韓日関係改善に向けて「韓国政府が努力するなら日本政府は応じるのが正しい」という話

日韓関係について改善の必要性を説く論調の記事がここの所多くてお腹いっぱいです。
日本メディアでも無くはないですが、圧倒的に韓国メディアからこの手の話は報じられています。そのほぼ全てが「お互いが努力すべきだ」みたいな内容です。そもそもの原因が韓国の国際法違反状態にあることを問題視するものはありません。

そしてまた、「韓国が努力するなら日本はこれに応えるのが正しい」とするコラムが出てきました。このコラムの斜め上な点は、原因が「慰安婦合意破棄」や「徴用訴訟における日本企業への賠償命令」であると認識した上でこんな結論に着地できるところです。

 

 

ソウル新聞の記事からです。

[社説]強制徴用慰安婦外交的解決策、日本政府も回答すべきだ


文在寅大統領が岸田文雄日本総理就任後12日が過ぎた15日午後、35分間電話会談を行った。岸田総理が米国、英国、中国、インド、オーストラリア、ロシアなどの首脳と電話会談を終えた後だった。慣例を考慮すれば、意図的に韓国首脳との通話を遅らせたという否定的な評価が出るのも当然だった。文大統領は強制徴用問題、慰安婦問題などについて「両国間外交的解決策を模索するのが望ましく、外交当局間協議と疎通を加速化しよう」と事実上首脳会談も含めた。

岸田首相も「韓日両国を未来志向的な関係に発展させようという文大統領の立場に共感する」としながらも、この発言を自国メディアの定例会見に含めなかった。 また対面首脳会談についても「何も決まっていない」と線を引いた。2015年の「韓日慰安婦合意」当時、日本の外相として交渉代表を務めた岸田首相としては、韓日間にさらなる外交的解決策を模索するために議論すること自体が気乗りのしないことかもしれない。

しかし、この2年間、韓日貿易葛藤が全く糸口を見出せないまま、両国関係が膠着状態に陥っているのは、両国いずれにも決して望ましいことではない。特に2018年、最高裁判所が強制徴用被害者損害賠償勝訴判決後も、日本企業などは賠償責任がないと判決内容の履行を遅滞してきた。しかし先月、大田地裁で日本の三菱重工業の韓国内資産売却判決まで下され、格別の努力が伴わない限り、韓日関係がさらに悪化することは火を見るよりも明らかだ。

韓日関係は慰安婦交渉の破棄と2018年の過去史関連最高裁判所の判決で膠着し、経済問題に広がるなど悪化の一途をたどった。しかし南シナ海での外交安保状況が急変する中、韓日関係が現在のように冷え込んでいるなら大きな問題に違いない。韓国政府が努力するなら日本政府もこれに応じる姿勢を取るのが正しい。


ソウル新聞「[사설] 강제징용 위안부 외교적 해법, 일본 정부도 응답해야([社説]強制徴用慰安婦外交的解決策、日本政府も回答すべきだ)」より

もうどこからツッコんでいいやら...。

とりあえず、「慰安婦合意の破棄」と「最高裁判決」が日韓関係悪化の原因であると分かっていながらそれを放置したままで「さらなる外交的解決策の模索するための議論」の必要性を論じ、さらには「韓国政府が努力するなら」と「慰安婦合意の破棄」及び「最高裁判決」を放置している主犯の韓国政府があたかも努力していると言わんばかりな言い分は受け入れられません。

つまり全部受け入れられないわけですが、韓国は努力していないので日本が答える義理は無い、と言ったほうがシンプルで良いでしょうか。