今年満期到来の韓国企業の社債は史上最大の約5兆円規模という話

韓国で今年満期を迎える予定の社債が史上最大規模の46兆6000億ウォン(約5兆1500億円)となる見通しです。
このうち半分以上の28兆6000億ウォンが上半期に集中しているとのこと。

韓国銀行は市場の状況(流動性、投資需要など)から「円滑に消化される」と見通しています。
しかし、今回満期を迎える社債のほとんどが2019~2021年にかけて発行されたことを考慮すると、借り換えで社債を新規発行する際の借入費用増加(主に金利)は避けられないと思われます。
財務状況の悪い脆弱企業ほど借り換え償還をする可能性が高いため、ますます苦しい状況になりそうです。

 



朝鮮BIZの記事からです。

韓国銀行「今年満期到来の社債46.5兆ウォン...史上最大規模」


(前略)

韓国銀行(韓銀)が18日に発表した報告書「社債満期到来現況および影響点検」によると、今年の社債満期到来規模は46兆5000億ウォン(221社)に拡大する見通しだ。

信用等級別では、非優良等級の満期到来規模(主に3~5月)が15兆8000億ウォンで全体満期到来金額の34%を占める。全体発行残高対比では17.4%だ。時期別では上半期に28兆6000億ウォン、第1四半期に14兆3000億ウォンが集中する。

満期到来企業の財務状況を見ると、財務健全性脆弱企業は今年計6兆4000億ウォン規模の社債の満期が到来する。全体満期到来額の13.7%だ。

(中略)

今年満期が到来する社債は友好的な市場環境と良好な投資需要を基に市場で円滑に消化されるものと見られる。 韓国銀行は「国内外通貨政策基調転換への期待、高い信用スプレッド(社債と国庫債間の金利格差)水準、長短期金利逆転にともなう逆キャリー(国庫債金利が調達金利より低くなること)などを勘案すると、概して良好な状況が続くだろう」と述べた。

ただし、企業が借り換えをして満期到来する社債を償還する場合、高くなった市場金利によって借入費用の増加が避けられない見通しだ。上半期に満期が到来する社債は主に2019~2021年の間に発行された。当時、平均発行金利は優良物が2.20%、非優良物が2.60%前後だった。

韓銀は「今後、長期金利が市場予想通り下落しても社債借り換え発行時に調達金利が相当高くなるだろう」とし「社債を代替調達手段を通じて償還する場合にも現在の調達手段別金利水準、長短期金利逆転状況などを勘案すると、社債に比べて調達金利格差がさらに大きくなる可能性が高い」と話した。

(中略)

韓国銀行は「低信用・脆弱業種企業が借入費用増加などで収益性改善が遅延する場合、財務健全性が追加で悪化し、資金調達条件がより一層悪化する恐れがある」とした。



朝鮮BIZ「한은 “올해 만기도래 회사채 46.5조… 사상 최대 규모”(韓国銀行「今年満期到来の社債46.5兆ウォン...史上最大規模」)」より一部抜粋

韓国銀行は社債の消化については「問題ない」としています。これは、発行された社債はちゃんと市場で買い手が付くよ、といういう意味であって、それ以下でもそれ以上でもありません。
でも問題はそこではなくて、社債の新規発行の方です。
満期到来時にそのまま返せる企業はそれで良いんですが、大抵のところは新たに社債を発行して満期を迎えた社債を償却する借り換えを行います。
その際の金利負担が重たいというのが問題です。韓銀はココのところの分析はなんだかボヤけた物言いになっています。(韓銀は内心金利をもっと上げたいのかもしれません)

2年前のレゴランド事態からの債券市場の資金梗塞のときは社債による資金調達ではなく銀行融資の比率を上げることで乗り切ることができましたが、今回は金利そのものが上がってしまっているので銀行融資に切り替えたところで金利負担は大して変わりません。むしろ上がるかもしれません。

で、こういった方面への韓国政府の動きですが、何も聞こえてきません。
「ジョンセ金にもDSR規制を掛ける」とか「半導体メガクラスターへの全面支援」などの話は言ってるんですけど。なんというか、表面的な話なんですよね。
表面的な個別の事案についてアレコレ言ってみているだけで、根本的な「政策」と呼べるようなことは特に何もしていない印象です。
このままだと4月の総選挙は本当に危ないかもしれません。庶民の一番の関心は、なんだかんだ身近な経済事情ですから。