米メディア「中国が台湾進攻したらどうします?」、ユン大統領「北朝鮮に対応します」という話

はじめに、本日は安倍晋三元総理の国葬が執り行われました。
改めて哀悼の意を示します。
安部さんに対する評価は賛否様々かとは思います。しかし私にとっては、特に第二次安部内閣以降、意見の相違を超えてとにかく自分で見て考える、自覚することの大切さに気付かせてくれた唯一の政治家です。
ありがとうございました。



さて、以下通常運転です。
ユンさんが米CNNとのインタビューで、中国による台湾侵攻の際、米軍が動くとすれば韓国は米軍と協調するか?という記者からの質問に対して、そのときは北朝鮮も軍事的挑発に動くだろうから北朝鮮に対応するつもりであると答えました。
記者の質問へのはっきりとした回答は避けつつも、韓国にとって最優先は北朝鮮である、という点を強調したわけです。つまり米韓同盟はあくまで対北のためのものであって、中国を念頭に置いたものではない、というアピールでもあります。

 



VOAの記事からです。

ユン・ソンニョル大統領「中国の台湾侵攻時、北韓も挑発する...北韓対応が最優先」


(中略)

ユン大統領は25日に放送された米CNN放送とのインタビューで「米国が中国の台湾侵攻状況に軍事力を投入するならば韓国も支援に乗り出すか」という質問に対し「もし中国が台湾を攻撃するならば、北韓もやはり韓国に向かって挑発する可能性が非常に高い」と述べました。

それと共に「大韓民国には強力な韓米同盟を土台に北韓の挑発に対応することが最優先課題になるのではないかと考える」と付け加えた。

「米国が台湾より韓国に対する義務を先に履行しなければならないという意味か」という追加の質問には「韓半島の平和と安定、台湾海峡の自由な航行保障の中でどれが優先なのかを選ぶのは、私が米国の当局者ではないためかもしれないが、恐らく容易ではないだろう」とし「二つとも米国が守らなければならない何らかの価値ではないかと考える」と述べました。

ユン大統領は「台湾問題と連結してはっきりと言うが、中国問題に対して私たちの立場は曖昧ではなく明確だと述べた」とし「台湾問題とまた対中政策、このような部分についてはいつ誰からどのような状況で私が質問を受けてもその答えは変わらず一貫すると言える」と明らかにした。

ただ、台湾紛争の際に韓国がどのような役割を果たすかについては具体的に答えませんでした。

(中略)

ユン大統領は全世界がウクライナ台湾海峡のような問題に関心を持っているが「大韓民国の立場では北韓の核脅威が最も深刻なものと言える」とし、米韓同盟の重要性を繰り返し強調しました。

(中略)

ユン大統領は「人々が(自身に)なぜ韓米同盟を重視するのかと、このような話をする」とし「科学技術者に聞くと『米国の科学技術が最先端であるため米国と手を組むのが私たちにとって最も有利だ』と話す」と述べた。
また「軍人になぜ韓米同盟が必要かと尋ねると『米国の軍事力が他国と比較できないほど世界最強なので米国と手を組まなければならない』と話す」とし「米国のこのような社会的、法的なシステムを韓国が受け入れ出来るだけ近付けていくことが大韓民国のすべての潜在的力量を育てるのに最も役立ち、韓国の国益に最も役立つため私は米国との同盟が重要だと考える」と明らかにしました。

ユン大統領は「そのような次元で、私は法律家だが、韓国政治と政治インフラの根底にそのような価値志向的な、そして法治と自由、市場経済、民主主義に対する信頼のようなものがあまりにも墜落したため、それを正すべきだという気持ちで大統領選挙に飛び込むことになった」と付け加えた。



VOA「윤석열 한국 대통령 "중국의 타이완 침공시 북한도 도발할 것...북한 대응이 최우선"(ユン・ソンニョル大統領「中国の台湾侵攻時、北韓も挑発する...北韓対応が最優先」)」より一部抜粋

上記の記事はVOA(韓国語)からの引用ですが、これはCNNの英語記事をソースに翻訳しています。そのため英→韓の翻訳で少し分かりにくくなっています。
そこで、同じくCNN(英語)をソースに韓国語に訳したJTBCからユンさんの発言部分だけを抜き出します。こっちは分かりやすく訳されています。(が、ユンさんの元の発言のニュアンスまで伝わっているかは別)

「もし中国が台湾を攻撃すれば北韓も挑発する可能性が非常に高いため、大韓民国では強力な韓米同盟を元に北韓の挑発に対応することが最優先の課題になるのではないかと思います」
「私が米国の優先順位に答えるのは適切ではありません。韓半島と台湾の両方が米国にとって重要です。どちらも米国と同盟国とパートナー国によって守られます。両方とも非常に重要な問題です」

台湾か北朝鮮か、どちらかを取れと言っているわけではありません。
もし、中国による台湾侵攻が現実となったら、米軍を支援するか(同調して動くか)?と聞いているだけです。
そのときに北朝鮮が中国と連携して韓国および在韓米軍を脅かすような動きをするのであれば北を韓国が引き受けることは十分支援になるはずです。だからそのまま「はい」と答えれば良いのですがユンさんはそう答えません。というか、答えられません。

それは記者の質問が「中国による台湾侵攻時」だからです。ここではっきり米軍支援に動くと答えてしまえば戦略的あいまい性が破綻してしまいます。
中国問題に対して立場は明らかとか、対中政策に対して一貫している、とか言っていますが具体的には何一つ話していません。有事の際に米軍支援に動かないのなら「安保は米国」で一貫しているとも言い難いのではないでしょうか。
結局のところ「安保は米国、経済は中国」の「戦略的曖昧」は両者がけん制しあっている間はある程度機能しても、本格的にぶつかる段階になると機能しなくなるので、その前にさっさと身の振り方を決めてしまわないといけないんですよね。


「なぜ韓米同盟が必要か?」の下りはちょっと呆れました。国益を優先することが悪いとは言いません。でもコレ、「米国」を「中国」に置き換えても成立する日がきたらどうするんでしょう?中国の社会的、法的システムに出来るだけ近付けていくんでしょうか?
米国との関係を最も重視する理由に「韓国の役に立つ」という極めて自分本位な理由だけを臆面もなく米国記者に語れる神経は図太いを通り越して鈍いだけかもしれません。



以下のコメントはJTBC記事に付けられたものです。現時点で658件。反応は「良い情報:5 興味深い:2 非常に共感:38 良い分析:0 続報期待:30」です。コメントは共感順に並び替え不可となっています。

「大統領さま、どうか今の課題をすっきり解いてください~。今の課題は大害が最優先課題」(共感7 非共感0)

「何が最優先課題?いくら騒いでも解決できないのが南北関係あることを日々、不安感を造成して政治に利用する行動が本当に情けない」(共感6 非共感0)

「国民にとっては、あなたのどこに飛ぶか分からない無知さと無礼さが北韓の核脅威よりも深刻だ~!!どうかどうかどうか、しっかり実現してくれることを願います。一国の大統領レベル(人格、気質、知識、常識、基本...など)がこんなにも無いのに誰があなたを信じることが出来るだろうか...???それまでの偽りと脅威で生きてきた人生を隠すことが出来ず、より確かに世の中に見せている今のあなたの姿は北韓の核よりももっと国民に驚異的で大失望そのものであることを分かってください~!!どうかどうかどうか」(共感6 非共感1)

「バイデンが犬豚扱いをする理由があれだ。懸案を質問すれば雰囲気を把握できず、見当違いのことを言う」(共感4 非共感0)

「先制弾劾が最優先事項」(共感3 非共感0)

「台湾問題より北韓核脅威が、北韓核脅威より断崖が優先」(共感3 非共感0)