「水ワクチン」の話

「水ワクチン」説は日本のネットでもたまに見かけますね。そのまんま「生理食塩水でも注射してたんじゃないの?」的な意味で。

韓国でも最近「水ワクチン」説が出てきているようです。が、日本で言うそれとは意味が違います。
韓国の疾病庁がワクチン各種の抗体価数や接種後経過時間による抗体価数の減少などの数値を出しました。ブースターショットの必要性を示すための資料だったのですが、皮肉なことにファイザー・モデルナとAZのワクチンとで抗体価数の数値に開きがあることがはっきり分かってしまいました。
さらに日本がAZ製ワクチンを使用していなかったこともあって、最近の韓国での感染増加をAZ製ワクチン=「水ワクチンのせい」と揶揄しているわけです。

 

 

中央日報の記事からです。

日、ファイザー・モデルナでコロナ急減?水ワクチン集中AZ論争


アストラゼネカ(AZ)のワクチンは水ワクチンだって?」
26日、昼食の席でこのような質問を受けた。同席者は「AZの中和抗体数値がファイザーよりずっと低いというが」と、それなりに根拠を示した。中和抗体とはウィルス感染を中和し、予防効果を誘導する抗体のことをいう。

問題の発端は17日、疾病管理庁がワクチン別の抗体形成および持続能力を公開したことだ。抗体ができる割合(陽転率)は、モデルナ・ファイザーが100%、AZが99%、ヤンセンが90%だった。中和抗体の形成にはほとんど差がない。ところが、抗体価*1に大きな差を見せた。AZの接種完了後、最大抗体価はAZが392、ファイザーは2119であった。デルタ変異にについてはAZが207、ファイザーが338であった。AZは二次接種3ヶ月後にデルタ変異に対して抗体価が207から98に、ファイザーは5ヶ月後に338から168に低下した。
疾病庁は同日、報道資料で「ワクチンがデルタ変異に弱く、ファイザー接種群は2次接種後5ヶ月まで、AZとの交差接種群は3ヶ月まで抗体が一定に保たれたが、時間が経過するにつれ減少する」とし「ブースターショットが必要」と説明した。

疾病庁はこのように、ブースターショットの必要性を強調するために抗体数値を公開した。しかし、数字が出て比較が可能となり、これにより意外な議論を引き起こした。しかも日本がコロナ19安定勢に入った理由がAZを使わずファイザー・モデルナを使ったためだという主張が出てきてAZが水ワクチンへとさらに追い込まれた。

1103万人のAZワクチン接種者は突然、水ワクチンの接種者となった。ただでさえAZワクチンは突破感染に相対的に脆弱で、感染予防力が多少落ちるということが知られ気がかりなところへ、水ワクチンを巡る議論が重しとなった。

(後略)



中央日報日 화이자·모더나 맞아서 코로나 급감? 물백신 몰린 AZ논란 [뉴스원샷](日、ファイザー・モデルナでコロナ急減?水ワクチン集中AZ論争)」より一部抜粋

訳からは省略してしまいましたけど一応専門家の話として「示された中和抗体価は血液中の血清のものであり、人体はその他にも多様な免疫システムを持っている」「抗体価より実際の接種者で何人が感染し、何人が感染しなかったのか実数を見る必要がある」という趣旨の発言が紹介されています。

ただ、日本はAZを使用していません。ワクチン接種率以外で明確な違いとして分かりやすいポイントなだけに、安易に飛び付く人もいるんでしょう。

*1:中和抗体の量