慰安婦訴訟原告による韓国内日本政府資産開示要求が却下された話

世の中(?)がニューヨーク国連総会での日韓首脳懇談やユンさんの「XX発言」で盛り上がっていた裏でひっそりと、慰安婦訴訟原告による日本政府の韓国内資産開示請求が却下されていました。
こうなると原告側は自分たちで役所や金融機関に問い合わせて韓国内の日本政府資産を探さなければいけません。
原告側は即時抗告するとしています。

 



ソウル新聞の記事からです。

慰安婦賠償金差し押さえ回避した日本...「翻訳間違っている」と難癖


慰安婦被害者が起こしている損害賠償訴訟で敗訴した日本政府が「翻訳が間違っている」という理由で財産差し押さえのための書類受領を拒否した。

23日、法曹界によると日本法務省はソウル中央地裁民事51単独のナム・ソンウ判事が韓国にある差し押さえ可能な日本国の財産を確認するため、昨年9月に送った財産明示命令文と出席要求書などの関連書類を受け取っていない。

裁判所によると、書類が法務省法務大臣に渡された。しかし法務大臣は受理を拒否し「送達文書の一部に対する日本語翻訳が不足している」という理由を挙げた。

(中略)

裁判所は翻訳を修正し5月に再度書類を送った。しかし今度は「書類送達が日本の主権または安保を侵害する」という理由を挙げて送達を再度拒否した。

裁判所は「債務者に書類を送達したが継続返送され公示送達の方法によらなければ他に送達する方法がない」として15日、財産明示事件を却下した。ただし「この場合、債権者は民事執行法第74条により財産紹介制度を利用できる」と付け加えた。

被害者、遺族側は決定に対する即時抗告を検討している。

(中略)

民事執行法上、財産明示手続きは公示送達で進行できないため相手方に書類を送達することが不可能な場合、通常却下処分される。この場合、債権者は公共機関、金融機関などを通じて債務者が国内に保有した財産を紹介する「財産照会」を申請することができる。



ソウル新聞「위안부 배상금 압류 회피한 일본…“번역 잘못됐다” 트집(慰安婦賠償金差し押さえ回避した日本...「翻訳間違っている」と難癖)」より一部抜粋

間違っていたのは原告の住所だそうです。
題の「難癖」と訳した部分は原文「트집」。「いちゃんもん」とか「ケチをつける」とかいう意味です。
翻訳間違っていたのは相手側のミスなのに、それを指摘すると「いちゃもん」とは...そういうの日本では「逆ギレ」っていいますよね。韓国の裁判所がそれで引っ込めたのならその指摘はもっともだったんでしょうに。
ところで、たった一か所(住所)の翻訳修正に半年掛かっているのもどうなんでしょう?これが普通なんでしょうか?

あと、この記事の構成ちょっと変です。おそらくタイトルの日本の「難癖」を強調したかったんだろうと思うんですけど、翻訳が間違っていると受け取り拒否したのは一度目で、それを修正して二度目がすでに送られています。その二度目は主権侵害での拒否です。
裁判所が原告側の開示要求を却下したのは二度目の受け取り拒否時です。瑕疵の無い書類なのに拒否されたからです。
であれば記事が注目すべきは二度目の拒否のはず。なのに、わざわざ一度目を取沙汰して「難癖」とはねぇ...。


それと裁判所は「公示送達の方法によらなければ他に送達する方法がない」としているのに、記事末のセクションで「民事執行法上、財産明示手続きは公示送達で進行できないため、相手方に書類を送達することが不可能な場合」という意味不明な文章が出てきます。出来るだけ原文に忠実になるよう訳したつもりでしたが、やっぱり意味不明感が強いので補足します。
ここの意味は正確には「民事執行法上、財産明示手続きは公示送達で進行できない場合、相手方に書類を送達することが出来ないので」です。「~ので」と「場合」が逆になります。