WHOがマスク着用に関するガイダンスを変更した話

日本では感染症予防のためのマスクの習慣が元からありますが、コロナ事態以前の海外(主に非アジア圏)ではマスクは「病気の人」または「医療関係者」のみが装着するもので、健康な人は無縁のものでした。

口元を隠すと表情が分からないので嫌がる、というのも影響としてあったのでしょうが、それと合わせて、マスクに感染予防の効果はない、とする見方が一般的だったためで、WHOもこれまでずっとそう言ってきました。

一部の国では既に、公共の場でのマスクの着用が義務付けられるようになっています。そして遅ればせながら、WHOもマスクに対するスタンスを変更し 「コロナウィルス蔓延を防止するために公共の場で着用する必要がある」 と、ガイダンスを変更しました。


WHOのマリア・ヴァン・ケルコフさんはロイター通信に、「感染リスクがある地域では布マスク(fabric mask)、つまり非医療用マスクを着用することを勧める」とし、各国の政府に対しても一般人のマスク着用を推奨するようアドバイスしていると述べたそうです。

NHKの報道によると、異なる素材(ナイロンとポリエステルなど)を重ねて作ったマスクの場合、1層だけのものより2〜5倍効果がある、といったことも報じられています。


WHOは今まで「意味ない」としていたマスク着用を推奨する理由として、ここ数週間の研究によってマスクによる感染リスク軽減が示されたから、としています。

もちろん、マスクは絶対の感染予防策ではなく、「使えるツール」の一つに過ぎないわけですが…なんかちょっと釈然としません。

今回のコロナに関わらず、インフルエンザなどの感染症全般についてもWHOはずっとマスクに懐疑的で、「感染防止に有効だという医学的根拠がない」という立場でしたが、たった数週間の研究で転換したということは、そもそも今までまともに検証すら行われておらず、慣例的な考えて非推奨を主張していたのではないかとすら疑ってしまいます。


WHOのような国際的な枠組みが必要なことは確かだと思いますけれど、本当にWHOだけで大丈夫なんでしょうか?