ラムザイヤー教授の論文への「謝罪要求」陳情書の話

「『慰安婦の嘘』を暴くなんてことに意味はない」これは前々から私が思っていることです。

いや、「嘘」を「嘘」と知ることは大事なんですけれど、慰安婦問題を語る上で、あるいは情報戦を行う上でこの「嘘を暴く」を主な戦略・戦術として用いることは得策ではない、というべきでしょうか。「嘘」は本丸ですから、まずは外堀を埋めるべきだと考えます。
慰安婦問題を薄っぺらく理解している人や、「普遍的な人権問題」と考えているようなおめでたい...正義感の強い人ほど反発を招きます。正義感の強い人は良くも悪くも感情的です。

ハーバード大の韓国人留学生会はラムザイヤー教授の「謝罪」を求める陳情書を提出する計画だそうです。一体、誰に対する謝罪でしょう?
学問的に問題があるのなら学問的に反論すればいいのに、スクラムを組んで圧力を掛けて謝罪させて封殺する...いつものパターンです。
一度謝罪してしまったらもう何も言えなくなってしまいます。今後こうした議論がなされる際に必ず「ハーバード大教授は謝罪し論文を取り下げた」と、強制連行の新たな証拠として利用されてしまうでしょう。教授には踏ん張って頂きたいところです。


ニューシスの記事からです。

慰安婦=売春婦?愚かなハーバード論文」..学者たちの反論が続く


(前略)

ハーバード大学の校内新聞「ザ・クリムゾン」は7日(現地時間)、ラムザイヤー教授の論文に学会の批判、学生の嘆願が相次いでいると報じた。

ザ・クリムゾンは「慰安婦(comfert women)」という語彙自体は売春婦を遠回しに翻訳したものとして、事実は日本陸軍が強圧的に性奴隷(sex slavery)として作った女性と少女を意味すると指摘した。

更に、まだ生存している慰安婦は日本の謝罪と補償のための裁判を進行中であり、依然として「正義」を待っていると伝えた。

(中略)

ハーバード大学のカーター・エッカーティー国史教授は「経験的、歴史的、道徳的に悲惨な水準の欠陥がある」と非難した。彼はアンドリュー・ゴードン歴史学教授とともにラムザイヤー教授の主張に反論したジャーナルを準備していることを明らかにした。

コネチカット大学の歴史学科のアレクシス・ダードン教授も「出処が不明で学問的に馬鹿げた論文」と批判した。

(中略)

ノア・フェルドマン、ハーバード大学ロースクール教授は「ラムザイヤー教授の論文だけ見ても(日本軍と慰安婦女性の)経済的関係はわたしたちが普通に『奴隷制』と呼ぶ状況と非常に似ている」、「これはこの行為が、あるいは機関の間の巨大な力の不一致を活用するように設計された」と説明した。

学生たちは嘆願書を通じて怒りを示している。
ハーバード大ロースクール韓国人学生会(KAHLS)は4日、論文の不正確さを指摘し、「人権侵害・戦争犯罪の意図的な削除を強く糾弾する」と表明した。
ハーバード大学の韓国人留学生会(KISA)はラムザイヤー教授の謝罪を求める陳情書を大学に提出する計画だ。KISAは「ボストンの韓国総領事館も今回の事態を認知している」と明らかにした。総領事館は特に対応していない。

ラムザイヤー教授はこうした反発に「ロースクール学生の責務」として「論文と関連して彼らと喜んで対話する用意がある」と述べた。また「これ以上(慰安婦)関連する研究をする意思はない」と説明した。

ザ・クリムゾンは多くの学者がラムザイヤー教授の論文に問題を提起したのは事実だが、彼の論文は「学問の自由」によって保護されていると伝えた。

(後略)

ニューシス「"위안부=매춘부? 얼빠진 하버드 논문"..학자들 반박 이어진다(「慰安婦=売春婦?愚かなハーバード論文」..学者たちの反論が続く)より一部抜粋


太字にした箇所、これはこの論文を紹介したときに触れましたけれども、前借金とか契約期間とか遊郭制度を彷彿とさせる部分を指していると思われます。
やっぱり向こうの人にはピンとこないようですね...まあ、日本軍と慰安婦の経済的関係ではなく、慰安所経営者と慰安婦の関係なんですけど。これは記事が勝手に補足したと捉えておきましょう。


元記事のThe Harvard Crimsonはこちらから読めます。
記名を見てもらえれば分かりますが、記者の一人は韓国系と思われます。

まあ、それはともかく元記事で一番の見どころはコメント欄です。居るわ居るわ「慰安婦教の狂信者たち」。
少し読みましたけれど比喩じゃなく吐き気がしました。精神衛生上よろしくないのでオススメはできません。けれど、これも一つの現実です。
慰安婦の嘘を暴く」なんていうことは非常に虚しい行為です。
そもそも「強制連行」の指す範囲が違うし、韓国の主張に同調する人たちは「自分は人権を重んじる正しい人間」と信じて疑っていない人たちです。(逆に日本に対して差別的な先入観を持っていることに気づけていませんが...)

どういう「現実」なのか、一つだけ記事に付いているコメントを紹介しておきます。
本当に気分が悪くなるかもしれませんので、心配な方は読まずに飛ばしてください。責任は持てません。



いいですか?警告はしましたよ?

  1. このような女性たちが、人類に対するこの重大な人権侵害と犯罪を明るみに出すために行った草の根の努力と信じられないほどの勇気を軽視すること。
  2. 残虐行為全体を一般化して塗り替えること - 歴史修正主義。これは率直にいって、この問題をきっぱりと解決したいという日本人の願望であり、最も簡単なことだろう。日本の国立公文書館の資料や元帝国軍人とその指導者の証言が数多く存在し、日本帝国が以下のようなことを直接示唆しています。1.少女たち(12歳の少女)を勧誘するために欺瞞的な方法(例えば性奴隷ではなく工場での労働と偽って宣伝するなど)を用いたこと。2.軍隊を組織的に動員して大勢の少女・女性を戦場に移動させ売春宿を維持・運営するための支援を行ったこと。もしそうでなければ、なぜ日本政府は何度も和解交渉をしようとしたのだろうか?日本は先進国であり、自国の国益にかなうものでない限りそのようなことはしないだろう。 〜(中略)〜
    マークラムザイヤーの主張(契約)が有効であるためには、(ペナルティはあるものの)自由に契約を終了できるはずだ。そのような法的保護は彼女たちに適用されておらず、彼女らが契約を破ることに対する罰は死刑/処刑だった。


更にこの人は、連れて行かれた大勢の女性たちのほとんどは帰って来なかった(処刑されたから)、日本は書類を破棄するのがうまかった、などとも言っています。
日本政府は既に関与を認めている、とも。これは河野談話のことでしょう。
この人の論拠は「日本が破棄した(に違いない)書類」の上に成り立っており、且つこれが「普遍的な人権問題」という認識です。(公文書資料とか軍人の証言が何を指すのかは分かりません)

この人のコメントに反論している人も居ます。(名前から恐らく日本人あるいは日系人
ですが、最終的には面倒くさくなったのか諦めています。
「日本軍・政府が直接関与した証拠は何一つ見つかっていない」たったそれだけのことが全く通じないのが現実です。
それほど頑なに信じているのか、あるいは「人権」の名のもとには誰が主導したのかは些細な問題で、全ては時の権力側の過失として処理されるべき問題なのか、「植民地=搾取」の先入観で見ているのか、そこら辺は分かりません。

しかし、日本の今までの態度がこうした見方を許してしまったのも事実です。
日本政府は既に関与を認めている→河野談話、なぜ和解交渉をしようとするのか?→後ろ暗いからだろう...こう見られているという現実を、政府関係者はもっと知るべきだし、「慰安婦問題」で日本の主張を展開している人たちも知るべきです。
何より「慰安婦の嘘」を暴こうとすることが、業腹なことに逆に日本の首を締めることになっている、ということを知っておいたほうが良いでしょう。
「嘘」を暴きたいのならもっと大々的に徹底的に組織立った情報戦をやらないとダメです、きっと。