先月24日に、(自称)徴用被害者がソウル中央裁判所に提出した、日立造船の差し押さえ取り立て命令申請書の内容が認められました。
これにより、2019年1月にソウル高裁で出た判決(賠償命令)の賠償金強制執行停止を求めて日立造船が収めた供託金(6千万ウォン)の担保が取り消され、(自称)被害者の手に渡ることになります。
実際には日立造船宛てにその旨が通達されてから手続きが開始されます。恐らくは公示通達になるでしょうから、早くても2~3ヵ月掛かるものと思われます。
聯合ニュースの記事からです。
裁判所、日本企業の「供託金担保取り消し」を決定
(前略)
8日、法曹界によるとソウル高裁は6日、日立造船被害者のイ某氏側が要請した担保取り消しを決めた。
昨年12月、イ氏側は最高裁で5千万ウォンと延滞利子の賠償確定判決を受けた。
日立造船はこれに先立ちソウル高裁が同じ趣旨の宣告をした2019年1月に賠償金強制執行停止を請求し、その担保として6千万ウォンを裁判所に供託した。これは日本の強制動員企業が韓国の裁判所に金を支払った唯一の事例だという。
イ氏側は子の供託金を賠償金として受け取るための手続きを進め、先月23日にソウル中央地裁から差し押さえ取り立てを認められたのに続き、「担保」を決めたソウル高裁の取り消し決定まで受けた。
以後、担保取り消し決定文が日立造船に送達されればイ氏側は裁判所にある金を受け取ることができる。
(中略)
イ氏側の代理人である法律事務所ヘアリムのイ・ミン弁護士は「現在、全体手続きの半分以上が進行されたと見られる」とし「供託金から返済される金額を除く残りは、日帝強制動員被害者支援財団が提案する案を肯定的に検討する予定」と話した。
聯合ニュース「법원, 강제동원 日기업 '공탁금 담보 취소' 결정(裁判所、日本企業の「供託金担保取り消し」を決定)」より一部抜粋
弁護士が言っているのは「まずは供託金から受け取って足りない分は財団から受け取る」という意味です。何とも都合の良い言い分です。
なら最初から財団から受け取ればいいものを、そうしないのは「第三者返済案」を形骸化することが目的だからかもしれません。
現時点で、韓国政府側はこの件について特に何か言っているような節は見られません。選挙が近いのでそれどころではないのでしょう。
しかし、これで「慰安婦合意」だけでなく「徴用訴訟解決案」まで反故にされたことになりますね。どちらも岸田さんの失点と言われても仕方ないように思います。