日自衛隊機への「火器管制レーダー照射判断」を現場に一任していたムン政府の話

今月11日に日韓の防衛当局の局長級定例会議が復活したとの報道がありました。2018年12月20日韓国海軍の艦船が日本の哨戒機に火器レーダーを照射する事件があって以降長らく行われていなかったものです。
ユン政権は韓米日協力に積極的なポーズですからその一環かと思っていたのですけれど、一部で妙な話が出てきています。
「事件から4年近く経った今、事件の真相を究明するよりも交流を復元する方に議論がなされる(との観測も出ている)」と。これは聯合ニュースやニュース1、毎日経済など複数の韓国メディアが伝えています。(参考
韓国側がこういう有耶無耶を望むときは突っ込まれると分が悪い時だと思うのですけれど、その時は特にそれ以上なにか具体的な話があったという記事でもなかったのでスルーしました。

が、それから1週間経った昨日、中央日報が単独で報じたところによると、ムン政権下の2019年2月1日(時系列的にはレーダー照射事件の後)、5段階で構成された「日哨戒機対応指針」が海軍に伝えらており、それによると5段階目(最終段階)には現場の判断のみで日本の哨戒機に火器管制レーダーを照射することが出来るようなっていたことが分かりました。
これは領空侵犯した中国やロシアの軍用機には適用されておらず日本自衛隊機に対してのみの措置です。

 



中央日報の記事からです。

[単独」ムン政府「日本の哨戒機に追跡レーダーを撃て」...事実上の交戦指針


(前略)

17日、シン・ウォンシク国民の力議員によると、2019年2月、軍当局は「日哨戒機対応指針」を海軍に送った。これは同年1月に作成された「第3国航空機対応指針」とは別の指針だ。

「第3国航空機対応指針」は公海で第3国の航空機が味方艦隊に近づく場合、段階的に対応するよう内容を盛り込んでいる。第3国の航空機が1500フィート(約457メートル)以下に降下して接近すれば味方艦隊は彼我を識別後、通信で警告するなどの4段階の手続きに従って行動するようになっている。

(中略)

ところが「日航空機対応指針」は「第3国航空機対応指針」より一段階多い5段階だ。日本軍用機が2次警告通信にも応じず近づいてくれば「追跡レーダー調査」で対抗するよう規定した。追跡レーダーは艦艇で艦砲やミサイルを狙うために標的の方向、距離と高度を測るレーダーだ。銃撃統制レーダーとも呼ばれ、日本では火器管制レーダーとして使われる。

追跡レーダーをオンにしてレーダービームを航空機に当てるのは攻撃する意思があると知らせる行為だ。当初、日本の海上哨戒機脅威飛行をめぐる韓日間の葛藤も追跡レーダーから始まった。

(中略)

問題は軍当局が日本の海上哨戒機を相手に「追跡レーダー調査」段階を規定したのに続き、現場指揮官が自衛権レベルで決定するようにしたという点だ。「慎重に施行せよ」という条件をつけたが、ややもすれば武力衝突につながりかねない権限を現場指揮官に委任したのだ。

キムウ・ジンヒョン元合同参謀戦略部長(予備役海軍少将)は「日本は我々と政治的葛藤はあったが軍事的衝突まで続いたことはなく事実上、安保分野では協力する国だ」とし「日本が攻撃する可能性は高くないが、司令部があいまいな命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を押し付けたのは行き過ぎだ」と指摘した。

また「日本航空機対応指針」が、日本を韓国の軍事管轄権に対して友好的でない中国・ロシアよりさらに強硬に扱う点が問題だという指摘だ。

(中略)

追跡レーダー照射が起こしうる外交・軍事的爆発性のために2019年2月に軍当局が「日本航空機対応指針」を付くったとき軍内部では「日本と戦争しようというのか」という批判が多かった。関連事情に詳しい政府消息筋は「『日航空機対応指針』は大統領府安保室が主導し、軍当局の原案よりも強硬にした」と示唆した。

(中略)

軍当局は「日本軍用機に強く対応せよ」という指針を作ったが、いざ現場では対峙状況を作らないよう相互の動きを事前に知らせた。国防部がシン・ウォンシク議員に報告した内容によると、韓日両国の軍用機が相手の軍艦の方に飛行する場合、双方は積極的に情報交換を行った。また、韓国軍艦付近に中国・ロシアの軍艦が現れた場合、日本の海上哨戒機が識別・採証のため低高度飛行をする前に韓国側に事前に知らせた。

(中略)

ややもすれば韓日間の軍事衝突を招く恐れがあり、現場では「日航空機対応指針」は事実上有名無実になた。これと関連して国防部は「日航空機対応指針」破棄を検討中だとシン・ウォンシク議員側は伝えた。



中央日報「[단독]文정부 "日초계기에 추적레이더 쏴라"…사실상 교전 지침([単独」ムン政府「日本の哨戒機に追跡レーダーを撃て」...事実上の交戦指針)」より一部抜粋

中国・ロシアにレーダー照射したら反撃されちゃうからでしょう。その点、日本相手なら安心、何をしてもやり返してこないからやりたい放題で留飲を下げるのでしょう。

しかし火器管制レーダー照射事件は聞けば聞くほどおかしいです。既に公開されている動画で分かります通り、日本側は交信を行っています。記事では偶発的な衝突を避けるために「日航空機対応指針」伝達後も日韓が積極的に情報交換・疎通を行っていることが強調されています。
つまり日本側の対応は事件前後で変わっていません。多分、韓国も変わっていないのではないでしょうか?おかしかったのは火器管制レーダーが照射されたあの時だけだったのではないか、そんな気がしています。
韓国側が「うやむや」を望むのにもそこら辺に何か理由があるのかもしれません。

それと事件後に作られた「日航空機対応指針」において現場判断で火器管制レーダー(追跡レーダー)照射が盛り込まれたのは、現場の判断を「評価した」からでしょう。だからこそ後付けながら根拠作りをしたように思えます。



「敵国の中共には3不盟約をしながら、友好国の日本は敵国として接したということだが、このようなことを反逆行為と呼ばなければどのようなことが反逆行為なのか?」(いいね118 怒る14)

「米国の安全保障専門家で弁護士のゴードン・チャンが言ったよね...ムン・ジェイン政権は北韓が韓国を征服することを望む者でいっぱいだ」(いいね115 怒る15)

「韓国の防空識別圏に侵入する飛行機に対しては国籍を問わず追跡レーダーを撃て、ではなく日本機には撃て、中共機は撃つな?ムン・ジェインの歪んだ意識レベルがどこまでなのか推し量ることができる。中共北韓と血盟であり、そのような中共は韓国の潜在的脅威の存在だ。中共は暗黙的に北韓の核開発を支持するが日本は激しく反対している。韓国にとって最も大きな脅威国はどこなのか?一言で言って、国家安全より本人の感情だけに忠実だった人ではないかと思う」(いいね114 怒る18)

これらのコメントはポータルについたものではなく中央日報のページに書き込まれたものです。そのため比較的保守寄りの意見が多くなっています。