「ワシントン宣言」について韓国大統領室の国家安全保障室は「事実上の核共有」との見解を示していました。「韓国国民が事実上、米国と核を共有しながら過ごしているように感じることになると思う」と、このような表現です。一部メディアもこの表現を借りて盛り上がっていました。
しかし、この「核共有」という認識、韓国と米国とで随分温度差があるようです。韓国メディアの特派員がホワイトハウス高官に「事実上の核共有と見なすか」と質問したところ、はっきりと「見なさない」と否定しています。
KBSの記事からです。
米ホワイトハウス「ワシントン宣言、事実上の各共有ではない」
(前略)
エディ・ケイガン・ホワイトハウス安全保障会議NSC東アジア・オセアニア担当上級局長は現地時間27日にアメリカ国務省で開催された韓国特派員団とのブリーフィングで」ワシントン宣言」を事実上の核共有と説明したことによる立場を尋ねられると、「率直に言う」とし「事実上の核共有とは考えていない」と答えました。
ケイガン局長は韓国政府と立場が違うのか、との追加質問には「それには反論したい」とし「韓米間では幅広い議論を経たが、米国が『核共有』と表現するときは重大な意味を内包する」と説明しました。
そのうえで、米国の立場から「核共有に対する定義は核兵器統制と関連があるが『ワシントン宣言』はそうでないことを明確にしたい」としたうえで「韓国大統領室が核共有をどう定義するかについては言えないが、私たちの定義では核共有ではない」と付け加えました。
(後略)
KBS「미 백악관 “워싱턴선언, 사실상 핵공유 아니다”(米ホワイトハウス「ワシントン宣言、事実上の各共有ではない」)」より一部抜粋
米国の言う「核共有」の取り決めが結ばれている国は今のところ5カ国です。ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコ。これらの国の軍施設に核弾頭が保管されていますが、保有権はありません。
米大統領と各国首脳が「使用」で意見一致すれば各国の航空機に搭載して攻撃目標に投下できます。
各国が反対しても米大統領が「使用」を許可すれば、米軍は自国航空機で投下が可能です。
逆に各国が「使用」を求めたとしても米大統領が「不可」とすれば使えません。
ケイガンさんの言う「核兵器統制」というのは、最終使用決定権が「米大統領にある」ことと、恐らく核弾頭が「各国軍施設に保管」されているということの2点です。
「ワシントン宣言」には、ご存知のようにこんな取り決めはありません。韓国軍施設に核弾頭を保管する、なんてことが無い以上、米国的にこれは「核共有ではない」になります。
一方の韓国にとっては「韓国に何かあったら核を含む 米国の全戦力をすべて使う」という部分をもって、「核の後ろ盾」=「核共有」と言ったのでしょうが、それは単に「核の傘」の明文化でしかありませんよねって話です。
それどころか、「ワシントン宣言」内で核不拡散条約(NPT)を韓国が守ることにも触れられているため独自開発の道が無くなりました。米国的に本命はコチラだったと思われます。