サムスンの半導体危機論の話

サムスン電子の副会長で経営のトップであるイ・ジェヨン(李在鎔)さんは、19日にサムスン電子半導体研究所を訪問した際に半導体事業の将来に対して「危機的状況」という言葉を用いて、技術革新の必要性を強調しました。

個人的にはLCDに続いて半導体も間もなく中国に追いつかれ追い越されるだろうと思っているので、イさんの持っている危機感は当然のものと思います。


韓国経済の記事からです。

サムスン電子の「半導体危機論」は大げさか本物か


(前略)

サムスン半導体の三つの危機

サムスン半導体事情関連の聞き状況は大きく三つに整理することができる。最初は米国と中国の間の半導体をめぐる「新冷戦」である。米国政府は、中国Huawei社の半導体製造を遮断することにし、サムスンにも火の粉が飛び散る可能性が大きくなった。

(中略)

第二の危機は、中国の半導体メーカーの躍進である。中国のYMTC、CXMTなどのメモリ半導体(Dラム*1、NAND型フラッシュ*2)メーカーは先を争って新製品の発売を予告している。最近、世界5位の生産工場の中国SMICが大規模な資金調達を通じて微細化に務めている。サムスン電子の関係者たちも、中国企業の積極的な動くに対して「市場の変化の勢いになるだろう」と警戒している。

第三は、サムスン電子システム半導体(Dラム、NAND型フラッシュなどのメモリ半導体を除く事業)事業に対する牽制だ。サムスン電子が2030年までに世界1位を達成すると発表したファウンドリ事業*3が代表的な事例だ。台湾のTSMCは第2四半期の予測値基準51.5%の世界市場シェアで2位のサムスン電子(18.8%)との格差が相当するが、投資を怠っていない。

(中略)

5nmプロセスは下半期から本格化する見通しだが、半導体業界と外信の報道を総合するとTSMCサムスン電子を圧倒している。(中略)
ファウンドリ事業の進歩は「技術」だけである。イ・ジェヨン副会長が「未来の技術をいかに速く私たちのものにするのかに生存がかかっている」とし「時間がない」と強調したこともこのような理由からだ。

(後略)

韓国経済「삼성전자의 '반도체 위기론'은 엄살일까 진짜일까(サムスン電子の「半導体危機論」は大げさか本物か)」より一部抜粋


最近のシステム半導体の情勢は、自社開発に向かっています。
例えば、AppleiPhone向けの集積回路を設計したり、GoogleがAIプロセッサを自社開発したりしています。
となると、これから求められる半導体の事業モデルはファウンドリ(工場)としての生産能力ということになるわけです。
顧客の設計に答えられる生産技術が要る、ということですね。そしてそれは今、明らかにTSMC(台湾企業)に遅れを取っており、このままでは中国企業に追いつかれるのも時間の問題、と。


*1:PCやスマートフォンなどに使われるメモリ。

*2:USBメモリ、SDカード、SSDなどの記憶媒体

*3:システム半導体を量産する工場のこと。