米大統領選の共和党候補の指名争いが始まりました。
15日、初戦のアイオワでトランプさんが得票率51.0%の大差で圧勝しています。
色んな意味で目が離せない人ではありますが、もしトランプさんが再選すると「韓国内で独自核開発の圧力が高まるだろう」という記事があったので紹介します。
個人的には微妙な内容です。
東亜日報の記事からです。
「圧勝出発、トランプ再選の際は...韓国内の核開発圧力が高まるだろう」
「ドナルド・トランプ元米国大統領が政権を握れば、制裁緩和の見返りに北韓の核凍結を受け入れる可能性が高いです。北韓の核保有国化で韓国も独自の核抑止力を開発しなければならないという圧力がさらに加速するでしょう」
米シンクタンク、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー会長（55）は東亜日報に「米大統領選挙は今年、世界が迎える最も大きな地政学的危機」とし「トランプ2.0（2期目）」が韓半島にもたらす波紋に対してこのように警告した。
（中略）
16日、北韓のキム・ジョンウン国務委員長は米国の代わりに韓国を「不変の主敵」と位置づけ、トランプ元大統領の復帰を念頭に置いた米朝の「核の直取り引き」に乗り出した。
（中略）
「現在の南北関係の状況下では韓国を防御する、という米国の約束が破られるのではないか、という恐怖が大きくなりかねない。さらに、韓国内で核抑止力開発に対する要求が高まる可能性もある。トランプ元大統領は過去にも北韓と直接交渉した。2期目を迎えることになれば、制裁緩和の見返りに北韓の核凍結を受け入れることができる。北韓の核保有国化で韓国は『自主抑止力（indigenous deterrent）』を開発しなければならないという圧迫がさらに加速化するだろう」
（中略）
戦略国際問題研究所（CSIS）のビクター・チャ韓国首席とアンディ・イム研究員も16日、「トランプの『米国優先主義』姿勢と米国本土に対する大陸間弾道ミサイル（ICBM）脅威を近隣同盟国に対する単距離弾道ミサイル（SRBM）脅威と分離しようとする意志は、米国拡張抑制の信頼性を弱化させるだろう」とし「トランプの勝利は北韓の挑発を減少させることは出来ても、同時に韓国国民と政策決定権者の両方に独自の核兵器保有に対する要求を高めることになりかねない」と見通した。
トランプ元大統領は北韓の非核化の代わりに挑発抑制に焦点を合わせ、北韓を事実上の核保有国と認める可能性がある。この場合、米国が拡張抑制を強化する代わりに韓国が独自の核武装をしないという内容を盛り込んだ「ワシントン宣言」（2023年4月採択）が無力化される。北韓がトランプ元大統領を核の直取り引きで引き出そうとして韓国に強力な挑発を敢行するかもしれないという警告も出ている。
（後略）
東亜日報「“압승 출발 트럼프 재선땐… 한국내 자체 핵개발 압박 커질 것”（「圧勝出発、トランプ再選の際は...韓国内の核開発圧力が高まるだろう」）」より一部抜粋
なんでトランプさんが「北朝鮮の核凍結を受け入れる」と「北朝鮮が核保有国化」するのかがよく分かりません。今ある核を放棄させないからでしょうか？
聞き方が悪いのか、答え方が悪いのははともかく、この記事には「なぜ」が欠落しているように感じます。
「なぜ」トランプさんが再選すると北朝鮮の核凍結を受け入れる可能性があるのか、「なぜ」事実上の核保有を認めることになるのか、「なぜ」韓国国民は米国が韓国を守るという約束を果たさないと感じるようになるのか……ことごとく「なぜ」が抜けている気がしてなりません。
それらは一重に「トランプならやりかねない」という話に過ぎないからではないでしょうか？つまり政策がどうとか、信条がどうとかいう次元の話では無くて「ドナルド・トランプ」という人物の「印象」の話ということです。
「トランプは信頼に足る人物ではない」だから「トランプが再選すれば大変なことになる」を前提に「アンチ・トランプ」的な立場からの意見だからこうなったのかな、と。そんな気がしました。
もしそうでなかったら、ハノイ会談の話が出てこないのが妙な気がするんですよね。トランプさんが北朝鮮の核凍結を受け入れるのは、あのタイミングでも良かったはずです。
しかしハノイ会談は何の合意も無く失敗に終わりました。「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」（CVID）がなされなかったからです。
（余談ですが、北朝鮮の韓国への当たりが強くなりだしたのはこの頃からです）
記事の主張だと、トランプさんが再選すればCVIDを差し置いて北朝鮮への制裁を緩和する、と読める主張があります。
果たして可能でしょうか？アメリカ大統領と言えど、米議会も国連も無視して独断でそんなことが可能でしょうか？また、する意味があるのでしょうか？
もし可能だとして、なぜハノイでやらなかったことをわざわざ再選したらやるのでしょう？
ちょっと、この辺が疑問です。もっと突っ込んで聞いて欲しかったところです。
