさと主体思想を忘れられません。運動圏左派が大企業をむやみに社会悪と規定し無条件に反対する理由がここにあります。子供たちは大企業に就職させたいのに大企業を革命対象の改革対象と見る二重の定規を持ち依然として産業発展の足を引っ張っているのです。その巣窟が民主党ですよね」(共感12 非共感2)
コメント部分は半導体育成支援政策の遅れとそれを助長している共に民主党への不満が大部分です。記事の趣旨としてはそちらがメインですので、こういう反応の方が合ってますね。
最後に余談ですけど、バークシャー・ハサウェイは日本の五大商社(伊藤忠商事、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事)への出資も拡大しています。中国の電気自動車BYDの株(9億ドル相当)は売却したみたいです。