自営業者の延滞率も高まってきています。
韓国は5人に1人が自営業者と言われるくらい多いです。50代で定年を迎え、その後自営業に転向するケースが多いです。
もちろん、そんなに甘いものではありません。統計庁が発表した2021年の月平均所得は196万ウォン...単純に100円を1000ウォンとすると、19万6千円です。韓国の最低賃金は182万ウォン(18万2千円)です。
さらに、起業するにあたり金融機関から借入を行っている場合がほとんどです。
少し古いデータですが、コロナ前の2018年時点で自営業者の負債は所得より早い速度で増えていました。可処分所得比元利金償還額比率...つまり、諸経費を引いた純所得からどのくらい借金返済に充てているかの比率ですが、これが34.8%となっていました。一般サラリーマンは22.0%です。いかに韓国自営業者が経済的「弱者」か分かるでしょう。今は物価高騰で諸経費が嵩み、より厳しい状況になっているものと思われます。それが表れているのが「延滞率」の上昇です。
また、第2金融圏...いわゆる「ノンバンク」からの貸出がコロナ禍の3年間で2.3倍に跳ね上がっていることが分かりました。しかも自営業者の中でも特に「低所得層」が集中しているとのこと。
先日、ノンバンクの代表格である貯蓄銀行の不良債権処理が検討され始めている話をお伝えしましたが、まさに「自営業者の低所得層」が切り捨てターゲットとなるでしょう。
SBSビズの記事からです。
自営業者の延滞率が3年以内で最高...貸出残高が1千兆ウォンを超える
(前略)
今日(8日)、韓国銀行が国会企画財政委員会所属のヤン・ギョンスク議員(共に民主党)に提出した「自営業者所得水準別貸出残高・延滞率現況」資料によれば、昨年第4四半期末基準で全体自営業者の全金融機関貸出残高は1119兆8千億ウォンで史上最大水準です。
第3四半期(1114兆2千億ウォン)に続き、2四半期連続で1千兆ウォンを超えただけでなく、コロナ19の大流行直前の2019年第4四半期(684兆9千億ウォン)と比べると48.9%も急増しました。
延滞率(1ヵ月以上の元利金延滞基準)も引き続き上昇傾向にあります。昨年の第3四半期の0.19%から第4四半期には0.26%へと3ヵ月で0.07ポイント上昇しました。
(中略)
自営業貸出者の延滞率を所得別に分けてみますと、低所得層(所得下位30%)は、昨年第3四半期の0.7%から第4四半期に1.2%へと0.5ポイント高くなり、コロナ事態前の2019年第4四半期(1.3%)以来、3年ぶりに最高値を記録しました。
(中略)
コロナ事態以後、貸出増加幅が最も大きい階層も低所得自営業者でした。
低所得層の全金融機関貸出残額は2019年の第4四半期に70兆8千億ウォンから2022年の第4四半期に119兆9千億ウォンと69.4%も増加しました。
同期間、中所得層は112兆9千億ウォンから186兆ウォンへと64.7%増え、高所得層は501兆2千億ウォンから713兆9千億ウォンへと42.4%増加しました。
特に低所得自営業者の場合、非銀行圏第2金融圏の貸出が大幅に増えました。
2019年の第4四半期から2022年の第4四半期、3年間の低所得自営業者の銀行貸出は45.8%(49兆3千億ウォン→71兆9千億ウォン)増えたのに比べ、相互金融貸出は2.3倍(16兆1千億ウォン→37兆1千億ウォン)に跳ね上がりました。
(中略)
貸付業を含むその他の金融機関の低所得自営業者向け融資額は、同期間に1兆2千億ウォンから2.92倍の3兆5千億ウォンまで高騰しました。
問題は3年以上、元金と利子償還を先送りしたにも関わらず、低所得層を中心に自営業者の延滞率が急速に高くなるという点です。
金融界は2020年初め、コロナ19大流行が始まるや否や、政府方針に従って中小企業と小商工人の貸出元金満期を延長し、利子償還も猶予しました。支援は当初、2020年9月に期限を定めて始まりましたが、以後コロナ19の余波が長くなると支援終了時期が5回も延長されました。
市中銀行関係者は「概して金融支援を受けた自営業者の延滞率が一般自営業者より高い」とし「このような事実などを反映して最近、集中管理が必要な脆弱部門(貸出不良の可能性が大きい業種・階層など)を新しく選定した」と明らかにしました。
SBSビズ「자영업자 연체율 3년 내 최고…대출 잔액 1천조 넘어(自営業者の延滞率が3年以内で最高...貸出残高が1千兆ウォンを超える)」より一部抜粋
リタイアがゴールではなく、マイナスからのスタートになるんですから、そりゃ不動産投資で一発当てようという気にもなりますよねぇ...。
自営業者の負債は度々問題として取り上げられますが(取り上げられるだけです)、2018年に中央日報が自営業者1人当たりの平均債務が1億ウォンを突破した、と報じていました。その際、「金利が上がれば48万人が信用不良に陥る」とも。当時の自営業者の借主が約160万人と集計されていましたから4人に1人が信用不良に陥る計算になります。
幸か不幸か、この後コロナ禍になり、満期・利子償還が延長されたことでこうした信用不良者予備軍の自営業者たちが大量に「延命」されてしまったわけです。家計負債といい、ゾンビ企業といい、本当に「爆弾」を抱え込むのが好きですねぇ。