韓国保守の考える真の克日の話

イ・スンマン氏、パク・チョンヒ氏が大好きみたいなので保守論客と定義できる人ですが、なんだかちょっと...幻想の中に生きている...というと失礼ですね、うん、私とは見ている世界、生きている現実が違う人のコラムを紹介します。ペン・アンド・マイクに寄稿している人なのですけれど、毎度毎度ズレが気持ち悪くてスルーしていました。

前提として、この著者の頭の中では「国家建設に日本を利用する」ことが「克日」となっています。(日本ではこれを「用日」と呼びます)
相手を「利用」することが賢い(頭の良い)やり方と考える韓国らしいかもしれません。
また、日韓の葛藤は「日本の優越感、韓国の劣等感」が原因との視点です。優越感を持っていた日本が韓国の追い上げに「たじろいでいる」という幻想前提の元、日韓関係や両国の国力、韓国の「克日」などを見ています。 あとは「日本はドイツを見習え」です。
その上で1965年の日韓請求権協定は尊重されるべき立場で、そこは(保守らしく?)現実的です。

 



ペン・アンド・マイクの記事からです。

[キム・ソクコラム]克日の完成


3月9日、ユン・ソクヨルの大統領当選はこう着状態に陥った韓日関係も正常化する転機となった。1965年の国交正常化後、両国関係が「今が最悪」と騒いでいるが、その責任はムン・ジェイン大統領と安倍元首相にあると見ることができる。国内政治に利用するために反日嫌韓を煽ったからだ。特に、ムン・ジェイン親日·反日フレームを選挙に利用しようという意図が不純だった。一般国民の相互認識が最悪だったわけではない。

ユン次期大統領の対外政策は、米中覇権競争と新冷戦体制環境で自由民主主義と市場経済原則を追求する。解決策は韓日米協力の強化だすでにバイデン大統領と岸田総理との通話で交感を始めている。植民統治を経た韓日両国の間にわだかまりがないわけではないが、未来志向的な関係を構築する段階に至った。

建国したイ·スンマン大統領は時代をリードした。国際政治の大家であり、外交の天才だった。韓米同盟をはっきりと引き出し、金日成集団の南侵を退けた。

イ·スンマンは「反共」とともに「反日」を主要政策として掲げ、若い世代への反日教育を強化した。なぜだったのか?新生大韓民国アイデンティティが曖昧だったからだ。日本が内鮮一体という口実でハングル使用を禁止し、創氏改名を強制しながら文化抹殺を試みた結果だった。解放された後も日本語が日常生活に蔓延し、専門分野では日本語がなければ難しいほどだった。もし、イ・スンマン政権の反日教育がなかったら、国際社会が韓国を韓国ではなく、第2の日本だと思っていただろう。それで日本の色を早く取り出そうとしたのだ。

1961年、政権を掌握したパク·チョンヒ政府は、苦境に陥った民生を解決しなければならなかった。当時、韓国の国家予算の半分を米国の援助でまかなった。減る米国の援助に代わる財源は日本の資金だった。韓日国交正常化を通じて得た無償3億ドル、有償2億ドルの日本経済協力資金を経済建設の元ネタにした。日本の技術も同時に持ち込んだ。第2次世界大戦後、東南アジアのフィリピン、インドネシアのような国々が、韓国より多くの賠償金を受け取ったにもかかわらず、工場一つ建てられなかった結果と比較すれば、パク·チョンヒ政府は資源配分と発展戦略を非常に効率的に推進した。それで韓国経済を成功させた。

韓国戦争の動乱に米国の参戦がなかったら、日本の影響力が圧倒的にならざるを得なかった。植民統治の跡を消すのに2倍以上時間がかかると言われている。さらに、解放後の国家建設に日本に依存せざるを得なかった。韓国のエリートは日本教育を受けたので、近い日本で先例を求めるのが楽だった。

(中略)

植民地支配からの解放後の韓日関係を大きくまとめると、アイデンティティを回復するための反日政策だが、国家建設に日本を利用する克日の努力も並行して行った。韓国の近代化に日本が蓄積した経験と資産を活用したのだ。ついにサムスンのように日本を追い上げていた企業が今日では日本を凌駕するようになった。鉄鋼、造船、化学、機械、IT産業など全分野で日本とは協力と競争することになった。重工業の基盤が弱かった韓国としては、日本を通じて産業を興すのがまさに克日の過程だった。 その後、日本の限界を超えて欧米の最先端技術と文化に直接結び付けることにより、克日過程はさらに加速した。

しかし、その裏では植民地時代の歴史に由来する両国間の葛藤、日本人の優越感、韓国人の劣等感などが生じる感情的なしこりがたびたび爆発した。

(中略)

韓国は、日本が歴史を過度に美化しようとする試みに目をつぶらなかった。日本の歴史歪曲妄言、日本軍慰安婦問題、靖国神社参拝問題、在日韓国人差別に対する抗議とともに日本の反省を促した。人類の普遍的価値である人権侵害に対する抗議でもあった。大柄の日本が「小さな韓国」の追及にたじろぐ格好になった。日本経済が世界一だと皆が日本を驚異的に眺める時、韓国だけは平気で大口をたたいた。韓国の主張に国際社会も納得し、日本も受身になった。経済大国日本が政治大国に跳躍するためには、周辺国との円満な関係維持も必要だ。特に、韓国との関係が円満でなければ、大国の役割を果たすには弱みになる。

もしという仮定をしてみる. 日本の政治家が戦後西ドイツのように植民統治と第2次世界大戦の責任を率直に認めて周辺国との関係改善を積極的に推進していたら、果たしてどんな結果になっただろうか。おそらく韓国は反日感情をあまり引き出すことは難しかっただろう。日本は1995年の国連憲章改正時に安全保障理事会常任理事国になっていたかもしれない。しかし、歴史を過度に美化しようとする日本の偏狭さに反発した周辺国が日本の政治的浮上に反対した。 韓国がその中心にあった。

反日と克日の過程で、韓国は国際社会の共感を重視した。時には金大中拉致のようなことで両国関係を悪化させたが、韓国が発展する過程で普遍性のある主張をした。普遍的価値に日本も頷かざるを得なかった。

(中略)

韓国の経済水準はもう日本に迫るようになった。原則や道理に合わない無理な主張は、韓国も避けた方がいい。ダダをこねるのは自ら控えるべきだ。2018年10月30日の強制徴用に対する最高裁判所の判決で、日本企業の資産を差し押さえたことで生じた両国間の葛藤は1965年の日韓請求権協定第2条第3項の精神によって積極的に解決しなければならない。両国および両国国民間の請求権など権利問題がすべて解決されたという原則を尊重するものである。

(中略)

また反日親日フレームを作って政権的次元で国内政治に利用することも避けなければならない。真の克日の完成だ。自由民主主義陣営の先頭に立った大韓民国が、自由と平和と繁栄のために踏み出す未来志向的な大きな一歩だ。



ペン・アンド・マイク「[김석우 칼럼] 극일(克日)의 완성([キム・ソクコラム]克日の完成)」より一部抜粋

冒頭いきなり「転機となった」と言い切っていますけれど、現実はまだ何も変わっていませんよね?こういうのを「(モチを期待して)キムチの汁から先に飲む」って言うんですよ。
「大統領が変わったからこれで解決。ここでリセット」の考え方には右も左も無いんですねぇ。

 

この人の言う「外交の天才」であるイ・スンマン氏が進めた「反日教育」が今の日韓関係の軋轢を産んでいます。
というか、このコラムの著者自身もその「反日教育」を受けた世代でありましょう。日本による「ハングル禁止」「創始改名」「文化抹殺」なんて典型的な反日教育です。

長々と書かれていますけれど、なんだか韓国の反日教育を「仕方がなかったもの」として正当化しているように読めてしまいました。一方で、現在の日韓関係の原因はそこではなく日韓両政府の「お互い様」にしようとしている、そんな気がします。

仮に日本が(著者の頭の中の)ドイツのように振る舞ったとして、韓国が納得したとは私には思えません。確かに反日では無かったかもしれませんが、日本を韓国の下として従える「従日」になったことでしょう。