明日はお雛様ですね。適当に摘んだ「ひなあられ」がチョコ味だとちょっと嬉しいです。
さて、この時期になるとTVやスーパーで定番ソング「うれしいひなまつり」をよく耳にします。
日本で生まれ育って、この曲を一度も聞いたことがないという人はそうそういないと思います。
それくらい有名な曲ですが、実は盛大に間違っているそうです。
歌の通り配置しようとすると混乱する
「うれしいひなまつり」の歌は、歌詞を追っていけば分かりますが雛壇の人形の配置を表現しています。
ですが、歌の通り配置すると混乱します。
それは配置の並びが誰の目線で歌われているかいまいちはっきりしないためです。
結論を言ってしまうと、この歌は人形の飾り手目線での歌詞になっています。
「赤いお顔の右大臣」は「左近衛中将」の間違い
左大臣、右大臣というのは本来公卿で、武官束帯はしません。
更に左右逆転現象が起こっています。
本来「左」「右」というのはお殿様(天皇)から見ての配置になるべきはずが歌い手(人形の飾り手) から見た配置にされてしまっているためです。
※京都の地図を見るとよくわかります。御所を真ん中に左右が逆になっています。天皇が御所から見た時の左右に合わせてあるんですね。
以上を踏まえると、お殿様から見て左側に居る武官束帯の赤ら顔の人形は左近衛中将の間違いではないかとされています。
※ちなみに、左大臣・右大臣のように左右がある場合、左の方が上位となります。
「お内裏様」で実は二人を表す
「お内裏様とお雛様」の部分です。
内裏というのは天皇の私的区域の意味で雛人形は皇族の婚礼の儀を表現したものです。
雛人形は単体では雄雛(おびな)・女雛(めびな) と呼びます。一組でお内裏様またはお雛様と呼ぶのが正しいです。
ですから「お内裏様とお雛様」と言ってしまうと雄雛・女雛が二組(二組の婚礼)が行われていることになってしまいます。
なんか変ですよね。
原因は作詞家の勘違い?
雛人形の正式名称は 内裏雛(だいりびな) と言います。「雛祭り」は女の子の成長を祈るお祭りです。
どうやらそこから「雛=女雛」と考えたようで、前の「内裏=雄雛」と分けて考えてしまったようです。
その他
左右差
元々は雄雛は左側(向かって右側) でした。左大臣・右大臣でも触れましたが日本では元々、左側が上位だったためです。
ところが欧米では逆で、男性は右側に立つ風習があります。
大正天皇は即位式にあたり、西洋の風習にならい右側にお立ちになったそうです。
以後、皇室では天皇が右側、皇后が左側にお立ちになるようになり、雛人形の並びをそれに合わせる形で男雛を右、女雛を左とするのが関東を中心に一般的になったそうです。
今でも雄雛と女雛の左右の並びには地域差が残っています。
特に関西地方では伝統的な並び(雄雛左、女雛右)が多く残っていて、雛人形販売のサイトなどを見ていると特色がよく出ていて興味深いです。