米中対立の煽りを受けている孔子学院の話

孔子学院とは、海外の大学に中国語や中国文化の教育、宣伝を行うという名目で設置された機関です。2004年に設立され、展開され始めました。孔子の名を関していますが、儒学教育機関ではありません。
表向きは中国語・中国文化を学ぶ機関となっていますが、多額の資金が大学側に支払われていることは有名ですし、中共の工作の一環として長らく批判に的となってきました。

中国は2020年までに世界1000ヶ所に設置することを目標に、奨学金制度などの充実を図ってきていました。(日本には現時点で18大学に設置されています)
ですがここ最近の米中対立の煽りを受け、孔子学院への風当たりも厳しくなっているようです。


台湾英文新聞の記事からです。

ドイツの大学、中国の孔子学院を拒否する動きに


ドイツの大学は、中国共産党プロパガンダ装置として機能しているとされる中国の孔子学院の役割を調査するため、米国や他のヨーロッパの大学に加わった。

ドイツ日刊紙「ダイ・ヴェルト」は、ハンブルク大学が「政治的影響力と情報漏えい」に関わるリスクを理由に、今年末までに同機関との関係を断つと報じている。軽症を鳴らすのはドイツの教育機関では初めてではない。

デュッセルドルフハインリッヒ・ハイネ大学は2016年、中国共産党の政治的影響力を懸念し、漢辦(ハンバン)(漢学院本部)との協力関係を終了した。ボン大学も北京の干渉を警戒し、同校の孔子学院の継続運営を認めるかどうかを検討している。

(中略)

米国の大学やベルギー、スウェーデンなどの欧州各国の大学は、スパイやプロパガンダ疑惑を理由に孔子学院を拒否する動きを見せている。批判が高まる中で孔子学院は今月初めに「MOE Center for Language Exchange and Cooperation」(教育部中外言語交流合作中心)と名を変え、世界的な反発に対処ルツことを意図したと思われる動きをしている。

台湾英文新聞「German universities move to reject China’s Confucius Institutes(ドイツの大学、中国の孔子学院を拒否する動きに)」より一部抜粋


もちろん、孔子学院を中共の工作機関と見ない大学もあります。(記事中ではフランクフルトのゲーテ大学などが挙げられています)

ただ、私の印象として中国が純粋な「文化交流」のために大金を払って孔子学院を運営しているとはとても思えません。
あからさまなスパイ行為や工作行為が無かったとしても、精神的ハードル(中共への忌避感)を下げる役割、シンパを増やす役割は課せられているように思います。