令和2年版外交青書の話

令和2年(2020年)版外交青書が発行されました。
HP上に全文が公開されるのは9月の予定ですので、要旨しか見られませんけれども、韓国に対して「重要な隣国」表記が復活しているようです。


中国について。

東シナ海を隔てた隣国である中国との関係は、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、両国は緊密な経済関係や人的・文化的交流を有している。(中略)
しかし、2020年3月、日中両国は、習近平国家主席国賓訪日について、新型コロナウィルス感染症拡大防止を最優先する必要があり、また、習近平国家主席国賓来日を十分成果が上がるものとするためには、両者でしっかり準備を行う必要があるとの認識で一致し、双方の都合が良い時期に行うことで改めて調整していくこととなった。
同時に、東シナ海で継続する中国による力を背景とした一方的な現状変更の試みは断じて認められず、引き続き、関係国との連携を強化しつつ冷静かつ毅然と対応するとともに、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とすべく、中国との意思疎通を強化していく。


中国に関しては、昨年と対して変わりないように思います。
が、とりあえず私は国賓待遇に反対です。


韓国について。

韓国は、日本にとって重要な隣国であり、日韓関係は、1965年の国交正常化の際に締結された日韓基本条約、日韓請求権・経済量力協定その他関連協定の基礎の上に、緊密な有効協力関係を築いてきた。 しかし、2019年には、前年に引き続き、旧朝鮮半島出身労働者問題に関し韓国が依然として国際法違反の状態を是正していないことを始め、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了通告(ただし、後に終了通告の効力を停止)、慰安婦問題に関する「和解・癒やし財団」の解散に向けた動き、韓国国会議員などによる竹島上陸や竹島における軍事訓練、竹島周辺海域における韓国海洋調査船の航行、東京電力福島第一原発の処理水に関する韓国側による非建設的な問題提起など、韓国側による否定的な動きは止まらず、日韓関係は厳しい状態が続いた。(後略)


一つ一つの細かな事例(GSOMIA破棄や原発の処理水など)は、昨年と変わっていますが、こうしたものを「否定的な動き」と表現するのは昨年と同様です。

前半の太字部分が、日韓関係の一般的認識として新たに加えられた部分といえそうです。
「重要な隣国」表記は復活していますけれども、その大前提として後に続く日韓基本条約を始めとした各種条約、協定が両国関係の基礎であることを強調しています。逆に言うと、これが崩れれば「重要な隣国ではない」という事です。