日韓の外国人観光客数逆転の理由「ノービザ拡大」「インフラ活用」...「日本が非常にうまくやった」という話

日本と韓国の訪問外国人観光客数は、ほんの10年ほど前まで韓国1200万人、日本1000万人前後で、韓国が日本より数百万人多い状況でした。
しかし、2012年に発足した第二次安倍内閣が「観光立国」政策を推し進めると状況が逆転します。コロナ直前の2019年には訪日外国人観光客は年間3000万人を突破。一方、訪韓外国人観光客は1700万人です。日本の3倍増に対して韓国は1.4倍増です。
この差は何が生んだのか、という分析記事の紹介ですが先にオチを書いておくと、この記事は日韓の差を「インフラの違い」としか見ていません。「韓国が下手を打ったのではなく、日本が上手くやった...そして日本には国内旅行向けに整備されたインフラが元々あった。ノービザ拡大でそれが外国人観光客向けに転用された。魅力自体は両国に差はない」みたいな内容です。
個人的はそれだけとも思えないのですが、コメント欄を見てインフラの違いだけでも相当あるらしいということが伺えたので紹介します。

 



韓国経済の記事からです。

日「一体なぜ韓国に行くのか」...「観光韓日戦」逆転させた一手[チョン・ヨンヒョのインサイド・ジャパン]


(前略)

2013年に韓国を訪れた外国人観光客は1218万人で、1036万人の日本より多かった。その後、外国人観光客の逆転傾向を見れば、韓国が出来なかったというより、日本が非常によくやった結果であることが分かる。

日本に何があったのだろうか。興味深いことに2012年には同じ悩みを日本が持っていた。菅義偉元総理が最近マスコミとのインタビューで告白した事実だ。彼は「官房長官だった2012年、日本の外国人観光客数は840万人である反面、韓国は1000万人を超えた。日本は歴史、伝統、文化がこれほど豊かなのになぜ隣国に巻けているのか」

(中略)

1990年代後半まで日本の観光政策は内国人の海外旅行管理に重点を置いた。

(中略)

外国人観光客を積極的に誘致する方向に日本が政策を転換したのは2012年末に執権した安倍晋三元総理が自身の国政運営方向を初めて提示する施政方針演説で「観光立国」という表現を使ってからだ。

可能立国を具体化した政策が90日ビザなし入国を認める国を大幅拡大したことだ。2013年、菅元総理が官房長官として主導した政策だ。菅元総理は最近のインタビューでビザなし入国拡大というアイデアを提供した人物がデビッド・アトキンソンだと述べた。投資銀行ゴールドマンサックスのアナリスト出身で菅元総理の経済ブレーンと呼ばれる人物だ。

デビッド・アトキンソンは著書「新観光立国論」で日本の田舎が気候、自然、文化、食事の4大魅力をすべて備えており、全国の津々浦々まで外国人観光客をひきつけることが出来ると自信を示した。彼は日本にただ一つ足りないのがノービザ入国だと主張した。

(中略)

ノービザ拡大のおかげで2012年に836万人だった外国人観光客は一気に韓国に追いついた。観光予算を100億円から680億円に増やす間、外国人観光客が使ったお金は1兆円から4兆8000億円に増えた。580億円を使って3兆8000億円を稼いだ。

政策を変えると日本の観光産業は外国人を呼び込むのに最適な環境を持っていた。まさにインフラだ。これまで社員旅行と年金生活者を迎えるために各地の山の綺麗で水の良いところに建てられたゴルフ場と大型温泉旅館、これを快適に利用できるように敷かれた地方空港と鉄道、道路がそのまま外国人観光客用に変身した。

(中略)

このようなインフラのお陰で2019年、日本の47都道府県の中で外国人観光客を10万人以上誘致した地域が42ヵ所に達した。100万人以上誘致した地域は13ヵ所、1000万人以上を誘致した地域も東京と大阪、千葉の3ヵ所だった。

一方、韓国を訪れた外国人観光客の訪問地を見ると、ソウル(76.4%)と京畿道(14.9%)など、首都圏がほぼ全てだと言っても過言ではない。全羅南道と世宗特別自治氏は1%を下回る。「印象深い訪問地」もまた、7位のチェジュと8位の海雲台、10位の龍頭山、チャガルチ市場を除けは残りの7ヵ所が全てソウルだった。

韓国の田舎の魅力は日本に劣らないが、インフラの違いから出る結果だという分析だ。韓国も国家レベルで観光産業を支援し、観光政策も効率的に推進しているという評価を受けている。

(後略)



韓国経済「日 "도대체 왜 한국에 지나"…'관광 한일전' 역전시킨 한 수 [정영효의 인사이드 재팬](日「一体なぜ韓国に行くのか」...「観光韓日戦」逆転させた一手[チョン・ヨンヒョのインサイド・ジャパン])」より一部抜粋

いつから観光が日韓戦になったのか知りませんが、日本の成功が記事の指摘通り「ノービザ入国拡大」にあるのだとしたら、初めから日本と韓国は勝負にならないと思います。
なぜなら、日本にはデビッド・アトキンソンさん曰くの「気候、自然、文化、食事の4大魅力をすべて備えた」田舎が全国各地にあることが前提だからです。つまり元から観光資源は十分だったわけです。
そこに日本人の国内旅行向けに発達した交通インフラがあります。もちろん、これでは十分ではありませんので外国人向けの周遊パスや外国語の案内を充実させる必要はあったでしょうけれど、一から作る必要はありません。

韓国にこういうリソースは果たしてあるんでしょうか?
記事は「韓国の田舎の魅力は日本に劣らないが、インフラの違いから出る結果」と、原因は「インフラだけ」のように言いますが、私の知る限り韓国人自身が国内旅行をあまりしません。これは単にインフラだけの問題なんでしょうか?


記事へのコメントは10件。ポータルサイトではなく韓国経済の記事ページに付いたコメントです。一部長文は勝手に改行を挿入しています。

「ソウル駅と東京駅を比較してみろ。慶州と京都を比較してみろ。チェジュと沖縄、北海道を比較してみろ。外国人の立場ではどちらへ行くか」

「日本を低く言う人は日本を良く知らない人が安易に言うことだ。日本はそんな簡単に語れる国ではない」

「私たちの国はダメだ。ほとんどボッタクリの工夫ばかりしているのに誰が来る?」

「一応、日本は放射能を気にして行かなければならない」

「地方のサービスを見ると他の国みたい。ボッタクリだけが問題じゃない」

「1.我が国は絶対に技術と礼儀で日本に勝つことは出来ない。
そう、造船、洗濯機、TV、半導体が1位だと言うが、日本はもっと多いく、この製品を作る装備は日本が1位だ。
2.チェジュ島の海辺。ボッタクリがひど過ぎてみんな外国に遊びに行く。
3.イカ、エビ、カニ等々を買ってみろ。ボッタクリも並大抵の額じゃない」

「ロンドンに空港がいくつあるか知っていますか?6つあります。
ニューヨークには空港がいくつあると思います?10個もあります。
ハワイに空港がいくつあるか知っていますか?島ごとに空港が2つ、3つあります。
パリに空港がいくつあるか知っていますか?5つもあります。
空港がこんなになくて利用しにくい国は我が国しかありません。こんなことを一度も取材もせず発表もしないマスコミが本当に凄いと思います。
日本の島には全部空港があります。小さな9人乗りのプロペラ機も日本人は乗っています。でもこういうことは韓国に記者たちが一度も取材しません。
ハワイに行くと10人乗りのプロペラ機が通っていて有名な新婚旅行先のモルティブには19人乗りの水上飛行機が通っています。でもこういうことは韓国のマスコミは一度も話しません。
イギリスにもアメリカにも小さなプロペラ機に乗って人々が旅行に行きますが、このようなことは一度もマスコミが話しません。小さな飛行機が沢山通ってこそ飛行便数が多くなり人々が便利に利用できるのに、飛行機が無いのになぜ空港が活性化されないのか、という呆れたことばかり言っています。
ソウルのように大きな都市に空港が一つしかありません。状況がこうなのに、どうして金浦空港が複雑なのか理解できません。ロンドンには空港が6つもあるんですよ。6つです。いくら話しても聞きません。
ロンドンの人々は10人乗りのプロペラ機にも乗っているんですよ。10人乗りの飛行機が通う空港が必要です。いくら話しても聞きません。10人乗りの飛行機も国際空港で飛ばせというとんでもない話ばかりしています。
ワイ島に空港が3つもあると言っても、未だにチェジュに2空港も作れていませんよね。だから国が全く発展なく関連産業も発展がありません。人々は短い休暇期間もまともに旅行先で楽しむこともできません。休むこともできず、産業は発展がありません。ロンドンに空港が6つあるとしても誰も聞かないので、一体何の発展があるのでしょうか?」

「航空関係者として一言書くと、記事の内容のように九州だけでも空港が本当に多いです。そして島にも空港があります。
空港も派手ではありません。全部が国際空港でもありません。空港も小さいですし、飛行機も小さなプロペラ飛行機も通っています。
また、空港も都市の近くにあります。利用しやすいし、小さい飛行機が多いので便数も多いので利用しやすいです。
ところで、韓国は第一に、空港が都市から遠すぎます。
第二に、大きな国際空港だけを建てているので空港が都市から遠く、大きな飛行機が通っているのを見ると本数がありません。観光客が全く利用できないのです。
第三に、飛行機が全部大きいジェット機だけ飛んでいるので値段が高すぎます。ジェット機の方が安いという話にもならない論理が通じる唯一の国です。
一方、日本には全ての島に空港があります。地域の状況に合わせて小さな空港が多いです。空港を安く沢山作ったということです。
でも韓国は、空港を一つ建てるのにブランド空港だけ建てようとするので本数も出ないし、まだ建てることも出来ずにいます。モノがあってこそ利用も出来るのに、今になって鬱陵島に空港を建てています。それも7千億もかけて建てています。
日本のように島に建てれば空港が20個は建てられるお金で鬱陵島にブランド空港を一つ建てると大騒ぎです。就航可能な航空会社が一つもない状況で、空港だけ最高のブランド品として建てているという呆れた状況となったのです。
こういうことに全国民がもっとお金をつぎ込んで作れと大騒ぎで、これを政界が膨らませています。今、ハイエアは赤字で会社の存立が危ぶまれており、サムエアはまだ飛行機もなく、どの会社も鬱陵島に運行する飛行機がない状況であり、就航すると明らかにした既存の航空会社もありません。でも1200メートルの滑走路も短いと大騒ぎです。果たしてこれが正常に見えますか?」

需要を無視して空港だけ作れば発展が付いてくる、というのも極論な気がしますけどね。

特に空港などの対規模なインフラ設備の場合、事前の検討会議で代表的な航空会社に対して就航予定とか諸々意見聴取してから決めるものじゃないんでしょうか?
とりあえず「箱(ガワ)」というのが、SNSにブランドモノの「(空)箱」をアップする中身空っぽのハリボテの虚栄心に通じるものを感じます。
外側を整えれば自ずと中身は後から着いてくるという発想は儒教的考えといえばそうかもしれませんね。