クアッド外相会議の話

バイデン政権発足後、初のクアッド外相会議が開催されました。
日本メディアによる報道はあっさりしたもんです。韓国メディアの関心の方がよっぽど高いですね。


ソウル経済の記事からです。

バイデン時代初のクアッド「中国の現状変更の試みに反対」に中「反中クラブ駄目」と反発


米国と日本・インド・豪州の4カ国協議体である「クアッド(Quad)」外相らがオンライン会議を開き、インド太平洋地域における中国の現状変更の試みに反対することで意見が一致した。これに対し中国は「反中クラブの中国封鎖推進」として強く反発した。

(中略)

19日、共同通信によるとトニー・ブリンケン米国務長官と日本の茂木敏充外相をはじめ、4ヵ国の外相は前日、オンライン会議を行った。4カ国のがクアッドで集まった2019年以来3回目の外相会議だ。茂木外相は会議後、記者団に「4ヵ国の長官は武力や強圧でインド太平洋の現状を変えようとする中国のいかなる試みにも強く反対するということに同意した」と伝えた。

また米国務省は報道資料を通じて「4カ国は長官級で少なくとも年に1回、高位級と実務者級で定期的にクアッド会議を開催するという取り決めを改めて強調した」と明らかにした。これは航行の自由と領土の保全を含め、自由で開かれたインド太平洋地域を増進する上で協力を強化するためと説明した。

また4ヵ国の長官はインド太平洋沿岸の東南アジア諸国連合ASEAN)加盟国が国際社会での役割強化を標榜した「ASEAN中心性」に関する相互支持を再確認した。4カ国の長官はミャンマーの軍部クーデターと関連し、民主的に選出された政府の復元に関する緊急性も話し合ったと国務省は明らかにした。

(中略)

クアッドの対中政策に中国は強く反発した。中国共産党機関紙、人民日報の姉妹紙グローバルタイムズは19日、論評で「バイデン政権がトランプ時代に続き、中国を封鎖しようと努力している」とし「クアッドは北大西洋条約機構NATO)のインド太平洋バージョン」と批判した。

中国国際問題研究院副院長はグローバルタイムズとのインタビューで「バイデン大統領がクアッドを完全な反中クラブにしようとしている」とし「米国はクアッドを亜州太平洋地域で米国の利益を拡大する外交手段にする」と主張した。

ただ、クアッド長官会議を開催して合同軍事演習までしたが、域内問題に声を一つにするために十分調整できるのか、クアッドを制度化出来るのか疑問だ。日本、インド、豪州いずれも中国と経済的に相当な関わりがあるうえ、インドの場合、中国を過度に刺激する自体を避けるため、クアッド外相会議で消極的な姿勢を示したという報道もある。

これは韓国の立場とも関連がある。既にトランプ政権時代からクアッド協議体を韓国など周辺同盟国を参加させた「クアッドプラス」に拡大しようという主張が出ていた。韓国政府はこれまでクアッドプラスへの参加を要請されたことはない、と距離を置く態度だった。

ソウル経済「바이든 시대 첫 쿼드 "중국의 현상변경 시도 반대"에 중"반중 클럽 안돼" 반발(バイデン時代初のクアッド「中国の現状変更の試みに反対」に中「反中クラブ駄目」と反発)」より一部抜粋


首脳会談については触れられていませんから今回は見合わせたのでしょうね。

記事中では消極的な態度だったインドに韓国自身を投影しているような書き方です。「一枚岩になれないのなら参加しなくても良い」、そんな理由付けを探しているように思えます。

けれど問題はそういうことではなく、国際社会において「声をあげない」ということは相手の言動を「是認」することと同じです。無視やスルーではありません。「認める」ということで、これには大きな意味があります。
インドだけでなくオーストラリアだって日本だって米国だって、中国と正面切って徹底的にやり合おうなんて考えていません。
ただ中国の現状の行いを「認めてはいない」という意思表明の一つが「クアッド」です。インドが参加しているのも中国と実際に国境問題で揉めているからです。